24 December 2022

2022年中の柱1柱2のOECD文書リンクまとめ

令和5年度税制改正の大綱が閣議決定され、Pillar TwoのIIRの法制化が盛り込まれた(75頁以下)。同95頁以下に、【付記】各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税(仮称)の創設等。与党税制大綱について南繁樹弁護士のnewsletterも出ている。

この機会に、2021年10月合意以降のOECD文書へのリンクをまとめておく。出所はここ

17 November 2022

G20バリ首脳宣言

外務省のサイトに、G20バリ・サミットの概要。首脳宣言へのリンクは、下記のとおり。

G20バリ首脳宣言(日本語仮訳(PDF) 別ウィンドウで開く英文(PDF) 別ウィンドウで開く

税制に関する部分はパラ31である。仮訳からコピペしておこう。下線は増井による。

31. 我々はOECD/G20の2本の柱の国際課税パッケージの迅速な実施に対してコミットしている。我々は、第1の柱の進捗を歓迎する。また、我々は、共通アプローチとしてのグローバルなレベルでの一貫性のある実施への道筋をつける、第2の柱のグローバルな税源浸食対抗(GloBE)モデル法制の進捗を歓迎し、GloBE 実施枠組の完成を期待する。我々は、OECD/G20「BEPS包摂的枠組 」に対して、残された課題を含む、2023年前半における多国間条約の署名等による第1の柱の最終化、及び、第2の柱の租税条約上の最低課税ルール(STTR)の実施のための多国間協定の策定を可能とするためのSTTRの交渉の完了を求める。我々は、2022年7月の「税と開発に関するG20閣僚級シンポジウム」に照らし、税と開発アジェンダの強化に取り組み、我々は、「途上国と国際租税に係るG20/OECDロードマップ」に留意する。我々は、地域での取組を含む国際的に合意された税の透明性基準の実施における進捗を支持し、2022年 7月のアジア・イニシアティブ・バリ宣言への署名を歓迎する。また、我々は、我々が両方とも自動的情報交換のための国際基準に不可欠な追加 要素として認識している、暗号資産等報告枠組 と共通報告基準の改訂を歓迎する。我々は、OECDに対して、タイムラインの見込みを含む、実施パッケージに関する作業を完了することを求め、税の透明性と情報交換に関するグローバル・フォーラムに対して、そのコミットメントやモニタリング・プロセスに基づき、関係する法域による両方のパッケージの広範な実施を確保することを勧める。

11 November 2022

租税史料室の特別展示「近代の都市と税」

新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため臨時休館していた税務大学校の租税史料室が、10 月5日から再開していた。

本年度の特別展示は「近代の都市と税」をテーマにして、明治・大正・昭和の各時代の税を都市の視点から紹介するもの。以下に、概要へのリンクをコピペしておこう。

はじめに

  1. 1 近代都市の形成と税
  2. 2 都市の発展と税
  3. 3 都市の拡大と税

04 November 2022

第3回租税法学会賞の応募締切は11月末

 応募締め切りが10月末から11月末に延期されていた

租税法学会賞

若手研究者による租税法学の発展に寄与しうる研究を奨励することを目的として、租税法学会賞を創設しました。

第3回租税法学会賞の応募作品の募集を開始しました。奮ってご応募下さい。(2022/11/30〆切)

第3回(2023年度)租税法学会賞・募集要綱

第3回(2023年度)租税法学会賞・応募用紙

28 October 2022

学界展望〈財政法〉の3冊

国家学会は隔月に国家学会雑誌を出している。縦書きの雑誌なので、右向きに頁をめくると、通常はまず、「論説」からはじまる。ところが最近発刊された135巻9=10号はそうではなく、いきなり「学界展望」からはじまっている(809頁以下)。あれ?と思ってよく見ると、「論説」はその2本のいずれもが横書きのため、最終頁(914頁)から逆向きに掲載されていた。縦書きと横書きの混在ゆえに起こった現象といえよう。

