2026/09/19

国際租税法第5版の刊行、追記

 このたび、増井良啓・宮崎裕子 『国際租税法』第5版を、東大出版会から刊行していただきました。そのことをここでポストしたあと、さらにお伝えしたいことが出てきたので、以下に追記します。

今回の改訂では、コラムの数をかなり減らしました。ただし、コラムで扱っていた内容を単純に削ったわけではありません。現在の叙述の流れの中で扱った方がよいと考えたものは、相当数を本文に組み込んでいます。その意味では、内容を減らしたというよりも、本文とコラムに分かれていた叙述を組み直した、という方が正確です。制度の説明と、その背景にある考え方や具体例とがつながりやすくなり、全体として叙述の一体性が高まったと思います。

2026/09/18

国際租税法第5版の刊行

このたび、増井良啓・宮崎裕子 『国際租税法』第5版を、東大出版会から刊行していただきました。

第4版を刊行したのは2019年でした。それから7年の間に、国際課税をめぐる環境は大きく変わりました。OECD/G20 BEPS包摂的枠組みの「2つの柱」をめぐる議論が進み、とりわけグローバル・ミニマム課税は各国の国内法として実施される段階に入りました。他方で、こうした新しい動きだけを追えばよいわけではありません。国内法と租税条約の入り組んだ関係を、具体的な取引に即して見通しよく理解することは、国際租税法を学ぶうえで今も変わらないコアだと考えています。

2026/09/15

CUHK–KCL Annual Conference on Tax, Trade, and Investment Law

 2026年9月10日と11日、香港中文大学(CUHK)とKing’s College Londonの合同研究会に出席してきた。Leopoldo Parada さん(KCL)のお誘いによる。会合の正式名称はThe CUHK–KCL Annual Conference on Tax, Trade, and Investment Lawだ。日本からは福永有夏教授(早稲田大学)が参加されていた。

プログラムは、Day1に国際課税のパネルが2本、通商・投資のパネルが1本ずつ。Day2は、いくつかの平行セッションに分かれて、ペーパーのプレゼンと質疑応答があった。ぼくは、Beyond Double Taxation: The Making of the 1970 Japan-Korea Tax Treaty in Historical Contextという題目で、1970年日韓租税条約の締結過程から得られる示唆を議論した。Noam Nokedさん(CUHK),  Brian Galleさん (UC Berkeley), Doron Narotzkiさん (Akron)などから有益なインプットをもらった。

2026/08/11

Musgraveは韓国で何を助言したのか

1.二度の邂逅と最近の発見

Richard A. Musgrave教授(1910–2007)には、二度、お目にかかったことがある。

一度目は1992年、私が米国ハーバード大学のInternational Tax Programにいたときだった。Musgrave教授がゲストとしてクラスにお越しになり、その場には金子宏先生も出席されていた。二度目は1997年、京都で開催された第53回国際財政学会(IIPF)大会だ。たまたまMusgrave教授がお一人で歩いていらっしゃるところに出会い、「ハーバードで先生のお話をうかがいました」とご挨拶したところ、にこやかに応対してくださった。

2026/07/21

International Tax Observatoryが、CFCルールと柱2の相互関係についてペーパーを出していた

 Alice Chiocchetti, Samuel Delpeuch, and Giulia Varaschin, Three Lessons on the Interaction Between CFC Rules and Pillar 2である。これは、6月末の欧州委員会の簡素化パッケージに含まれていたCFC改正提案に対する、明確な対抗提案だ。

この政策ノートは、GlobeルールはCFC税制を不要にするものではなく、両者は補完関係にあると結論づける。表題にいう「3つのレッスン」とは、