【これまで】
【今回】
ちょっと大風呂敷を広げている感じがしたので、ハルシネーションではないかどうか、確認してみた。
Q 上記の「法学全体の研究潮流」は、どんなソースに依拠して、記述しているのか?
これに対する応答は、以下の通り。所要時間52秒。
以下引用***********
上記の「法学全体の研究潮流」は、特定の1冊に依拠した叙述ではなく、(少なくとも英語圏を中心とする)法学の“プログラム論文/概念史的整理/方法論宣言”として広く参照される文献群を、いくつかの軸で**総合(triangulation)**して描いたものです。依拠したソースの「類型」と「代表文献」を、私が使った対応関係が分かるように整理します。
1) 「ガバナンス転回(規範中心→統治・実装中心)」の根拠
ここは、行政法・規制研究・公共政策の交点で形成された“regulatory state / governance”系の古典と、法学内部の “New Governance” 論が柱です。
**Regulatory state(規制国家)**の概念化:Majone「From the Positive to the Regulatory State」など(規制による統治へのシフトを説明)(Cambridge University Press & Assessment)
**Governance(governing without government)**の整理:Rhodes「The New Governance」(SAGE Journals)
法学内部での“New Governance”宣言:Lobel「Setting the Agenda for New Governance Research」(規制領域横断の研究潮流として提示)(scholarship.law.umn.edu)
私の叙述で言う「正当化だけでなく、誰が・どの手続で・どう運用するかへ」という部分は、この系譜(規制国家+新ガバナンス論)に依拠しています。(Cambridge University Press & Assessment)
2) 「トランスナショナル化(国内法の閉域→国際的ルール形成・ソフトロー・相互運用)」の根拠
ここは、国際法/国際関係法の側の“トランスナショナル法過程”と、国際機関・私的主体を含む規制の「行政法化」を論じる潮流が柱です。
Transnational Legal Process:Koh「Transnational Legal Process」(国家・非国家アクターが複数フォーラムで規範を“作り・解釈し・執行し・内面化する”という枠組み)(UNL Institutional Repository)
Global Administrative Law(グローバル行政法):Kingsbury/Krisch/Stewart「The Emergence of Global Administrative Law」(国際機関等の意思決定に、手続・理由提示・審査など行政法的コントロールが立ち上がるという整理)(Duke Law Scholarship Repository)
私の叙述で「条約だけでなくモデルルール・ソフトローが実質拘束」「法源・正統性が前景化」としたのは、この2つ(TLP+GAL)の議論枠組みを下敷きにしています。(UNL Institutional Repository)
3) 「実証・社会科学化(Empirical/Socio-legal turn)」の根拠
ここは、**Empirical Legal Studies(ELS)**の制度化を示す編集序文・ハンドブック類と、法と社会(socio-legal studies)の系譜です。
JELS創刊と方法論宣言(ELSの自己定義・制度化の指標):Eisenbergら「Editor’s Introduction」(Journal of Empirical Legal Studies, 2004)(Wiley Online Library)
ELSの概説・位置づけ:Eisenberg「The Origins, Nature, and Promise of Empirical Legal Studies」(2011)や、Oxford Handbookの導入部(ELSの国際的拡がりにも言及)(scholarship.law.cornell.edu)
規制研究と“応答的規制”(法執行のデザインを社会科学と結ぶ代表作):Ayres & Braithwaite『Responsive Regulation』(1992)(John Braithwaite)
私の叙述で「解釈学だけでなく制度効果の検証が標準化」「コンプライアンス研究が方法論的に拡張」とした部分は、ELSの制度化(JELS等)+応答的規制の流れに依拠しています。(Wiley Online Library)
4) 「データ化・AI化(アルゴリズム行政/手続保障の再設計)」の根拠
ここは比較的新しい領域なので、行政法原理(適正手続・説明責任・裁量統制)を、アルゴリズム意思決定にどう移植するかを論じる研究が中心ソースです。
公共部門におけるアルゴリズム意思決定と行政法原理:Oswaldら「Algorithm-assisted decision-making in the public sector…」(2018)(royalsocietypublishing.org)
アルゴリズムが「ルール」か「ガイダンス」か(手続法=APA等との接続):Henderson & Krass「Algorithmic Rulemaking vs. Algorithmic Guidance」(2023)(jolt.law.harvard.edu)
「手続的正義」や“voice(聴聞・参加)”の欠落を論じる近時研究:Kinchin「Voiceless: the procedural gap in algorithmic justice」(2024)や、due process by design(2025)(OUP Academic)
私の叙述で「説明可能性・バイアス・適正手続・救済が中核論点」とした部分は、こうした“algorithmic governance × administrative law/procedural justice”文献群に依拠しています。(royalsocietypublishing.org)
5) 要するに、何に依拠して“潮流”と言っているのか
私が「潮流」と言うときの根拠は、だいたい次の4種類です。
分野を定義した古典(概念装置の提示):Majone(規制国家)、Rhodes(ガバナンス)、Koh(TLP)、Kingsburyら(GAL)(Cambridge University Press & Assessment)
法学内部での方法論・運動の制度化:JELS創刊序文、ELS概説・ハンドブック(Wiley Online Library)
実装・執行設計を軸にした学際の定番:Responsive Regulation(John Braithwaite)
新領域(AI等)で行政法原理を再定式化する近時研究:Oswald、Henderson & Krass、Kinchin など(royalsocietypublishing.org)
(続く)