すでに1975年にワイオミング州でLLCができ、連邦租税法上そのパス・スルー取り扱いが認められたころから、きざしはあった。その後、法人段階で法人所得税を課されるいわゆる「C法人」の数は減少し、21世紀初頭にはパートナーシップの数のほうが多くなった。
しかし、このthe Economistの記事が取り上げるのは、天然資源など特定の業種だけが利用できるMLP(master limited partnership)が、上場会社に対する規制と法人所得税のいずれにも服さないため、会社という事業形式よりも好まれるようになっているという驚くべき事実である。日本語訳が
JB Pressにある。よりくわしい記事として、Rise of the distorporationがある。このdistorporationというのは聞きなれない言葉だが、会社の設立(incorporation)の逆という意味で使っているのだろう。
The Economistの処方箋は、会社に対する法人税率を下げ、上場会社に対する規制をゆるめるべし、というものである。たしかに、いずれかの事業形式が極端に有利になる状況は、改善すべきであろう。もっとも、簡単に税務上の赤字を配ることができたり、ガバナンスや開示などに関する最低限の要請をかいくぐることができたりする法形式こそ、いかにもあやしいのではないか。