この学界展望〈財政法〉で紹介されている3冊は次のとおり、おおいに興味をそそるラインアップだ。

書評文化の成立は学問の成熟をあらわす。学問領域としての財政法の豊かさを感じさせる。

18 October 2022

自由と正義、国際税務特集

自由と正義73巻10号に、「国際課税の変化と紛争処理のあり方」という小論を掲載していただいた。BEPSプロジェクトを契機に実質主義的なルールが増え、不確実性が増す中、国際課税の紛争処理がますます重要になってくる。そこで、①相互協議手続の改善、②仲裁制度の拡大、③消費税法の国際的側面に関する紛争処理手続の構築、といった課題があることを示し、日本の法律家の積極的な関与を訴えた。いずれの課題についても、現実に具体的な一歩を進めるには大変な継続的努力を必要とする。小論を書くことで何かが変わるようなたやすい課題ではないが、関係者のご教示を得てさらに検討を続けたい。

特集全体の目次をコピペしておこう。

特集 国際税務の現況と課題

  • 8国際課税の変化と紛争処理のあり方【増井 良啓】
  • 14国際課税ルールの形成過程におけるタックスロイヤーの役割【吉村浩一郎】
  • 20タックス・ヘイブン対策税制―法律家の活動の成果と今後の課題―【河野 良介】
  • 26国際相続と税務【酒井ひとみ】

07 October 2022

IFA日本支部、年会費一部減免

IFA日本支部が、年会費を一部減免する。以下がその概要で、会員になりやすいようにするための環境づくりの一環。 詳細はこのリンクを参照。

************
2022年9月30日に開催されたIFA日本支部臨時総会において、次のとおり、年会費の一部減免措置が承認されましたので、ご連絡申し上げます。
(1)毎年1月1日現在での年齢が40歳未満の会員については、年会費を半額の10,000円とする。 
(2)加入の年の1月1日現在での年齢が40歳未満である新規加入の会員については、加入の年に限り、年会費の全額を免除する。
(3)加入の年の1月1日現在での年齢が40歳以上である新規加入の会員については、加入の年に限り、年会費を半額の10,000円とする。
(4)上記(1)から(3)までの措置は、2022年1月に遡って適用する。 

04 October 2022

UTokyo BiblioPlaza

昨夏に出た本を、UTokyo BiblioPlazaで紹介

 ダークブルーとグレーの表紙

書籍名

Virtues and Fallacies of VAT:An Evaluation after 50 Years

著者名

Robert van Brederbrode (編)

判型など

678ページ

言語

英語

発行年月日

2021年8月1日

ISBN コード

9789403524238

出版社

Kluwer Law International / Wolters Kluwer

英語版ページ指定

英語ページを見る

01 October 2022

IFA日本支部セミナーで、岡直樹・GloBEルールと日本のCFC

1.2022年9月開催IFA日本支部Webセミナーを視聴した。
*日時:2022年9月30日(金)15時00分~16時30分
*場所:Zoom
*内容:GloBEルールと日本のCFC
*講師:岡直樹会員(東京財団政策研究所)
コメント:浅妻章如会員(立教大学教授)、山川博樹会員(デロイトトーマツ税理士法人パートナー)

2.岡会員のメッセージは明確で
(あ)15%グローバルミニマム税により全世界どこでも超過利益に対し最低15%の課税となりクロスボーダーで租税回避しにくい状態になる
→したがって、
(い)日本のCFC税制を見直して経済活動基準は廃止して差支えない
というもの。
この主張の背景には、多国籍展開する日本企業の事務負担がきわめて大きい、という抜き差しならぬ事情がある。すでに経産省「最低税率課税制度及び外国子会社合算税制のあり方に関する研究会」の9月1日報告書は、複数の声を併記していた。

3.これに対し、今回のセミナーは岡会員個人の単一の声で語られたし、より広く国際課税に関する「新しい展望」が語られた(後述の5)。さらに、岡会員の報告に対するコメントとして、浅妻会員が移転価格との役割分担や未実現所得課税の米欧比較を問い、山川会員がCFC税制の改革の方向(9月1日報告書の13頁以下も参照)やUTPRの合理性を論じた。総じて、GloBEルールの何たるかを皆で共有するためにおおいに有益であったと思う。近い将来に「租税研究」誌上で引用可能になることが待たれる。

4.上記2(あ)の前提については、今後、Pillar 2を実施していく段階で、全世界どこでも最低税率15%という状態への移行がどこまで進むか。逆に言えば、現実にはどの程度の「漏れ」が出てくるか。このことを注視していきたい。substance based carveoutで抜ける部分は当然あるし、軽課税国がQDMTTで「対応したふり」をする(一般法人税率は依然として15%を下回っていてもかまわない)ことなど、いろんな展開がありうる。また、議論の大前提として、日本が法人税率30%を維持する場合、その半分の水準で割り切ってよいか、という点はあらためて要確認。

