25 December 2025

大企業の税務コンプライアンスを考える

大企業の税務コンプライアンスを考える」と題する講演を、日本租税研究協会の第77回租研大会記録に掲載していただいた。2025年9月17日に東京の日本工業倶楽部で口頭報告した原稿をもとに、当日にフロアからいただいたコメントを織り込んで活字にしたもの。

この講演では、5 つの問いをたてて、考えてみた。

  •  大企業の税務コンプライアンスがなぜ重要か
  • 協力的コンプライアンス(cooperative compliance)の研究状況はどうなっているか
  • 応答的規制(responsive regulation)の理論的基礎はどこまで強靭か
  • 日本の取組みはどうなっているか
  • 租税の確実性(tax certainty)は神話なのか

結果の一部を記すと、第2の点について、協力的コンプライアンスは、OECDの2013年報告書を基本文書として、内外で意欲的に研究されてきた。第3の点について、 応答的規制の理論的基礎は、協力的納税者と非協力的納税者の分布に依存しており、そのため両者をどう判別するかという課題がある。第4の点について、 日本の取組みとして、2011年から税務コーポレートガバナンスの働きかけがはじまり、対象拡大やインセンティブ付与をめぐって議論が続いている。このように、過去10年の議論状況を整理し、意見を述べることができた。

フロアから最も反応を得たのは、第5のtax certaintyに関する点で、"good enough" complianceを求めるべきだ、というPeter Barnes教授の指摘への共感が明らかに存在した。加算税の「正当な理由」や、企業がPillar Twoに対応するためのコンプライアンス・コストなど、まさに具体的な素材が関心事なのだとわかる。




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