IMFのスタッフが、越境サービスの課税手段を総ざらえするワーキングペーパーを出していた。Shafik Hebous, Brendan Crowley, Rasmi Das, Tibor Hanappi, Cory Hillier, Adam Jakubik, Eric Robert, and Christophe J Waerzeggers. "Taxing Cross-Border Services", IMF Working Papers 2026, 152 (2026), accessed 2026/7/18, https://doi.org/10.5089/9798229055048.001
この論文は、越境サービス(とりわけデジタル化されたサービス)に対する各種の課税手段を、消費課税、所得課税、租税条約、租税回避防止措置を横断して整理する。利益Aがつまづいた後、越境サービス課税の全体像を整理し直して、次の多国間合意のための設計原理を提示する論文と位置付けることができよう。
冒頭のAbstractは、以下のとおり。
- 越境サービス取引に対する現行の課税枠組みには、限界がある。とりわけ、デジタル化の進んだ事業モデルから生じる所得の一部について市場国が課税権を行使できないこと、および、越境サービスへの支払を利用した利益移転の余地がなお大きいこと、である。このような限界に直面して、各国および研究者は、さまざまな課税措置を導入・提案してきた。
- 本稿は、これらの課税措置を一つの整合的な枠組みのもとに整理し、経済的観点と法的観点の双方から検討する。まず、越境サービス貿易が拡大し、その構成に占めるデジタルサービスの比重が高まるとともに、取引が特定の産業、企業および法域にますます集中していることを、データによって明らかにする。次に、VATのような仕向地ベースの消費課税、デジタルサービス税を代表例とするグロス収入課税、ネクサス・ルールや源泉徴収ルールなどの所得課税上の措置、さらに、損金算入される越境支払を通じた利益移転を抑制する租税回避防止ルールを比較し、総合的な検討を行う。
- 本稿の主張は、各課税手段の経済的帰着が政策評価の核心であり、各手段を相互に切り離して評価すると制度間の相互作用を見落とすことになる、というものである。本稿の主たる結論は、対象が狭く歪みの大きい代替的措置よりも、仕向地ベースの課税に広く依拠することによって、デジタル化されたサービス貿易がもたらす主要な課税問題の多くに効果的に対処できる、というものである。