新潟でのG7 財務大臣・中央銀行総裁会議が終了した。そこに向けてOECDから報告されたのが、2023 Progress Report on Tax Co-operation for the 21st Century, OECD Report for the G7 Finance Ministers and Central Bank Governorsである。この報告書は、昨年のReportを更新しつつ、税務執行の新しい取り組みについて報告している。
- 法人税 GloBE Information Return(GloBE情報申告)のone stop shop、やりとりの完全なデジタル化、Lead Tax Administration主導の協調的アプローチ(各国当局がバラバラに執行するコストを避ける)、共通かつ同時のリスク評価、発見されたリスクへの協調的対応、早期かつ拘束的な解決、重複要件の排除
- 法人税以外 CARF、Platform Operators
- 途上国 柱2が租税誘因措置にどう影響するかのパイロットプログラム、2つの柱の実施に向けての能力開発、デジタル貿易とVAT、税務行政のデジタル化、情報セキュリティ管理
2つの柱の実施が各国当局間の高度の協調を必要としており、その中で多国籍企業の事務負担をどう調整していくか、いろいろな対応を試みている。日本の国税庁がCRS情報をきっかけに個別的情報交換を要請し、オフショア相続財産を捕捉した例も紹介されている(パラ49)。
この報告を受けて、G7財務大臣・中央銀行総裁声明は、次のように歓迎の意を表明した(日本語仮訳のパラ24を引用する)。
24. 我々は、OECD/G20 包摂的枠組みによる経済のグローバル化及びデジタル化に伴う課税上の課題に対応し、より安定的で公正な国際課税制度を確立する二つの柱の解決策の迅速かつグローバルな実施に向けた我々の強い政治的コミットメントを再び強調する。我々は、第 1 の柱に関する多国間条約(MLC)の交渉における重要な進展を認識し、合意されたタイムライン内に MLC の署名ができる状態となるよう、交渉の迅速な完了に対する我々のコミットメントを再確認する。我々は、第 2 の柱の実施に向けた国内法制における進展を歓迎し、包摂的枠組みに対し、グローバルに一貫性のある実施のために、更なる執行ガイダンスについて作業することを求める。我々は、途上国に対して、二つの柱の解決策の実施に係る支援の重要性を強調しつつ、持続可能な税収源を築くための税に関する能力強化に対する支援を更に提供する。我々は、OECD の「21 世紀の税務協力に関する 2023 年進捗報告書」を歓迎する。