Tax Analystsが2011年に
The VAT Reader: What a Federal Consumption Tax Would Mean for America
を出していた。
最近の租税事件を含めて,そのおりおりに思ったことの断片をつづります。 Candid and biased, and hopefully stimulating, comments on recent tax developments in Japan (and other matters).
24 December 2013
21 December 2013
最判平成25・7・12―共有不動産持分の差押処分の取消訴訟―他の共有者の原告適格を肯定
訴訟の経緯にやや特色あり。
最高裁は、
相続税の滞納事案であり、原告が滞納者との間で相続税法34条の連帯納税義務者の関係にあることからして、原告適格を肯定する理由になりえた。しかし、最高裁はこの点には触れず、もっぱら共有との関係で理由付けを行った。ゆえに、共有者が滞納した場合であれば射程が及ぶであろう。さらに、同様の理由付けは、不動産だけでなく動産にもあてはまるのではないか。
最高裁は、
と判示。滞納者と他の者との共有に係る不動産につき滞納者の持分が国税徴収法47条1項に基づいて差し押さえられた場合における他の共有者は、その差押処分の法的効果による権利の制限を受けるものであって、当該処分により自己の権利を侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者として、その差押処分の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者に当たり、その取消訴訟における原告適格を有するものと解するのが相当である。
相続税の滞納事案であり、原告が滞納者との間で相続税法34条の連帯納税義務者の関係にあることからして、原告適格を肯定する理由になりえた。しかし、最高裁はこの点には触れず、もっぱら共有との関係で理由付けを行った。ゆえに、共有者が滞納した場合であれば射程が及ぶであろう。さらに、同様の理由付けは、不動産だけでなく動産にもあてはまるのではないか。
I teach Tax Law at UTokyo.
19 December 2013
中英―新租税条約が発効
1984年条約に代わるもの。2011年6月27日に署名されていたが、このたび、2013年12月13日付けでようやく発効した。発効が遅れる間、2013年2月27日署名の議定書で配当条項が改められ、間接保有の場合を除外し直接保有の場合に限って軽減税率を適用するものとされている。英国側の条約テクストへのリンクはこれ(Chinaの項)。
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18 December 2013
日英租税条約の改定―新型事業所得条項を導入
財務省のプレス・リリースによると
とのこと。事業所得について、本支店間の内部取引を全面的に認識する。日本国の締結した二国間租税条約で、2010年OECDモデル租税条約新7条と同様の規定を、はじめて導入する例となる。条文の日本語テクストはこれ。また、英語テクストはこれ。12月17日(火)、日本国政府と英国政府との間で「所得及び譲渡収益に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国との間の条約を改正する議定書」の署名がロンドンにおいて行われました。本改正議定書は、2006年に発効した現行条約の一部を改正するものであり、両国間の投資交流を一層促進するため、投資所得(配当及び利子)に対する源泉地国免税の対象を拡大し、事業利得に関する新たな条項を導入するとともに、租税条約上の税務紛争の解決促進のため、相互協議手続に仲裁制度を導入しています。また、徴収共助の規定を導入するなど、両国の税務当局間の協力関係が強化されています。
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15 December 2013
株主優待が交際費に
12月13日付の朝日新聞の報道によると
記事をみた限りでは事実関係がよくわからず、いくつか疑問が生ずる。
1)なぜこの段階で、新聞報道がされたか。
2)国税不服審判所の裁決は、どういうロジックを展開したのか。
3)交際費認定以前の問題として、資本等取引に該当しないのか。
なお、所得税基本通達24-2は、次の取扱いを示している。
関東や東海で焼き肉店を中心に約240店舗を展開する「安楽亭(あんらくてい)」(さいたま市)が関東信越国税局の税務調査を受け、2011年3月期までの4年間で約3億円の申告漏れを指摘されたことが分かった。株主に配った優待券(食事券)を広告宣伝費として処理していたが、課税対象となる交際費と指摘されたという。とのことである。たしかに、同社のホームページで、10月11日付で「株主優待券に係る国税不服審判所長の裁決書受領について」というプレス・リリースが出ている。
記事をみた限りでは事実関係がよくわからず、いくつか疑問が生ずる。
1)なぜこの段階で、新聞報道がされたか。
2)国税不服審判所の裁決は、どういうロジックを展開したのか。
3)交際費認定以前の問題として、資本等取引に該当しないのか。
なお、所得税基本通達24-2は、次の取扱いを示している。
(配当等に含まれないもの)
24-2 法人が株主等に対してその株主等である地位に基づいて供与した経済的な利益であっても、法人の利益の有無にかかわらず供与することとしている次に掲げるようなもの(これらのものに代えて他の物品又は金銭の交付を受けることができることとなっている場合における当該物品又は金銭を含む。)は、法人が剰余金又は利益の処分として取り扱わない限り、配当等(法第24条第1項に規定する配当等をいう。以下同じ。)には含まれないものとする。(平19課個2-11、課資3-1、課法9-5、課審4-26改正)(1) 旅客運送業を営む法人が自己の交通機関を利用させるために交付する株主優待乗車券等(2) 映画、演劇等の興行業を営む法人が自己の興行場等において上映する映画の鑑賞等をさせるために交付する株主優待入場券等(3) ホテル、旅館業等を営む法人が自己の施設を利用させるために交付する株主優待施設利用券等(4) 法人が自己の製品等の値引販売を行うことにより供与する利益(5) 法人が創業記念、増資記念等に際して交付する記念品(注) 上記に掲げる配当等に含まれない経済的な利益で個人である株主等が受けるものは、法第35条第1項《雑所得》に規定する雑所得に該当し、配当控除の対象とはならない。
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