名古屋大学の佐野智也、増田知子、外山勝彦、駒水孝裕ら(敬称略)の研究グループが、明治19年から平成29年(1886-2017)までに公布された法律と勅令を全文検索できるデータベースをつくってくださった!
この公開サイトから検索できる。さっそくに、「所得税」という検索用語を打ち込んで、「法令名のみ」を検索してみると、ただちに289件の検索結果が表示された。明治20年所得税法(勅令第5号)からはじまり、明治32年所得税法(法律第17号)や、明治32年所得税法施行規則(勅令第78号)など、テクストデータがたちどころに閲覧できる。「沿革」の欄に改正経緯が付されており、「リンク」の欄に官報などへのリンクが付されているのも、大変に親切である。外地税制に関する法律や勅令がまとまってヒットするのもありがたい。
私はだいぶ前、1954年日米所得税条約の国内法との相互関係を調べたとき、昭和26年から28年にかけての所得税法のテクストを入手する、というごく単純なはずのミッションに手こずった。そういう話は、もはや過去のものである。このデータベースを利用すれば、この手の調査コストは激減する。
名古屋大学の上記サイトの説明によると、
これまで多くの法学研究において法令や判例情報の調査収集にデータベースを利用する際は、個別の事件処理等を意識した限定的利用が主でした。それを越えて、大規模データを使って政策や法令を俯瞰し、経時的に解析しようという研究は、国内的にも国際的にもほとんど例がありません。
今回の研究成果は、法学・政治学・歴史学における研究の出発点として提供される基礎データの範囲を大きく拡大させ、問題設定方法自体の革新を含め、新しい方法論の確立にも貢献すると予想されます。
とのこと。たしかに、使い手の想像力に応じて、ほぼ無限の可能性が広がっている。感謝したい。