2011/03/24

米国のtax scholarshipはuselessか

2011年3月7日号のTax NotesにのったViewpointsに対して,3月14日号で,Duke Law SchoolのZelenak教授が反論した。その骨子をあらっぽくいうと・・・
  • 実務にとって有益な租税法の論文は消滅していない
  • 有益であるか否かの判断基準はより広くとらえるべきであり,たとえばtax policyについて研究論文を書くことも有益だ
  • 一見無益な理論的検討に熱中する研究者を責めないでほしい
といったようなことになる。1992年にJudge Edwardsが投げかけた批判の焼き直しだというコメントを含め,原文はこれをみよ。

2011/03/04

東京地判平成22・2・12(遠洋マグロ漁船員の住所)

インドネシア国籍の漁船員の住所が日本国内にないと判断した事例。

判決は,住所の意義について「社会通念に照らし,その場所が生活の本拠たる実体を具備しているか否か」で判断するとしたうえで,「船舶内は,その者にとってあくまで勤務場所にすぎないのであって,その乗船員がその地に定住する者としてその社会生活上の諸問題を処理する拠点としての生活の本拠は,その乗船員が生計を一にする配偶者や親族の居住地,あるいはその乗組員が,船舶で勤務している期間以外に通常滞在して生活する場所である」と述べた。この判示で,住所が日本国内にないという結論を導き出せそうである。

ただし,判決はさらに,「動産であり移動する船舶それ自体は『国内』であるということはできない」と判示する。この点,日本の国旗を掲げる船であれば,日本の法律の施行地であるというべきではないか。

この訴訟で争われていない問題は,日本とインドネシアの間の租税条約の適用関係である。本件の漁船員の勤務は,「他方の締約国(日本国)内において行われる場合」(15条1)にあたるのであろうか。

2011/03/01

AGAINST INTELLECTUAL MONOPOLY(2008)

Michele Boldrin and David K. Levins, AGAINST INTELLECTUAL MONOPOLY (2008)は,知的財産の擁護論を全否定。山形さんらの日本語訳がある。

2011/02/26

フランス革命前夜の財政

熱血のパンフレットが,その後読み継がれる古典となった。タイユ税の実態など,いわゆる近代税制ができてくる前の問題点が活き活きと読み取れる。

第三身分とは何か
シィエス
稻本 洋之助,伊藤 洋一,川出 良枝,松本 英実 訳

2011/02/19

最判平成22・10・15民集64・7・1764(所得税還付請求権の相続財産性,上野事件)

Aが生前に所得税更正処分について訴訟を提起していたところ,Aが死亡し,Xが訴訟を承継した。その後,処分の取消判決が確定し,所得税の過納金がXに還付された。Xは,これは相続財産を構成せず,Xの一時所得になるとして申告した。これに対し,税務署長は,相続財産にあたるとして,相続税の更正処分をした。

最高裁は,相続財産にあたると判断した。そうなると,同じ事案が将来に生じた場合,係争中の訴訟にかかる還付金を,いくらで評価すべきかが問題になる。この点,財産評価通達210は,「係争中の権利の価額は,課税時期の現況により係争関係の真相を調査し,訴訟進行の状況をも参酌して原告と被告との主張を公平に判断して適正に評価する」としている。筋のとおった取扱いではあるが,相続税の申告のアドバイスをする場合,判断に苦しむことが多いのではないか。割り切ってたとえば係争価額の5割評価を認めておき,裁判の確定後に調整する,といった解決ができればよいのだが。

[以下,2011年5月17日追記]
*係争関係の真相調査により適正に評価した金額が10で,10が相続財産のとして申告是認されたとする。そのあとで,訴訟が終結し,50の還付金が戻ってきたとしよう。差額の40だけ,さらに相続税が増額更正されることになるのだろうか。40があらためて相続人の一時所得か雑所得になるという解釈論は,判決のロジックとはあまりしっくりこないようだが,保険年金二重課税事件判決との関係も問題。
*宝くじを相続したあとで,1億円があたったら,その1億円は相続財産にならないだろう。これに対し,賃料増額請求や契約解除のような場合には,すでに相続財産があったということになるのだろうか。