9月末から続けてきた法学部・法科大学院合併のゼミ「税制と分配的正義(8)」が無事に終了した。問題意識を共有することや、資料作成上の倫理の徹底については、主催者としてそれなりに工夫したけれど、進行や内容はすべて学生のみなさんにゆだねた。そもそもどんな本を会読するかも、参加者の意見で決めてもらった。ここまでゼミ担当教員が黙っていると、みなさんがしっかり考えてくれて、結局、この3冊をこの順番で会読することになった。
それぞれに読み応えのある本で、準備のためにかなり時間をかけたけれど、ずっしり重かった。消化不良のところも多々あったと思う。けれども、課外でずいぶんグループごとに相談したり協力したりしてくれていて、ほとんどの人たちが初対面だったのに、急速にお互いのことがわかるようになった。ずっとオンラインだったにもかかわらず、ブレイクアウトセッションをしたり、slackでやりとりをしたり、ずいぶん濃密に議論できた。
個人的にも、everyday libertarianの心根を以前よりも理解できるようになったとか、r>gは本当にくつがえせないのだろうかとか、COSTに対する反感は木庭先生のおっしゃる占有で保障すればいいかなとか、けっこうCalabresiはえらかったとか、いろいろ思うところがあった。熱心な参加者に深く感謝したい。
ゼミが終了した時点でさらにあれこれ議論しながら会読したい本が増えるのは、いいことだ。まず、PikettyのCapital and Ideology (2020)は、これもまた長大な本だけど、有志でそのIntroductionくらいはわいわいと読んでみたい。ほかにも、MilanovicのCapitalism, Alone (2019)とか、PistorのThe Code of Capitalとか、LPE系統の論文群とか。こうしてみると、ぜんぜん時間が足りないなあ。