この事件の係争年度は平成11年から14年までの期間であるが,States of Guernseyの次の公式サイトによると,2008年以降,かなりの変更がある。
http://www.gov.gg/ccm/navigation/income-tax/about-our-tax-system/
このように,世界に点在するオフショア法域は,環境変化にあわせて自らの税制を変更していく。このような動きを事前に察知し,機動的に国内立法に反映させるための体勢は,整っているのだろうか。日本国は最近,バミューダ(2010年2月署名),香港(同3月基本合意),ケイマン諸島(同5月基本合意)という具合に,日本国はオフショア法域との間で租税情報交換条約を締結してきてはいるものの,より広く,広範な継続的調査→国内立法による対応→種々のルートによる相手側法域との対話,といったプロセスの確立が課題である。Commonwealthの盟主として人的物的つながりの強い英国ほどの対応は望めないとしても,英国の対応から学べることは多そうだ。