03 June 2020

米国通商代表部,デジタルサービス税の調査を開始

2020年6月2日,USTRが各国のデジタルサービス税(Digital Services Taxes, DSTs)に関する調査を開始した。その公告を読んだら,こんなことが書いてある。

まず,入手可能な証拠が示唆するところによると,以下の法域のDSTが,巨大な米国ベースのIT会社を標的にするものと予測される,としている(2頁以下)。
  • オーストリア 2020年1月から施行
  • ブラジル 検討中
  • チェコ 検討中
  • EU 検討中(コロナ回復プランの一環)
  • インド 2020年4月から施行
  • インドネシア 採用済,実施措置必要
  • イタリア 2020年1月から施行
  • スペイン 検討中
  • トルコ 2020年3月1日から施行
  • 英国 検討中,議会審議の最終段階
そして,調査の当初の力点は,DSTに関する下記の懸念にあるという(5頁)。
  • 米国企業への差別
  • 遡及適用
  • 潜在的に不合理な租税政策(米国税制および国際租税システムの規範からの乖離,たとえば,域外適用,売上高課税,特定IT企業の商業的成功を懲罰する目的)
この動きは,デジタル課税の協議がG7で見送られるという報道があってから,ほんの数日後のこと。一国主義的な対抗措置を撃ち合う様相。昨年夏には,フランスのDSTに対して米国はワインへの関税で対抗するぞ,という話があった。事態は残念ながら,国際協調の方向へではなく,一国主義の方向へと動きつつあるよう。

日本でも新聞記事になってきてる。吉村教授のtweet。米国の記事

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