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2024/09/16

Tax administration is tax policy.

税務行政は租税政策そのものである、という趣旨で、

Tax administration is tax policy.

といわれることがある。この印象的なフレーズの原典は、世銀のこの本だ。すなわち、(シャウプ勧告で有名なあの)シャウプ博士を含む編者が、『途上国における付加価値税(Value Added Taxation in Developing Countries)』と題する書物を1990年に公表し、その中で、IMFのMilka Casanegra de Jantscherさんが、「付加価値税を執行する(Administering the VAT)」という論文を寄せた。その179頁右の箇所に、このフレーズが出てくる。引用する(イタリックは原文のまま、ボールド体は引用者による)。

My sole purpose is to point out that the broad-based and neutral tax discussed in public finance treatises is very different from the VAT that prevails in most developing countries and that administrative constraints are the main cause of this difference. Experience with the VAT shows, once more, that in developing countries tax administration is tax policy.

(仮訳)私の唯一の目的は、財政学の論文で議論されている課税ベースが広くかつ中立的な租税は、ほとんどの発展途上国で普及している付加価値税とは非常に異なっており、この違いの主な原因は行政上の制約であることを指摘することだ。付加価値税の経験は、発展途上国では税務行政租税政策そのものであることを改めて示しているのである。

この引用から明らかなように、もともとの文脈としては、途上国のVATの経験に照らし「途上国においては」そうだ、という意味であった。これがのちに限定を付さない形で、広く引用されるようになったのだろう。1992年のこの論文では、Milka Casanegra de Jantscher自身が、VATに限定せず「途上国においては」真の意味で税務行政は租税政策そのものであると述べていた。その後、Rihard M. Bird教授は、2004年の Administrative dimensions of tax reform, Asia-Pacific Tax Bulletin, Vol.10, No.3でも、その脚注5で上記1990年の論文を引用しつつ、より一般的に次のように述べている。

In a very real sense, “tax administration is tax policy”. Maximizing revenue for a given administrative outlay is only one dimension of the task of tax administration. Revenue outcomes may not always be the most appropriate basis for assessing administrative performance. How revenue is raised, i.e. the effect of revenue generation effort on equity, the political fortunes of the government, and the level of economic welfare, may be equally (or more) important as how much revenue is raised.

(仮訳) 真の意味で「税務行政は租税政策そのものである」。与えられた行政支出に対する歳入の最大化は、税務行政の任務の一側面にすぎない。歳入アウトカムは、行政業績を評価するための最適基準であるわけでは必ずしもない。歳入がどのように得られるか、すなわち、歳入創出努力が公平性、政府の政治的運命、経済厚生水準に与える影響は、どれだけの歳入が得られるかと同じくらい (あるいはそれ以上に) 重要である。

つまり、Bird教授によると、途上国のVATという元々の文脈を超えて、より普遍的な意味において、税務行政が租税政策そのものだ、というのである。そして、その内容として、歳入に劣らず公平・政治・経済厚生を考えなければならない、という点が敷衍される。なお、Bird教授には同タイトルでこの論文が2014年にあり、そのままリンク先で読めるが、引用してあるフレーズではisがイタリックになっていない(編集の都合だろうか)。

ところで、この"Tax administration is tax policy."というフレーズには、ぼく自身にも個人的な記憶がある。1990年代あたまに米国留学したころ、Milkaさんが大学のクラスにいらっしゃったのだったか、Washington DCへの見学旅行でお目にかかったのだったか、いずれだったかは忘れてしまったが、直に接する彼女の肉声がその大人風の物腰とともに、きわめて迫力に満ちていた。そのときの正確な発言が"tax administration is tax policy"だったか、はたまた"tax policy is tax administration"だったかは、いまとなってはぼくの記憶があいまいだ。文章に残っているところからすると、おそらく彼女の「決め文句」は前者だったのだろう。

2015/08/22

再分配的租税政策をめぐるパラドックス

UCLAのStark教授のこの論文が、

The Role of Expressive Versus Instrumental Preferences in U.S. Attitudes Toward Taxation and Redistribution, in Philosophical Explorations of Justice and Taxation 167 (edited by Helmut P. Gaisbauer, Gottfried Schweiger, and Clemens Sedmak, IUS Gentium, 2015).

