30 May 2023

税務訴訟資料のデジタル化

「税務訴訟資料」のデジタル化は、次の経過をたどった。

1.紙の冊子体の時代
昭和25(1950)年5月(1号)から平成16(2004)年3月(249号)まで。
各号につき「〇頁」として引用。
第1号は、新憲法の下で税法事件が司法裁判所に係属することになったことを受けて、昭和23年4月から昭和24年11月までに言渡しのあった判決を収録。当時の国税庁直税部所得税課によるもの。「税務訴訟資料(税務行政事件訴訟判決集)」と題されており、課税事件と徴収事件が混在。判決以外の執務参考資料も掲載していた。
紙の冊子体の最終は第249号で、平成12年12月までに言渡しのあった判決を収録。
なお、全体としては、「租税関係行政・ 民事事件判決集」及び「租税関係刑事事件判決集」の2部編に分かれ、刑事事件を別建てで収録する号もあった。

2.CD-ROMの時代
平成17(2005)年3月(250号)から平成23(2011)年3月(258号)まで。
各号につき「順号〇〇〇」として引用。
第250号は、平成13年1月言渡し判決(250号順号8813)からを収録。
第258号は、平成20年12月言渡し判決(258号順号11113)までを収録。
CD-ROMの収納ケースには、「租税関係行政・民事事件判例集」と印字。

課税関係判決は、平成20年判決分(税務訴訟資料第258号「順号10859~11113」)から。各号につき「順号〇〇〇」として特定。
徴収関係事件は、租税関係行政・民事事件判決集(徴収関係判決)として、平成21年1月~平成21年12月判決分から。順号表記のやり方は課税関係判決と異なり、たとえば平成21年1月のものは「21-1」などと表記。
事件番号を黒塗り加工し、確認できないようにしてある。

[典拠]

20 May 2023

Law & Contemp. Probl.(2022)の脱税特集で、シンポジウム

 これだった。


論文の成果物はDuke大学の雑誌に公表済。論文への公開リンクをコピペしておこう。

Volume 85, Issue 4 (2022)
Tax Evasion, Corruption and the Distortion of Justice

 

Diane Ring, Costantino Grasso & Lorenzo Pasculli
Special Editors

Articles

PDF

Corporate Governance and Value Preservation: The Effect of the FINCEN Leak on Banks

Florencio Lopez-de-Silanes, Joseph A. McCahery, and Paul C. Pudschedl

247

14 May 2023

OECD 2023 Progress Report for G7 Niigata

新潟でのG7 財務大臣・中央銀行総裁会議が終了した。そこに向けてOECDから報告されたのが、2023 Progress Report on Tax Co-operation for the 21st Century, OECD Report for the G7 Finance Ministers and Central Bank Governorsである。この報告書は、昨年のReportを更新しつつ、税務執行の新しい取り組みについて報告している。

  • 法人税 GloBE Information Return(GloBE情報申告)のone stop shop、やりとりの完全なデジタル化、Lead Tax Administration主導の協調的アプローチ(各国当局がバラバラに執行するコストを避ける)、共通かつ同時のリスク評価、発見されたリスクへの協調的対応、早期かつ拘束的な解決、重複要件の排除
  • 法人税以外 CARFPlatform Operators
  • 途上国 柱2が租税誘因措置にどう影響するかのパイロットプログラム、2つの柱の実施に向けての能力開発、デジタル貿易とVAT、税務行政のデジタル化、情報セキュリティ管理
2つの柱の実施が各国当局間の高度の協調を必要としており、その中で多国籍企業の事務負担をどう調整していくか、いろいろな対応を試みている。日本の国税庁がCRS情報をきっかけに個別的情報交換を要請し、オフショア相続財産を捕捉した例も紹介されている(パラ49)。

この報告を受けて、G7財務大臣・中央銀行総裁声明は、次のように歓迎の意を表明した(日本語仮訳のパラ24を引用する)。

24. 我々は、OECD/G20 包摂的枠組みによる経済のグローバル化及びデジタル化に伴う課税上の課題に対応し、より安定的で公正な国際課税制度を確立する二つの柱の解決策の迅速かつグローバルな実施に向けた我々の強い政治的コミットメントを再び強調する。我々は、第 1 の柱に関する多国間条約(MLC)の交渉における重要な進展を認識し、合意されたタイムライン内に MLC の署名ができる状態となるよう、交渉の迅速な完了に対する我々のコミットメントを再確認する。我々は、第 2 の柱の実施に向けた国内法制における進展を歓迎し、包摂的枠組みに対し、グローバルに一貫性のある実施のために、更なる執行ガイダンスについて作業することを求める。我々は、途上国に対して、二つの柱の解決策の実施に係る支援の重要性を強調しつつ、持続可能な税収源を築くための税に関する能力強化に対する支援を更に提供する。我々は、OECD の「21 世紀の税務協力に関する 2023 年進捗報告書」を歓迎する。