30 August 2024

いま、法学を知りたい君へ

 いま、法学を知りたい君へ -- 世界をひろげる13講 が公刊される。文系理系を問わず学部1年生2年生を対象としたオムニバス講義を記録したもの。

私の第12講「租税競争をくいとめる」は、国際課税の分野における2021年10月合意のPillar Twoをめぐって、それが抱える課題を簡潔に論じた。講義の終わりに「お題」を提示して、グローバルなフォーラムと日本の国会との関係をズバリ直球で問うた。これに対してある理系の方がとてもいい応答を提出してくれた。2年も前のことなのに記憶に新しい。

大教室で講義をしたのはGW中だった。授業の後、白石忠志教授とご一緒に、人でにぎわう渋谷に出て、おいしい蕎麦を食べた。私にとって大切な想い出。執筆者紹介にも記した。

目次をコピペしておこう。

第1講 ロシアのウクライナ侵略と国際法(中谷和弘)

第2講 法を通じて世界を見る(巽智彦)

第3講 国会のオンライン審議は可能か(宍戸常寿)

第4講 18歳,19歳の者は大人か?子どもか?(成瀬剛)

第5講 多様化する働き方と社会法(笠木映里)

第6講 母子関係の比較法──外国法の参照は無意味か?(齋藤哲志)

第7講 会社はSDGsのために存在するのか?(松井智予)

第8講 なぜデッド・コピー(酷似的模倣)を禁止しなければいけないのか?(田村善之)

第9講 自動運転と法・その1──総論 (藤田友敬)

第10講 自動運転と法・その2──自動運転車による交通事故と民事責任・刑事責任(後藤元)

第11講 大きいことは悪なのか?競争法は巨大企業にどう対処するか(Simon VANDE WALLE)

第12講 租税競争をくいとめる(増井良啓)

第13講 競争法の国際的適用(白石忠志)

なお、下の画像には帯がついているが、この帯を取り外しても、ろけっとぽっぽーが装丁カバーに顔を出している。前著のときにはなかった新機軸。



26 August 2024

中里古希祝賀論文集

市場・国家と法 -- 中里実先生古稀祝賀論文集が公刊された。租税法の基礎理論、租税法の実践的展開、租税法と公法、租税法とビジネスロー、古希をお祝いして、の5部構成。以下に目次をコピペする。

目次

租税法の基礎理論

最小国家における租税と貨幣 ……………………………………………………渡辺智之

所得の発生と通貨…………………………………………………………………藤岡祐治

所得と自由──ベルクソンからフィッシャーへ……………………………………岡村忠生

租税法と経済学と神経科学──Law, Economics and Neuroscience…………神山弘行

準自発的コンプライアンスについて………………………………………………増井良啓

制定法解釈における議会議事録の参照──イギリスのPepper v. Hart判決の分析…吉村典久

経営判断原則と租税法判断──租税回避否認要件に係る経済的合理性基準の研究…谷口勢津夫

租税法が企業の価格決定に介入することの限界について …………………藤原健太郎

Andreas Kallergis『課税管轄権』を読む……………………………………田中啓之

外国子会社合算税制(タックス・ヘイブン対策税制)の趣旨とその解釈のあり方…長戸貴之

政府系ファンドへの課税問題──国際法の観点から……………………………………中谷和弘

租税法の実践的展開

信託型ストック・オプションに関する租税法上の解釈問題……………………………渡辺徹也

受益証券発行信託型STO・PTS取引に対する適正な課税方法 ──特に不動産セキュリティ・トークンを素材として……………………………………………岩﨑政明

租税属性の移転可能性をめぐる議論──税額控除の給付・移転の広がりを素材に …吉村政穂

企業ファイナンスへの課税の影響Ⅱ……………………………………………橋本慎一朗

資産評価の文脈──国際課税と消費型所得概念を視野に入れつつ…………浅妻章如

租税法上の行政制裁の現状と展望………………………………………………佐藤英明

租税法における後発的事由………………………………………………………渋谷雅弘

執行可能な税制──構造的執行欠缺理論を手がかりに…………………………巽 智彦

国税犯則調査の性質──犯則調査は法体系上の「夾雑物」あるいは「鵺」か…笹倉宏紀

租税法と公法

ジャン・ボダンの主権論に関する覚書 …………………………………………長谷部恭男

準死について──人に関する研究ノート………………………………………小島慎司

納税の義務…………………………………………………………………………石川健治

スタンリー・サリーと日本における行政法の変容──理由附記法理の「原意」をめぐって

………………………………………………………………………………………渕 圭吾

国立大学法人の組織法──国際卓越研究大学の制度を契機として …………山本隆司

パテント・リンケージをめぐる行政法上の問題点──医薬品承認制度と特許権保護の交錯

………………………………………………………………………………………興津征雄

国家の経済活動関与と租税国家──近代日本からの考察一斑………………齋藤 誠

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)による積立金運用と法規定………太田匡彦

租税国家原理とは何か──その来歴とゆくえ……………………………………田尾亮介

財政法学の体系に関する試論──特に租税法との関係を念頭において………藤谷武史

公益法人と信託──実体法と税法の交錯…………………………………………溜箭将之

租税法とビジネスロー

ペイレシオ開示の目的とあり方について …………………………………………松井智予

米国におけるスタートアップ企業の組織形態選択と課税………………………星 明男

不正競争防止法における品質等誤認惹起行為……………………………………白石忠志

2023年企業結合ガイドラインにみるバイデン政権下の反トラスト政策 ………滝澤紗矢子

知的生産活動における「資源管理」と法──学際的な議論に向けた準備作業…小島 立

商標権の譲渡をめぐる問題──知的財産権取引と課税の議論の前提として …渕 麻依子

古稀をお祝いして

J. Mark Ramseyer/真砂 靖/古谷一之


中里実先生略歴/中里実先生著作目録

23 August 2024

租税法学会第53回総会案内

租税法学会のこのページである。

2024年10月26日(土)広島修道大学、総会幹事は奥谷健教授。

「経済社会の構造変化と租税手続の変容」 
租税手続における納税者の地位~税務行政の「ディストピア」と「ユートピア?」~
 報告:佐藤英明(慶應義塾大学) コメント:田中晶国(京都大学)
税務行政のデジタル化における納税協力の変容と諸課題
 報告:藤間大順(神奈川大学)  コメント:髙橋祐介(名古屋大学)
徴収手続における納税者以外の私人の役割
 報告:一高龍司(関西学院大学)  コメント:西山由美(明治学院大学)
徴収の制度設計についての理論的検討
 報告:藤岡祐治(一橋大学) コメント:渡辺智之(敬愛大学)