27 July 2022

IFA Japan: Preparatory session on Cancun branch reports

来週月曜に近づいたので、ここの案内を下記にそのままコピペする。

  • 2023年IFA カンクン大会ブランチレポーターによる中間報告会開催のお知らせ

 来る8月1日(月)に下記の中間報告会(研究準備報告会)を開催いたしますので、是非ご参加ください。(詳細につきましては、メールおよびFAXをご参照ください)
 日時 2022年8月1日(金) 13:30~15:30
 場所 Zoom(Webinar)によるweb会議
 議題 2023年IFA カンクン大会ブランチレポーターによる中間報告会(研究準備状況報告)
    Subject1: Sharing and shifting of corporate losses-The new profit shifting?
            長島・大野・常松法律事務所 弁護士 吉村浩一郎会員
      Subject2: Good faith in domestic and international tax law
          明治大学特任教授 池田義典会員
 お申し込みは、こちらから可能です(7月28日までにお申し込みください)。IDおよびPWにつきましては、メールおよびFAXで送信した案内状に記載されているものをご利用ください。皆様のご参加をお待ちしております。




25 July 2022

野田恒平・還流する地下資金、連載完結

2022年7月号「終章:デジタル革命と地下資金」で完結。全体として「読ませる」もので、麻薬が刑事政策上どれだけ重要性の高いものかを実感させるなど啓発的。租税法との関係ではとくに第6回の実質的支配者(BO)の解説が必見。単行本化が強く望まれる。以下、Ciniiの検索結果に、財務省「ファイナンス」誌のリンクを張っておく。

還流する地下資金 : 犯罪・テロ・核開発マネーとの闘い(1)地下資金対策・序説

還流する地下資金 : 犯罪・テロ・核開発マネーとの闘い(2)麻薬犯罪と地下資金

還流する地下資金 : 犯罪・テロ・核開発マネーとの闘い(3)FATF : 成立とルール・メイキング機能

還流する地下資金 : 犯罪・テロ・核開発マネーとの闘い(4)FATF : 実質的強制力とジレンマ

還流する地下資金 : 犯罪・テロ・核開発マネーとの闘い(5)官民のバーデン・シェアリング

還流する地下資金 : 犯罪・テロ・核開発マネーとの闘い(6)背後にひそむ真の人物を探る

還流する地下資金 : 犯罪・テロ・核開発マネーとの闘い(7)汚職対策とマネロン規制の深い関係

還流する地下資金 : 犯罪・テロ・核開発マネーとの闘い(8)定義なき「テロ」と闘う米国と世界

還流する地下資金 : 犯罪・テロ・核開発マネーとの闘い(9)国家自身が生み出すテロ資金

還流する地下資金 : 犯罪・テロ・核開発マネーとの闘い(10)安全保障の試金石・金融制裁

還流する地下資金 : 犯罪・テロ・核開発マネーとの闘い(11)マネロンの刑事政策的展開

IFA Japan web seminar

 ここの掲示をコピペする。

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  • 2022年7月開催IFA日本支部Webセミナーのご案内

 この度、下記のとおりWebセミナーを開催いたします。会員の皆様のご参加をお待ちしております。
   日時:2022年7月27日(水)15時00分~16時30分
 場所:Zoom
 内容:BEPS Action 4に基づく過大支払利子税制の改正とその後の実務上の影響と対応
 講師:鬼頭朱実・公認会計士(PwC税理士法人パートナー)
   (当日は、菖蒲静夫会員(キヤノン理事)、辻美枝会員(関西大学教授)にコメンテーターをお願いしております。)
 お申し込みはこちらから可能です。お申込みに必要なID・PWはお送りしたメールに記載されております。

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関連リンク: BEPS行動4  2013年租研大会

20 July 2022

玉國文敏先生古希記念論文集(2017)

 機関リポジトリにアップされていた。以下がリンクのコピペ。

アイテムリスト
1 - 19 of 19 items
法学新報第123巻 第11・12号
 
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13 July 2022

国際課税の合意、1年延期

インドネシアで7月15日から開かれるG20財務大臣・中央銀行総裁会議については、共同声明のとりまとめに難航が予想されると報じられている。この会議に先立って、OECD事務総長が税制に関する報告書を出した。次の項目。

  • 2つの柱の完了時期を1年延期
    • 柱2はほぼ完了し2024年に実施
    • 柱1はこれまでのbuilding blocksの検討をふまえProgress Reportをパブリックコメントにかける→10月に包摂的枠組みで対面の議論→利益Aに関する多国間条約とその注釈を2023年前半に作成→2024年に実施をめざす ★典拠はここのタイムライン
  • Carbon Mitigation Approaches包摂的枠組みを創設
  • 「租税と開発」につき、4つのミニマムスタンダードと、国境なき税務調査官(TIWB)
  • 税の透明性につき、自動的情報交換の実施
  • BEPS実施状況につき、4つのミニマムスタンダードの実施状況
柱1に関するProgress Reportの内容をみると、条文の骨子がだいぶ詰まってきている。今後の協議に委ねられた部分は[ブラケット]で囲んであり、具体案の策定に向けて検討を続けることがわかる。

1年延期について、OECDのプレスリリースは「Multilateral Convention to implement Pillar One on track for delivery by mid-2023」と述べており、2023年半ばの作業完了に向けて着々と協議を進めることを示す文面になっている。また、修正したタイムラインは、「designed to allow greater engagement with citizens, business and parliamentary bodies which will ultimately have to ratify the agreement」と述べており、関係者との対話の機会が増える利点があることを述べている。もっとも、メディアの中には、たとえばこれらの米国の報道のように、1年延期で離脱国が出てくる可能性を示唆するものもある。

