07 April 2026

Open AIの政策提言

2026年4月7日 6:04付け日経の記事で,「OpenAIが政策提言,AIで業務自動化なら課税 週4日勤務も推奨」とあった.もとの文書は,"Industrial Policy for the Intelligence Age: Ideas to Keep People First"と題するもの.

さっそくに,ChatGPTに「整理せよ」と指示したら,いくつかテクストを生成してきた.その中には,次のテクストが含まれていた.

租税法の観点から読むと、核心は三つあります。第一に、AIで税源構成が「労働」から「資本・企業利潤」へずれるという認識。第二に、それに対応して課税ベースを資本側へ組み替える必要があるという提案。第三に、税だけではなく、公的富裕基金によってAI利得の分配参加を制度化しようとする点です。つまり、これは単なる「ロボット税」論ではなく、AI時代の再分配国家をどう再設計するかという問題提起として読むのが正確です。

主張自体はさほど新しいわけではないが,この時期にOpen AI が提示した,というところにインパクトがあるのだろう.

現物にざっと目を通してみると,なかなか興味深い文書で,いろいろ突っ込みどころがある.国際課税の観点からは,文書の5頁に

They also focus on the United States as a starting point, but the conversation—and the solutions—must ultimately be global.

と書いてあるところが気になる.文字通り,米国を出発点としつつ,グローバルな対話と解決を考える,という方向だ.たしかに,AI利用は国境を越えるので,グローバルな議論は不可欠だ.

そうすると,次のような論点が大事だろう.

  • 資本課税に関する現在の国際課税ルール改革論にどう接続していくか.
  • 停滞しているPillar Oneのリブートとも関連するか.
  • 公的富裕基金(Public Wealth Fund)は,AIによって生じる資本利得に対して市民を直接参加させるしくみであるところ,これに対する課税権分配ルールのあり方は現行ルールでいいのか.
いずれも,議論すべき点が多そうだ.かつて,2018年度から3回連続で「AIと税制」というゼミを開講した(これこれこれ).再開すべき時期にきているのかも.