米国の再分配的租税政策をめぐるパラドックスを論じていた。そのパラドックスとは、米国人が増大する経済的不平等に懸念を有しているという投票結果がある一方で、同じ投票結果によると、不平等を緩和する再分配的租税政策に大衆的反対が示される、というものである。イメージとしてわかりやすいのが、ブッシュ減税を契機にして2003年に出たマンガであって、Homer Simpsonが自分にもたらされた2ドルの減税を祝しており、しかし、実際には彼の裕福なボスはいくつものバッグ分の大きな減税を得ていた、というものである。

Stark教授は、投票者の選好表示が、instrumentalなもの(その政策を実現しようとするもの)でなく、expressiveなもの(政策の実現の有無にかかわりなく表示するためのもの、たとえばひいきの野球チームの試合で喝采しブーイングするがごとし)であるという仮説でもって、このパラドックスに挑んでいる。このexpressive preferenceという考え方は、公共選択論で1990年代からいわれてきたことらしい。へえ!

2024/08/26

中里古希祝賀論文集

市場・国家と法 -- 中里実先生古稀祝賀論文集が公刊された。租税法の基礎理論、租税法の実践的展開、租税法と公法、租税法とビジネスロー、古希をお祝いして、の5部構成。以下に目次をコピペする。

目次

租税法の基礎理論

最小国家における租税と貨幣 ……………………………………………………渡辺智之

所得の発生と通貨…………………………………………………………………藤岡祐治

所得と自由──ベルクソンからフィッシャーへ……………………………………岡村忠生

租税法と経済学と神経科学──Law, Economics and Neuroscience…………神山弘行

準自発的コンプライアンスについて………………………………………………増井良啓

制定法解釈における議会議事録の参照──イギリスのPepper v. Hart判決の分析…吉村典久

経営判断原則と租税法判断──租税回避否認要件に係る経済的合理性基準の研究…谷口勢津夫

租税法が企業の価格決定に介入することの限界について …………………藤原健太郎

Andreas Kallergis『課税管轄権』を読む……………………………………田中啓之

外国子会社合算税制(タックス・ヘイブン対策税制)の趣旨とその解釈のあり方…長戸貴之

政府系ファンドへの課税問題──国際法の観点から……………………………………中谷和弘

租税法の実践的展開

信託型ストック・オプションに関する租税法上の解釈問題……………………………渡辺徹也

受益証券発行信託型STO・PTS取引に対する適正な課税方法 ──特に不動産セキュリティ・トークンを素材として……………………………………………岩﨑政明

租税属性の移転可能性をめぐる議論──税額控除の給付・移転の広がりを素材に …吉村政穂

企業ファイナンスへの課税の影響Ⅱ……………………………………………橋本慎一朗

資産評価の文脈──国際課税と消費型所得概念を視野に入れつつ…………浅妻章如

租税法上の行政制裁の現状と展望………………………………………………佐藤英明

租税法における後発的事由………………………………………………………渋谷雅弘

執行可能な税制──構造的執行欠缺理論を手がかりに…………………………巽 智彦

国税犯則調査の性質──犯則調査は法体系上の「夾雑物」あるいは「鵺」か…笹倉宏紀

租税法と公法

ジャン・ボダンの主権論に関する覚書 …………………………………………長谷部恭男

準死について──人に関する研究ノート………………………………………小島慎司

納税の義務…………………………………………………………………………石川健治

スタンリー・サリーと日本における行政法の変容──理由附記法理の「原意」をめぐって

………………………………………………………………………………………渕 圭吾

国立大学法人の組織法──国際卓越研究大学の制度を契機として …………山本隆司

パテント・リンケージをめぐる行政法上の問題点──医薬品承認制度と特許権保護の交錯

………………………………………………………………………………………興津征雄

国家の経済活動関与と租税国家──近代日本からの考察一斑………………齋藤 誠

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)による積立金運用と法規定………太田匡彦

租税国家原理とは何か──その来歴とゆくえ……………………………………田尾亮介

財政法学の体系に関する試論──特に租税法との関係を念頭において………藤谷武史

公益法人と信託──実体法と税法の交錯…………………………………………溜箭将之

租税法とビジネスロー

