ケースブック租税法が、2023年9月に第6版になった。
第5版が出たのが2017年10月だったから、それからもう6年。手元の索引で数えてみたら、新しく追加された判決が76件あった。この数え方は、東京高判平成29年2月23日(残波事件)以降のところを数えただけなので、実際にはもうすこし多いかもしれない。
もともとの初版は2004年8月公刊で、そのときは680頁あった。その後の授業経験を踏まえ、改版のたびに、あるいは「新しい投資形態と所得課税」の編を削り、あるいは「租税法と憲法」の章を削り、といった工夫がなされてきた。分量を抑制しつつ内容を充実するために、フルに取り上げていた事件をNotes and Questionsに移動したり、判旨引用をやめて過去の版への参照にとどめたり、といったこともあちこちで敢行されている。こうして今回の第6版は644頁になった。
かつて初版を使った授業に出席された方から、この第6版について、うれしいお便りをいただいた。そのまま引用する。
私が法科大学院で勉強したときに読んだ[初版]からこんなに版を重ねて、しかし分量はほとんど増えていない編集の妙に驚きました。論文や資料の引用についても、自分が学生として拝読していたときはほとんど気づかなかった工夫が随所に施されていて、感銘を受けました。
「スリムで筋肉質」になった教材を使って、今年もあとすこしで授業開始である。
*2023/09/20/13:13JST追記→第5版から第6版への変更点をまとめたNoteに接した。ずいぶん変わったものだ。たとえば§330.01税率など、法定税率と実効税率の違いが明記され、参考文献も企業の立地競争との関係が学べるものに更新された。