我々は,世界規模で公正,現代的な国際課税システムのための取組を続け, 成長志向の租税政策についての国際的協力を歓迎する。我々は,「税源浸食と利 益移転(BEPS)」パッケージの実施に引き続きコミットし,全ての関連する法域 に「包摂的枠組み」への参加を奨励する。我々は,「共通報告基準(CRS)」に基づく金融口座情報の初回の自動的交換が 2017年9月に行われることを期待する。我々は,全ての関係法域が遅くとも 2018年9月までに交換を開始することを求める。我々は,税の透明性に関して合意された国際基準の満足のいく水準での実施を達成するための各法域による最近の進捗を称賛し,次回のサミットまでに,実施に向けた更なる取組を反映したリストがOECDから提出されることを期待する。リストに載った法域に対しては,防御的措置が検討される。我々は,開発途上国の税に関する能力構築への支援を引き続き支持する。我々はまた,税の安定性向上に,そしてOECDと共同で経済の電子化によって惹起される課税上の課題に,取り組んでいる。腐敗,脱税,テロ資金供与,マネーローンダリングに対する我々の闘いにおける重要な手段として,我々は,国内及び国際的場面における情報の入手可能性を含む,法人及び法的取極めの実質的所有者情報と透明性に関する国際基準の効果的な実施を進める。下線を引いたところで,「防御的措置」の中身が気になる。「税の安定性」の英語はtax certaintyであり,以前から「確実性」とか「明確性」とかのほうがよい訳だと思っていたが,最近の政府文書ではなんだか定訳っぽくなってしまっている。 「実質的所有者情報」の英語はbeneficial ownershipで,犯罪収益移転防止法の法令用語は実質的支配者。
上記首脳宣言に先立ち,このサミットのために提出されていた文書として,OECDの報告はこれで,FATFの報告はこれ。