「貴法人が東大阪市と締結した契約に基づき受ける委託料および・・・受託料並びに・・・補助金は、法人税法2条13号に規定する収益事業の収入に該当します。」というものであった。
大阪高裁(紙浦健二裁判長)は、地裁判決を覆し、この理由付記が不十分であるとして、更正を取り消した。最判昭和60年4月23日の枠組みによりつつ、帳簿上の記載自体を否定することなしにされた更正であって、「請負業」に関する法人税施行令と実費弁償通達(法人税基本通達15-1-28)に関する判断を経る必要があるところ、判断過程についての記載が一切ないとする。高裁段階で確定。
本件で、委託料が実費弁償かどうかを中心に税務調査を行っていたのであれば、更正を行うに際してその旨を一言付記することは、現場の税務職員にとってもそれほど難しいことではないのではなかろうか。
一般に、理由付記の機能としては、最高裁のいう①恣意抑制機能と②不服申立便宜機能のほかに、学説が③相手方に対する説得機能と④決定過程公開機能をあげてきた。
この③については、英米における行動経済学の最近の実験結果の中にも、これを支持しそうな材料がある。たとえば、この記事の紹介によると、
- 滞納者に対するレターに「90%が期日前納付であり滞納は少数である」旨を記すと、5.1%納付率があがった
- 税金の使い道について意見を述べる機会を設けると、コンプライアンスが15%あがった