加藤新太郎「事件のスジの構造と実務」高橋宏志ほか編『民事手続の現代的使命 伊藤眞先生古希祝賀論文集』(有斐閣,2015年)211頁,233頁注(27)。
民事訴訟審理の終盤で規範と結論との適合性に問題があると認識した場合に,裁判官が自覚的な法解釈により法規範を創造・形成することが試みられる,という本文に続くのが,この注(27)である。同注は,このような試みにも限界があるとする。そして,「具体的妥当性という点から結論のスワリが悪いと感じられるケース」として,相続税法上の「住所」の意義が問題となった武富士事件最判平成23年2月18日判例時報2111号3頁をあげ,かかるケースも「甘受しなければならない」と述べたうえで,須藤正彦『弁護士から最高裁判所判事へ』(商事法務,2014年)126頁を引用している。