13 July 2026

もりだくさんの令和8年度消費税法改正

令和8年度税制改正の解説が出たので、「消費税法等の改正」を読んでみた。越境EC取引に関する改正を含め、今年の消費税法改正はもりだくさんだ。

1.越境EC取引の扱い

改正の必要性は、はっきりしていた。

  • 同じ商品であっても、国内事業者が販売すれば消費税が課されるのに対し、国外から直送すれば少額貨物については販売時にも輸入時にも消費税が課されなかった
  • 国外事業者が商品を日本国内のプラットフォーム倉庫に保管し、そこから日本の消費者に販売するフルフィルメントサービスを利用する取引は、従来から国内取引として課税対象であったものの、国内に拠点を持たない国外販売者の把握や徴収が難しく、無申告への対応が課題とされていた
そこで、次の改正がされた(はなはだざっくりしたまとめ)。

  • 国外から日本に直送される1万円以下の商品の譲渡(「特定少額資産の譲渡」)について、販売時に国外販売者に消費税を課す
  • 国外販売者がデジタルプラットフォームを介して販売する場合、一定規模以上のプラットフォーム事業者を商品の販売者とみなして、そのプラットフォーム事業者(「第二種プラットフォーム事業者」)に納税義務を転換する
  • 通関負担にかんがみ、少額貨物の輸入時課税は原則として維持するが、個人的な使用に供される貨物について海外小売価格の60%を課税価格とする関税定率法上の特例は廃止
  • これらの施行時期は令和10年4月1日を予定

2.インボイス制度の定着を後押ししつつ、経過措置を段階的にフェイズアウト

  • 売手側:従来の「2割特例」では、免税事業者がインボイス発行事業者になった場合、売上税額の2割だけを納付すればよかった→これを令和8年9月30日で終了し、その後は、対象を個人事業者に限定したうえで、令和9年分と令和10年分について、売上税額の3割を納付する「3割特例」に移行
  • 買手側:インボイスを発行できない免税事業者から仕入れた場合に一定割合の仕入税額控除を認める措置を、8割→7割→5割→3割と段階的に縮減していき、令和13年10月1日以降は0%にする

3.その他の個別改正として、たとえば・・・
  • 暗号資産の譲渡は引き続き非課税取引だが、その位置づけを「支払手段に類するもの」から「有価証券に類するもの」に変更→課税売上割合の計算では、暗号資産が決済手段ではなく投資対象として利用されているという実態にかんがみ、譲渡対価の5%を分母に算入
  • 太陽光発電設備からの銅線ケーブル盗難対策として、金属盗対策法を受け、帳簿のみで仕入税額控除を認める古物商・再生資源業者特例の適用範囲を限定→なお、古物商特例については、この間ポストしたこれ
  • 輸出免税の証明書類の厳格化
  • 国内不動産の売買・賃貸の代理、媒介その他の不動産関係サービスを非居住者に提供する場合、輸出免税の対象外に
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これは、かなりの改正だ。1の越境ECについては、だいぶ前から議論してきたことが、このやり方で着地した。

今回の解説には多くのことが含まれており、一読するだけでも「おなかいっぱい」になる。たとえば、販売時の課税と輸入時の課税をコーディネートするための登録制度や、販売者・輸入者・通関業者の情報連携、輸入時にも消費税が課された場合の税額控除など、かなり芸が細かい。これから、しっかり読むとしよう。