25 May 2012

須藤靖先生のブックトーク

図書館で,須藤靖先生のブックトークがあった。Isaac Asimov, Nightfall (1941)を語られた。原作のもつ独特の暗さとは対照的に,須藤先生のお話は,夜空ノムコウに対する明るい知的探求心を,惜しげなく聴衆にシェアしてくださるものだった。

08 May 2012

資本に課税すべきでないとする見解をエコノミストが再考

The Economistのこの記事が,次のペーパーを紹介。

  • Juan Carlos et al. (2008)は,資本課税は「結局悪い考えではない(not a bad idea after all)」という。すなわち,資本市場は不完全であり,家計は一生のすべての浮き沈みに対して保険をかけることができない。資本リターンの一部を課税して,リスクに対する社会保険を供給することは,適切である。既存モデルは,資本税の成長コストを過大視してきた。大部分の資本所得税は退職に備えて貯蓄する勤労世代の成人によって支払われており,彼(女)らは租税にかかわらず貯蓄を続ける,というのである。
  • Thomas Pikkery and Emmanuel Saez (2012)は,相続の存在に着目。
  • Emmanuel Farhi et al. (2012)は,不平等の拡大が政治を不安定化し,重税により富を収用することを促すため,現在の貯蓄と投資を阻害する可能性があるという。
もっとも,この記事は,資本は可動性が高いため,各国のアプローチが異なると企業はより有利な国に投資するだけであるから,高い資本税率を心配することに理由があるとも述べている。