ペイレシオ開示の目的とあり方について …………………………………………松井智予

米国におけるスタートアップ企業の組織形態選択と課税………………………星 明男

不正競争防止法における品質等誤認惹起行為……………………………………白石忠志

2023年企業結合ガイドラインにみるバイデン政権下の反トラスト政策 ………滝澤紗矢子

知的生産活動における「資源管理」と法──学際的な議論に向けた準備作業…小島 立

商標権の譲渡をめぐる問題──知的財産権取引と課税の議論の前提として …渕 麻依子

古稀をお祝いして

J. Mark Ramseyer/真砂 靖/古谷一之


中里実先生略歴/中里実先生著作目録

2026/01/29

ChatGPT、租税法の研究動向を語る

 窮屈な場所での長い待ち時間に、ChatGPTに聞いてみた。

Q 租税法の研究動向を、国際的・学際的視野の下で、説明せよ

すると、以下のテクストが生成された。所要時間25秒。

+++++++++++++++++++++++++++++++++++++

以下は、**国際的(制度形成の場・各国実装)学際的(法学×経済学×会計×政治学×心理学×情報科学)**の両軸から見た、近年(とくにBEPS 2.0以後)の租税法研究動向の「見取り図」です。


1. 国際租税秩序の再設計が、研究の“主戦場”になった

(1) グローバル・ミニマム課税(Pillar Two)を中心に、国内法・条約・会計・執行が一体化

  • GloBE(IIR/UTPR/QDMTT)実装が進むにつれ、研究テーマは「理念」から実務に耐える法技術へシフトしています(立法選択、定義、セーフハーバー、申告・情報報告、二重課税調整、紛争処理)。(OECD)

  • 2026年1月には、“Side-by-Side package”(共存・並立の枠組み)が提示され、特定国制度との整合や、QDMTT・申告(GIR)負担の位置づけが論点化しています。(OECD)
    → 研究としては、①「国際合意の法的性質(ソフトローの拘束力)」、②「国内実装の裁量と限界」、③「企業グループ課税の再構成(連結ベースの租税法理)」が中心課題です。

(2) Pillar Oneは“全面合意”より、部分モジュール(Amount B等)へ:TP研究が再編

  • Amount B(基礎的マーケ・販売活動の簡素化)がTPガイドラインに組み込まれ、2025年以降の適用選択が制度設計論点になっています(適用範囲、比較可能性、紛争予防)。(OECD)

(3) UN税条約化の動き:国際課税の“フォーラム競合”が研究対象に

  • 国連では**国際租税協力の枠組条約(Framework Convention)**をめぐるプロセスが進行し(交渉プロセスは2025–2027を目標とする説明もある)、OECD中心の秩序と並走する形で、正統性・包摂性・配分正義が強く論じられています。(financing.desa.un.org)
    → 「誰がルールを作るのか(ガバナンス)」と「どの価値を優先するのか(配分・開発・税源配分)」が、法解釈論そのものに影響する局面が増えています。


2. “執行・透明化・情報”が、租税法を情報法・刑事法・行政学へ接続した

  • 自動的情報交換、受益者情報、プラットフォーム課税、実質的支配者、ペナルティ設計など、透明化インフラが租税法の中核テーマとして定着。

  • 研究の焦点は、

    1. データ収集権限とプライバシー/適正手続(憲法・人権・行政手続)

    2. 国境を越える執行協力(国際行政法)

    3. 刑事・制裁の最適設計(刑事法・行動経済学)
      へ広がっています。
      → “課税要件論”だけではなく、情報→リスク選別→調査→争訟という「税務行政のプロセス法」が、研究フロンティアになっています。


3. 企業租税法は「会計・ガバナンス・サステナビリティ」と融合

  • 税務は企業の**ガバナンス(取締役の監督、税務リスク管理、開示)**と不可分になり、会計(不確実性、引当、実効税率)と一体で論じられます。

  • ESGの文脈では、**“tax transparency / responsible tax”**が、ソフトロー(開示基準・投資家要請)として企業行動を拘束し、法規範との交錯が研究テーマに。


4. 学際化の中心は「実証」「行動」「計量」:租税法研究の方法論が変わった

(1) 実証(Empirics)の標準化

  • 租税法の議論が、判例・条文解釈に加えて、ミクロデータ分析、自然実験、差の差分析、RCT、フィールド実験などを前提に組み立てられる場面が増加。

  • “租税法学”が、**法政策評価(リーガル・ポリシー・アナリティクス)**へ寄ってきています。

(2) 行動科学(tax compliance / tax morale)

