14 June 2015

最判平成27年6月12日(TK航空機リース雑所得区分事件)、「正当な理由」ありと判断

裁判所ウェブサイトのここ。匿名組合(TK)に関する所得税基本通達が、平成17年12月16日付けで改正された。最高裁は、このことをもって
所得区分に関する課税庁の公的見解は変更されたもの
と評価したうえで、平成15年分と16年分につき旧通達に従って不動産所得として申告していたことにつき、
真にA[原告・納税者]の責めに帰することのできない客観的な事情があり,過少申告加算税の趣旨に照らしてもなお同人に過少申告加算税を賦課することは不当又は酷になる
として、国税通則法65条4項の「正当な理由」ありと結論した。東京高判平成24年7月19日税務訴訟資料262号順号12204のこの点に関する判断を覆したものである。通達改正が経済活動に及ぼすかく乱効果を小さくするために必要な多方面の努力のひとつを、最高裁として果たしたものといえよう(控訴審の判批・税研178号46頁、49頁を参照)。

なお、この最高裁判決は所得区分につき次のように判示しており、TK課税に関する判例として意義がある。
匿名組合契約に基づき匿名組合員が営業者から受ける利益の分配に係る所得は,当該契約において,匿名組合員に営業者の営む事業に係る重要な意思決定に関与するなどの権限が付与されており,匿名組合員が実質的に営業者と共同して事業を営む者としての地位を有するものと認められる場合には,当該事業の内容に従って事業所得又はその他の各種所得に該当し,それ以外の場合には,当該事業の内容にかかわらず,その出資が匿名組合員自身の事業として行われているため事業所得となる場合を除き,雑所得に該当するものと解するのが相当である。前記・・・の取扱いを定める新通達は,その内容に照らし,これと同旨をいうものと解される。

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