06 May 2014

貿易と資金洗浄―The Economist誌によるとかなりの規模

5月1日付け(紙媒体で5月3日付け)のThe Economistの記事の見出しに
貿易は、汚染資金に対する戦いにおいて、最弱の環である(Trade is the weakest link in the fight against dirty money)
とあった。 基本的なやり方は、輸入価格を過少にしたり、輸出価格を過大にしたりして、国内に資金を移転する。たとえば、メキシコのカルテルのためのフロント企業が、適正価格が100万ドルのオレンジを米国輸入者に売り、書類作業にかこつけて300万ドルチャージする。こうして、200万ドル相当分の汚染資金をメキシコに戻すことを隠ぺいする。このような手法は、脱税や外為規制を免れるためにも用いられる、というのである。

記事で触れられているBlack Market Peso Exchangeなどは、遅くとも1990年代には問題にされていたもので、新しい話ではない。国家間で組織している金融活動作業部会(FATF)も、手を焼いている。今回の記事から読み取れるのは、

  • 世界中で起きていること
  • 対策が困難であること(10ドルの商品を9ドルとか11ドルとかで売っている場合に不法送金の手段であることを当局が見抜いてきちんと執行することは到底不可能)

である。一日に税関を通過する貨物の膨大な量と、迅速な通関が欠かせないことを考えあわせると、透明化にはたしかに幾多のハードルがある。


 

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