  • 「なぜ人は税を払うのか」を、制裁だけでなく、社会規範・信頼・手続的公正・ナッジで説明し、制度設計(申告簡素化、通知文言、第三者報告)に落とし込む研究が定着。

(3) AI・デジタル化:税務行政3.0と法的統制

  • AIによるリスク選別、電子インボイス、リアルタイム報告、プラットフォームデータ連携が進み、論点は

    • アルゴリズムの透明性・説明可能性

    • 差別・偏り(バイアス)と救済

    • 自動化された不利益処分の適正手続
      へ展開。租税法が情報法・行政法・統計倫理と接続します。


5. 比較法・政治経済学の再評価:税は「制度の産物」として研究される

  • 同じ“所得課税”でも、執行能力、社会保障、財政連邦制、地方税体系、政治文化で機能が変わるため、比較制度論が強まっています。

  • とくに国際課税では、国内政治(産業政策・対外関係)と租税立法が直結するため、**政治経済学(誰が得て誰が負担するか)**が解釈・立法論に入り込む傾向が顕著です。


研究動向を一言でまとめると

  1. 国際協調(OECD/UN)×国内実装が中心軸になり、

  2. 租税法は情報・執行・会計・ガバナンス・行動科学・AIへ接続して、

  3. 「解釈」だけでなく**制度運用と効果(実証)**を含む総合領域へ拡張しています。


(続く)

2012/03/07

オックスフォードで租税政策形成のシンポジウム

3月8日から9日にかけて行われる。「租税政策の形成における構造・プロセス・ガバナンス」と題するinitial reportは,英米独仏などの対象国において,租税政策の形成の重要性が十分に評価されていない(the importance of tax policy-making is undervalued)としている。

2023/06/20

法システムとしての租税法Ⅰ:法制度の中における租税法の機能

 フィナンシャルレビュー152号の特集が、本日公刊された。目次をコピペしておこう。

<特集>法システムとしての租税法Ⅰ:法制度の中における租税法の機能

 

 序文(PDF:605KB)

  1. ローマ数字1.本特集号の目的
  2. ローマ数字2.本特集号の視座と構成
  3. ローマ数字3.今後の展望

中里  実

(東京大学名誉教授)

神山 弘行

(東京大学大学院法学政治学研究科教授)

 法制度の効率性と租税法の役割
―Kaplow & Shavell の“double distortion” テーゼ再訪

本文(PDF:1126KB)

  1. ローマ数字1.本稿の研究課題と意義
  2. ローマ数字2.Kaplow & Shavell(1994)再訪
  3. ローマ数字3.KS1994 を巡る米国法理論史
  4. ローマ数字4.考察のまとめ

藤谷 武史

(東京大学社会科学研究所教授)

 所得再分配を巡る法制度:GAFA 課税問題と才能課税問題との接点に関する試論

本文(PDF:1221KB)

    1. ローマ数字1.序:最適課税論の出発点と前提
    2. ローマ数字2.従来の移転価格税制の考え方は何故GAFA 等にうまく当てはまらないか
    3. ローマ数字3.長期個人視点の租税法学と短期世帯視点の社会保障法学
    4. ローマ数字4.生涯単位の稼得能力
    5. ローマ数字4.まとめ:所得税という名前だから所得稼得者側の属性の単一の指標を突き詰めることが理想とは言い切れないかもしれない

浅妻 章如

(立教大学法学部教授)

 スタートアップ企業によるイノベーションを促進する税制の設計のあり方

本文(PDF:1142KB)

    1. ローマ数字1.はじめに
    2. ローマ数字2.イノベーション促進税制の正当化
    3. ローマ数字3.イノベーション促進税制の設計
    4. ローマ数字4.わが国のイノベーション促進税制の評価
    5. ローマ数字5.おわりに

長戸 貴之

(学習院大学法学部教授)

 通商法と租税法の抵触
―デジタルサービス税をめぐる論点を素材として―

本文(PDF:863KB)

    1. ローマ数字1.問題の所在
    2. ローマ数字2.新しい領域における衝突
    3. ローマ数字3.結びに代えて

吉村 政穂

(一橋大学大学院法学研究科教授)

 租税の機能としての景気調整機能

本文(PDF:1106KB)

    1. ローマ数字1.はじめに
    2. ローマ数字2.租税法と租税政策における景気調整機能の位置付け
    3. ローマ数字3.現行法の分析
    4. ローマ数字4.おわりに

藤岡 祐治

(一橋大学大学院法学研究科准教授)

