04 February 2017

多国籍企業の撤退?

The Economist, 28 Jan 2017のこの記事である。2016年のポピュリズム反乱よりもかなり前から、多国籍企業(MNE)が退潮に向かってきたという。

  • 冷戦終結を受けて1990年代初頭にブーム
  • しかし過去5年で利益が25%も減少
  • 資本収益率は20年間で最低
  • その理由は30年にわたる裁定の窓が閉じつつあるから(たとえば中国の賃金上昇など)
  • しかも政治の風景はMNEに不利
そしてこの関連記事が、MNEの退潮を①投資家、②本拠地国、③ホスト国の3つの角度から分析。②のところでは、TPPとTTIPの失敗や、EUのState Aid調査、米国のインバージョン対策、米国の国境税調整などにふれて、これらの流れが続けばMNEの利益はさらに縮小するだろうと警告する。未来像は結びの次の言葉に表れているように、だいぶ暗い。
The result will be a more fragmented and parochial kind of capitalism, and quite possibly a less efficient one—but also, perhaps, one with wider public support.(【仮訳】その結果は、より断片化し偏狭な種類の資本主義であり、おそらくはより非効率的であるが、たぶんより広い人々の支持を得るであろう。)
これに対して、同じ雑誌の17 Sep 2016のこの記事の「強大なるMNE」像と整合しないという投書がすぐにポストされている。でも、たしかに数字はよくない。