国家学会雑誌137巻1・2号(2024)に、3本の書評が出ていた。
長戸貴之教授は、Allison Christians and Laurens van Apeldoorn, Tax Cooperation in an Unjust World (Oxford University Press, 2021)について、「生存権不充足状態という不公正な世界の改善を目指す野心的試み」にもかかわらず、「現実の国際課税政策の形成に関与する者を説得する姿勢を貫いて」いるものとして、好意的に紹介する。
藤岡祐治准教授は、Heather Boushey, Ryan Nunn and jay Shambaugh eds., Recession Ready: Fiscal Policies to Stabilize the American Economy (The Hamilton Project and the Washington Center for Equitable Growth, 2019)を取り上げ、「景気の安定化という目的達成のために自動安定装置に着目して具体的な制度設計を・・・詳細に論じた貴重な業績である」とする。
藤原健太郎准教授の書評対象は、Tingting Wang and Miranda Stewart, The Law and Policy of VAT Tourist Refund Schemes: A Comparative Analysis, World Tax Journal, Vol.14, No.2, 285 (2022)。旅行客への販売に係る付加価値税の還付制度について、豪中比較を行う論文。日本では、旅行者向けの免税店が執行面の問題を惹起しており、「そのような日本法の現状を客観的に考察していくうえでの一助になる」という。
No comments:
Post a Comment
Comments may be moderated for posts older than 7 days.