03 October 2025

租税競争をくいとめる(2024)をインタビュー形式にしてみた

新学期、授業の教材づくりの時期だ。以下では、教材づくりの一環として、増井良啓「租税競争をくいとめる」東京大学法学部「現代と法」委員会編『いま、法学を知りたい君へ』(有斐閣2024年)185-199頁の内容を、AさんがBさんにインタビューする、という形式に展開してみた。2025年10月3日にChatGPTを用いて作成。元の原稿の基準時は2023年12月末であり、その後の展開、とりわけ2025年6月末のG7と米国の共存アプローチ(side-by-side approach)については盛り込んでいない。

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導入

Aさん:いやあ、税金の話って難しいですね。なんか「法人税がどうのこうの」と言われても、正直ピンと来ないんです。今日はBさんに「租税競争をくいとめる」という論文について教えてもらおうと思います。よろしくお願いします!

Bさん:はい、任せてください。税金の世界は一見とっつきにくいですけど、実は「国際社会の知恵比べ」みたいな部分があって、面白いんですよ。

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Ⅰ 租税競争ってなに?

Aさん:まず「租税競争」って何ですか?なんか国家同士で「うちの税金安いよ~」って言い合ってるイメージですけど。

Bさん:そのイメージ、かなり正解です(笑)。

「租税競争」とは、各国が法人税をどんどん下げて、企業に来てもらおうとする現象のことです。例えば、ある国が「法人税を25%に下げました!」とすると、隣の国も「じゃあうちは20%!」と対抗する。そうやって下げ合戦が始まるんですね。これを「底辺への競争(race to the bottom)」と呼びます。

Aさん:なるほど…。企業にとっては税金が安い方がいいですけど、国としては税収が減って大変そうですね。

Bさん:そうなんです。税収が減ると教育や医療などにお金が回らなくなりますし、結局みんな困ってしまうんです。

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Ⅱ じゃあどうするの?──柱2(Pillar Two)

Aさん:じゃあ各国はどうやって「下げすぎ」を防いでるんですか?

Bさん:そこで出てくるのが「柱2(Pillar Two)」です。2021年に140近い国が合意して、「法人税の最低ラインを15%にしよう!」と決めたんです。

Aさん:へぇ~。つまり「どの国に行っても、法人税は最低でも15%」ってことですか?

Bさん:そうです。これで極端に安い国に企業が逃げるのを防ごうというわけです。ちなみに日本の法人税は国税+地方税で30%弱なので、15%は「最低ライン」としては控えめですが、それでも大きな意味があります。

Aさん:へえ、日本から見れば「うちの方が全然高いよ!」って感じですね(笑)。

Bさん:そうなんですよ。

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Ⅲ どうやって最低税率を実現するの?

Aさん:でも「最低15%」って決めても、守らない国が出てきそうですよね。

Bさん:いい質問です。そこで登場するのが「GloBEルール」です。これは「もしある国が15%に満たない税しか取ってなかったら、他の国で上乗せ課税しちゃいますよ」という仕組みです。

Aさん:えっ、他国が代わりに課税するんですか?なんか強引ですね。

Bさん:すごいでしょう(笑)。「あなたの国が安すぎるから、その分は親会社の国で回収しますね」という感じです。これで「抜け駆け」しにくくなる仕組みなんです。

Aさん:なるほど…。でも、別の国のことを考えて上乗せ課税するなんて、企業のほうは対応大変じゃないですか?

Bさん:そう、そこがまさに課題です。企業にとっては「頭痛が止まらない制度」なんです。日本の企業なんて、既存のCFC税制と合わせてダブル対応になっちゃって大変です。

Aさん:CFC…ってなんですか?

Bさん:簡単に言うと、日本の企業がタックスヘイブンに利益を移転するのを防ぐ仕組みです。柱2のIIRと似てるけど目的が違う。両方あると「二重チェック」みたいで、事務負担が増えるんです。

Aさん:あぁ…それ、会社の経理担当が泣きますね(笑)。

Bさん:ここ、笑うところじゃないですよ。なんて。

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Ⅳ 課題はいろいろある

Aさん:完璧な制度に聞こえるけど、何か問題あるんですか?

Bさん:ええ。大きく3つあります。

1. どの国が採用するか

 かなりの国がやらなきゃ意味がありません。主要国は進めてますが、もちろん全てではありません。

2. 軽課税国の抜け道

 補助金を活用したり、工場を呼び込むインセンティブを利用したりして、「形を変えた租税競争」が続く可能性があります。

3. ルールが複雑すぎる

 企業も国も事務負担が大きい。特に人手や制度が整っていない途上国には重荷です。

Aさん:へえ、いろいろありますね。抜け道って、なんだか、テストで「カンニング禁止!」って決めても、みんな工夫して新しいカンニング法を編み出す…みたいな話ですよね(笑)。

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Ⅴ 将来の展望──法人税はどうなる?

Aさん:でも根本的には「法人税」ってもう時代に合ってないんじゃないですか?

Bさん:そういう議論もあります。現在の法人税は無形資産に依存していて逃げやすい。だから将来的には「市場がある国に課税権を配分する仕組み」や「キャッシュフロー課税」に移行した方が安定的かもしれない、と研究者たちは提案しています。

Aさん:なるほど…。つまり「企業がどこにあるか」じゃなくて「商品がどこで売れてるか」で課税するってことですね。

Bさん:そうです。その方が「租税競争」が生まれにくい仕組みになる可能性が高いんです。

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Ⅵ 民主主義との関係

Aさん:ちょっと話は変わりますけど、国際合意って官僚が集まって決めるんですよね?それって国会の役割が小さくなって、民主主義的に問題ないんですか?

Bさん:そこも重要な論点です。条約や国際合意は官僚や政府が決め、国会は「事後承認」するだけ。つまり、国民の代表が細かい中身を修正する余地はあまりないんです。

Aさん:あ、それって「代表なくして課税なし」という原則に反しません?

Bさん:そう。だから「もっと国会や市民が監視できる仕組みが必要だ」という人もいるんです。透明性を高めることが大切なんですね。

Aさん:でも正直、僕ら普通の人は「税金の細かい国際ルール」って眠くなっちゃうんですよね(笑)。

Bさん:そこを何とか頑張ってほしいんです!少なくとも「こんな大きなルールが裏で決まってるんだ」っていう意識を持つだけでも違いますから。

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まとめ

Aさん:いやあ、今日のお話で「租税競争」って、国家同士の「法人税ディスカウント合戦」みたいなものだってわかりました。それを止めるために「柱2=最低税率15%」が導入されたけど、まだ課題山積みなんですね。

Bさん:そうです。そして「法人税の将来」や「民主主義との関係」も含めて考える必要があります。ちょっと堅いテーマですが、実は私たちの生活とも密接につながっているんですよ。

Aさん:なるほどです。今日はありがとうございました!

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