2011/02/04

東京地判平成21・7・29判例時報2055・47(F1事業寄附金事件)

オランダ法人A社の営むF1事業に関し,内国法人Xが①担保提供→②資金提供→③債権放棄をしたところ,②が,租税特別措置法66条の4第3項にいう寄附金にあたるとした事例。②は,「形式的には消費貸借契約に基づく金銭の交付であったとしても,その実質は,A社に対して金銭を対価なく移転するものであり,かつ,その行為について通常の経済取引として是認することができる合理的理由は存在しない」としている。控訴審で維持,確定。

2011/01/21

最判平成21年12月10日(遺産分割と税徴39条)

滞納者が遺産分割をして,他の相続人に対して相続分をはるかに超える財産を取得させた事例で,国税徴収法39条の「第三者に利益を与える処分」に当たるとした。一般論は法定相続分を超える場合には「当たり得る」というものであり,事案へのあてはめについては原審の判断を是認しているから,相続分からどの程度乖離していれば該当するかが射程の問題になる。この事件では,滞納者である父親(相続分1/2)が相続財産の10%を得て,子ども(相続分1/4)が63%を得ている。

2010/12/05

英国法人税改革

英国財務省のロードマップに接した。
すでに2011年に,国外支店所得免除の導入が確実である。
これに加え,企業競争力確保のために,強いメッセージを出している。
*徐々に法人税率を24%まで下げることを確約
*知的財産の重要性に鑑みて10%で課税するpatent boxを設ける

かくして,グローバル経済に向き合って,政治的リーダーシップを発揮する。
そしてそのことで,法制度のinnovationをまきおこす。

もちろん,法人税改革のこのような方向性は,賛否両論のある問題である。
だからこそ,議論して方向を決めないといけない。
これができず,何事も「決められない」日本。
今のルール・メイキングの固着した状況はどういうことか。
森嶋通夫『なぜ日本は没落するか』(1999)は,結局あたっていたのか。

2010/12/04

さいたま地判平成21・11・25

みなし配当の根拠条文の規定振りに不思議な点があることを気づかせる判決だ。

所得税法25条1項は,会社が自己の株式を株主から取得し,個人株主が「金銭その他の資産の交付を受けた場合」,一定金額を剰余金の配当とみなしている。では,個人株主が,会社から借金をしていて,その債務の免除を受けた場合,みなし配当のこの規定は適用されるか。

この点につき,裁判所は,「ここに『金銭その他の資産の交付を受けた場合』には,金銭その他の資産の交付のみならず,同様の経済的成果をもたらす債務の消滅等があった場合も含む」と解している。この場合,会社側の利益積立金額の処理はどうなるのだろうか。