5.岡会員は結びのところで、「IIR、UTPRは、国境を越えた課税のありかたに新しい展望をもたらしたと言えそうだ」と述べた。この感触をきけたのが、ぼくにとっては一番大きな収穫。もはや、個別法人単位の規律をとびこえていることはもちろん、自国にnexusがあるから課税するというわけでもなく、そもそも自国の税収確保のための課税でもない。軽課税国に最低税率15%をやらせるための手段として税を使っているだけ。だから既存の国際課税のロジックはとびこえている。一般国際法が許容する範囲でなんでもあり(経済制裁でも安保理決議でもOK)という世界ではないか。

31 August 2022

The Memoirs of Stanley S. Surrey

今夏は東京も猛暑で大変だったが、サリー教授の回顧録を読めたのが夏休みの収穫だった。この本だ。A Half-Century with the Internal Revenue Code: The Memoirs of Stanley S. Surrey, Edited by: Lawrence Zelenak, Ajay Mehrotra, Carolina University Press, 2022

1945年夏に海兵として東京に来た時には軍の階級が低くて帝国ホテルに入れなかったが、その後、1949年にシャウプ勧告のメンバーとして東京に滞在したときには帝国ホテルに宿泊したという。1972年10月に東京大学で講演したことも出てくる(この時の様子は日本側では租税法学会の学会誌創刊号である租税法研究第1号に記録されている)。1978年に訪日したときに金子宏教授が視察旅行に同行されたことも、書かれている。

1969年からIFA(国際租税協会)のPSC(常設学術委員会)のメンバーとして議論の活性化に尽力したことや、国連モデル租税条約の起草をリードしたこと、あるいは、ハーバード大学にITP(国際租税プログラム)を創ったことなど、なつかしくもありなじみ深くもあるエピソードが、本人の手で活写される。

何よりも印象的だったのが、1930年代のリアリズム法学全盛期のコロンビア大学で学んだのち、government lawyerとして続々と成果をもたらしていくダイナミックな仕事ぶりである。ALI(アメリカ法律協会)のプロジェクトを次々と主導して、制定法の改善に取り組み、それが1954年法典の基礎になっていく。こういった初期の活躍ぶりをはじめとして、まさに「内国歳入法典との半世紀」という題名にふさわしい内容。歯に衣着せぬ率直な文章で、同時代の人物評や政策評価のひとつひとつが味わい深い。しかもそれに、編者による丁寧な注釈がついていて、背景理解を助けてくれる。

サリー教授は1984年に逝去され、残された原稿がOldman教授の研究室からHalperin教授の研究室を経て、今回の出版に至ったようである。2022年の今、これを読むことができて本当によかったと思う。全体は大部な書物だが、編者による導入の章はここで読める。また、この回顧録を用いた租税支出に関する論文も出ている。


08 August 2022

租税法学会第51回総会プログラム

ここにアップされた。開催校幹事は関西大学の辻美枝教授。対面式開催を予定。ただし、「新型コロナウイルス感染症の拡大状況によっては、総会を全面オンラインで開催する可能性があります。オンライン開催をする場合には、9月26日(月)午後に学会ホームページにその旨掲載」との注意書きがある。下記にプログラムをコピペしておこう。

日時 2022年10月16日(日)

場所 大阪府吹田市山手町3丁目3−35  関西大学千里山キャンパス 100周年記念会館

次第

(1) 議事総会・第2回租税法学会賞授与式 (午前10時〜10時45分)

会務報告、会計報告、その他

(2) 研究総会 (午前10時45分〜午後5時05分)

オープンイノベーション時代の企業課税

①研究報告

「法⼈課税の現在地とその課題」報告:渡辺徹也(早稲田大学)コメント:安井栄二(立命館大学)

「配当課税の構造と問題」報告:小塚真啓(岡山大学)コメント:増井良啓(東京大学)

「パススルー課税の現状と未来」報告:田中啓之(大阪大学)コメント:高橋祐介(名古屋大学)

「経済のデジタル化と国際課税」報告:大野雅人(明治大学)コメント:宮本十至子(立命館大学)