08 July 2022

田中治教授古希記念論集

 同志社法学429号(2022年6月)である。目次は以下。

第429号(74巻3号)(2022.6)(田中治教授古稀記念論集)

献辞力久 昌幸
住民訴訟と債権放棄議決:再論―最判平成24・4・20以後の展開―(論説)曽和 俊文(1)
相続人不存在の税務上の諸問題―相続財産法人・相続財産管理人・特別縁故者について―(論説)八ツ尾 順一(79)
租税と分担金における受益とは―分担金は租税か―(論説)占部 裕典(103)
遡及課税と財産権の遡及的制約―課税と財産権保障との関係に関する一考察―(論説)谷口 勢津夫(145)
支配の持続についての試論(論説)岡村 忠生(169)
フリーランスの所得区分―米国との対比―(論説)林 幸一(199)
租税法における行政指導の許容範囲とその限界―東京国税局管内における不動産所得者の行政指導を素材に―(論説)日下 文男(233)
ALJの役割― アメリカ連邦最高裁Lucia判決のもたらしたもの―(論説)佐伯 彰洋(279)
補助参加人の忌避申立権についての一考察―民事訴訟における公正確保の探求を目指して―(論説)川嶋 四郎(315)
金銭債権の部分貸倒れをめぐる考察(論説)近藤 雅人(359)
Anne L. Alstott の租税概念―家族と法のあり方―(論説)佐古 麻理(385)
「滞納処分の例」・保育料の徴収・養育費の支払確保(論説)横田 光平(417)
親子間の使用貸借契約の成否と不動産所得の帰属―大阪地裁令和3年4月22日判決(TAINS Z888-2363)の検討を中心に―(論説)片山 直子(439)
研究開発税制と政令委任―試験研究費に関する東京地裁令和3年4月13日判決を中心に―(論説)渡辺 徹也(463)
仕入税額控除とインボイスを巡る事案の検討―欧州司法裁判所判例を中心に―(論説)酒井 貴子(496)
裁判例からみた不動産取得税の構造と問題(論説)髙橋 祐介(517)
米国スーパーファンド法上の潜在的責任当事者該当性に関する一考察―Atlantic Richfield判決を中心として―(論説)黒坂 則子(539)
主たる納税者による過大申告と第二次納税義務者の権利救済(論説)倉見 智亮(579)
エルサルバドル共和国における租税事項等に関する憲法上のアンパロ訴訟(論説)アラス・モレノ・ナンシー・エウニセ(603)
環境アセスメント手続の瑕疵に対する司法的救済―米国国家環境政策法に基づく累積的影響評価を素材として―(論説)森田 崇雄(641)
いわゆる判断過程合理性審査に関する一考察―辺野古最判を契機に―(論説)近藤 卓也(697)
田中治教授 略年譜および主要業績目録(721)

04 July 2022

IFA Cahiers Volume 106

国際租税協会IFAのCahiers106巻が届いた。2022年9月のベルリン大会で議論する予定。対面での大会開催がコロナ渦で延期されていただけに、無事に刊行されてよかった。例年どおり二つの議題。

A「国内・国際租税法におけるgroup approachとseparate entity approach」は、ドイツのHey and SchnitgerがGeneral Reportを書いた。ここで「separate entity approach(以下SEAと略す。)」は、各法人をひとつの独立の納税義務者として扱うことを指す(20頁)。日本語でいうと、独立法人アプローチとか、単体法人アプローチとかいったような感じか。これに対し、「group approach」は、SEAからのすべての逸脱を意味するから、とても広いコンセプト。

今回のGeneral Reportの問いは、税制がSEAから離れていっているのか(20頁)、である。答えは、SEAが依然として所得課税の世界で優勢であり、group approachは不都合な結果を避けるために必要がある場合に用いられる(51-52頁、56頁)、というもの。かなり広範な課税ルールを検討対象とし、法人所得税において法人を納税義務者にすることの意味が、さまざまな素材をもとに、これでもかこれでもか、といった感じで検討される。EU Reportと、39か国のBranch Reportを基礎にしている。日本支部のbranch reporterは鈴木悠哉会員。

私の関心をひいたのは以下。

  • 何らかの形でグループ法人間で損益通算を許容する制度(日本の現行法ではグループ通算制度)をとる国は、2004年の当時に比べて若干入れ替わったが、それほど増えていない。国境を越えた損益通算を認める例は依然としてEU加盟国に集中。
  • BEPSプロジェクトの各種合意(グループ内支払やhybrid mismatch、CbCRなど)や、EUのATADやCCCTB、さらにはデジタル課税の柱1と柱2などに視野を広げている。
  • 個別法人単位の規律からさまざまなタックス・プランニングの余地が生まれることを意識している。これは、南繁樹弁護士が「租税属性獲得ツールとしての『法人』」(租税研究856号152頁(2021))と呼んでいたこととつながる。
B「Big Data and Tax - Domestic and International Taxation of Data Driven Business」は、米国のGary D. SpragueがGeneral Reportを書いた。日本支部のbranch reporterは高橋麻莉会員と大西篤史会員。新しいビジネスモデルに着目した未来志向のテーマ設定で、次の4つの事例研究で各国の取り扱いが比較される。
  • Data Brokers/ Information Resellers
  • Data Feeds
  • Performance Data Analytics
  • Analytics Based Consultancies
2001年にSpragueが書いたときには電子商取引(electronic commerce)から生ずる所得の課税、という論題設定だった。それから20年、いまやBig Dataの時代になった。