②質疑討論

02 August 2022

National Tax Journalで、Kleinbard追悼

Stateless incomeで有名なEdward Kleinbardさんががんで亡くなったのが2020年7月のこと。National Tax Journalはすぐに弔辞を出していたが、その後追悼のフォーラムを開き、2022年6月号(Volume 75, Number 2)で3本の論説を公刊した。多くの論者に惜しまれる人だった。敬意を表し、以下にそのリンクを張っておく。

FORUM: APPRECIATING A PRACTITIONER AND SCHOLAR ON A MISSION TO IMPROVE FISCAL POLICY: A FESTSCHRIFT IN HONOR OF EDWARD KLEINBARD

27 July 2022

IFA Japan: Preparatory session on Cancun branch reports

来週月曜に近づいたので、ここの案内を下記にそのままコピペする。

  • 2023年IFA カンクン大会ブランチレポーターによる中間報告会開催のお知らせ

 来る8月1日(月)に下記の中間報告会(研究準備報告会)を開催いたしますので、是非ご参加ください。(詳細につきましては、メールおよびFAXをご参照ください)
 日時 2022年8月1日(金) 13:30~15:30
 場所 Zoom(Webinar)によるweb会議
 議題 2023年IFA カンクン大会ブランチレポーターによる中間報告会(研究準備状況報告)
    Subject1: Sharing and shifting of corporate losses-The new profit shifting?
            長島・大野・常松法律事務所 弁護士 吉村浩一郎会員
      Subject2: Good faith in domestic and international tax law
          明治大学特任教授 池田義典会員
 お申し込みは、こちらから可能です(7月28日までにお申し込みください)。IDおよびPWにつきましては、メールおよびFAXで送信した案内状に記載されているものをご利用ください。皆様のご参加をお待ちしております。




25 July 2022

野田恒平・還流する地下資金、連載完結

2022年7月号「終章:デジタル革命と地下資金」で完結。全体として「読ませる」もので、麻薬が刑事政策上どれだけ重要性の高いものかを実感させるなど啓発的。租税法との関係ではとくに第6回の実質的支配者(BO)の解説が必見。単行本化が強く望まれる。以下、Ciniiの検索結果に、財務省「ファイナンス」誌のリンクを張っておく。

還流する地下資金 : 犯罪・テロ・核開発マネーとの闘い(1)地下資金対策・序説

還流する地下資金 : 犯罪・テロ・核開発マネーとの闘い(2)麻薬犯罪と地下資金

還流する地下資金 : 犯罪・テロ・核開発マネーとの闘い(3)FATF : 成立とルール・メイキング機能

還流する地下資金 : 犯罪・テロ・核開発マネーとの闘い(4)FATF : 実質的強制力とジレンマ

還流する地下資金 : 犯罪・テロ・核開発マネーとの闘い(5)官民のバーデン・シェアリング

還流する地下資金 : 犯罪・テロ・核開発マネーとの闘い(6)背後にひそむ真の人物を探る

還流する地下資金 : 犯罪・テロ・核開発マネーとの闘い(7)汚職対策とマネロン規制の深い関係

還流する地下資金 : 犯罪・テロ・核開発マネーとの闘い(8)定義なき「テロ」と闘う米国と世界

還流する地下資金 : 犯罪・テロ・核開発マネーとの闘い(9)国家自身が生み出すテロ資金

還流する地下資金 : 犯罪・テロ・核開発マネーとの闘い(10)安全保障の試金石・金融制裁

還流する地下資金 : 犯罪・テロ・核開発マネーとの闘い(11)マネロンの刑事政策的展開

IFA Japan web seminar

 ここの掲示をコピペする。

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  • 2022年7月開催IFA日本支部Webセミナーのご案内

 この度、下記のとおりWebセミナーを開催いたします。会員の皆様のご参加をお待ちしております。
   日時:2022年7月27日(水)15時00分~16時30分
 場所:Zoom
 内容:BEPS Action 4に基づく過大支払利子税制の改正とその後の実務上の影響と対応
 講師:鬼頭朱実・公認会計士(PwC税理士法人パートナー)
   (当日は、菖蒲静夫会員(キヤノン理事)、辻美枝会員(関西大学教授)にコメンテーターをお願いしております。)
 お申し込みはこちらから可能です。お申込みに必要なID・PWはお送りしたメールに記載されております。

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関連リンク: BEPS行動4  2013年租研大会

20 July 2022

玉國文敏先生古希記念論文集(2017)

 機関リポジトリにアップされていた。以下がリンクのコピペ。

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法学新報第123巻 第11・12号
 
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