 世代間衡平と租税法
―租税・財政・社会保障―

本文(PDF:1212KB)

    1. ローマ数字1.はじめに
    2. ローマ数字2.現在世代の将来世代への責任
    3. ローマ数字3.危機対応の財源
    4. ローマ数字4.社会保障法と租税法
    5. ローマ数字5.結びに代えて

神山 弘行

(東京大学大学院法学政治学研究科教授)

 

2023/12/08

租税法入門第3版

租税法入門第3版を出版していただきました。

第2版の刊行後5年余りの間に、税制改正が繰り返され、重要判例が登場し、注目すべき研究が公表されました。そこで、このような新しい動きを織り込んで、第3版としました。所得課税を中心に租税法の見取図を簡潔に描くこと、そのさい租税政策を意識すること、という基本方針に変更はありません。

租税法の学習を山登りにたとえると、所得課税を素材として租税法に入門するのは、よく整備された太い山道を登ることに似ています。登山者の往来も多く、議論の蓄積もあるので、初めて租税法を学ぶ方に適しています。日本における公的サービスの資金源としては社会保険料や消費税の比重が高まっていますが、租税法の学習にあたってまず所得課税に取り組むことの利点は明らかです。

ときおり、『租税法入門』という本書の題名が入門書のイメージにそぐわない、とおっしゃる方がいます。これに対しては、本書の初版への書評が次のように指摘してくれています。「本書は、租税法の入門書といっても、税金の計算方法を学ぶ書物ではなく、『租税法』という学問として、そのような計算を基礎付ける思想や計算の意味を考えて、あるべき課税の姿を考えようとする書物である。」(須藤典明「Book Review 租税法の明日を求めて 増井良啓『租税法入門 (法学教室ライブラリィ) 』を読んで」金融法務事情1998号[2014年]124頁)。まさにこの指摘の通り、現行法の骨格を学び、その基礎を問う営みへの入門、という意味として題名をご理解いただければ幸いです。

本書の改訂が可能になったのは、あたたかく励ましてくれた先輩・同僚・友人と、熱心に講義や演習に参加された方々のおかげです。安佐鎮裁判官は本書第2版の韓国語版を公刊されました。有斐閣編集部の皆さまはプロフェッショナルな仕事を遂行されました。感謝申し上げます。




2017/09/28

木村弘之亮先生古稀記念がでていた

公法の理論と体系思考 ― 木村弘之亮先生古稀記念
“Wissenschaft ist eine neue Idee” の灯火の下、租税法の本質的・体系的理論に挑む。
著者木村弘之亮先生古稀記念論文集編集委員会 編
ジャンル法律 > 行政法
法律 > 行政法 > 税法
出版年月日2017/08/20
ISBN9784797256925
判型・ページ数A5変・536ページ
定価本体12,000円+税
在庫在庫あり
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目次

『公法の理論と体系思考 - 木村弘之亮先生古稀記念』

  木村弘之亮先生古稀記念論文集編集委員会 編


【目 次】

◆第1部◆ 租税法 ---------------------------------------------

◇Ⅰ 実体法 

1 地方税法と地方税条例との関係の再検討 〔碓井光明〕

1 はじめに
2 地方税法の規定の展開
3 地方税と租税法律主義との関係
4 地方税法の位置づけをめぐる議論
5 地方税条例において定める事項の再検討
6 行政手続法及び行政不服審査法との関係
7 結  語

2 租税法における類推―最判平成19 年1 月23 日の分析 〔吉村典久〕

1 はじめに
2 最高裁平成19年1月23日第三小法廷判決
3 租税法規の解釈
4 特別措置規定・特例規定の解釈
5 措置法69 条の3 の解釈
6 最判平成19 年1 月23 日における類推
7 最判平成19 年1 月23 日の意義と射程
8 おわりに

3 所得税における対価性 〔伊川正樹〕

1 はじめに
2 各所得の性質
3 対価性のとらえ方
4 むすびにかえて

4 最近の判例から考える所得区分の論理 〔林 仲宣〕

1 問題の所在
2 所得税法における所得区分の論理
3 競馬事件における所得区分の論理
4 航空機リース事業の終了に伴う債務免除益の所得区分

5 相続財産としての貸付金債権等の評価 〔山田和江〕

1 本稿の論点
2 貸付金債権等の評価通達による時価について
3 金銭債権の評価について(非適格現物出資を参考として)
4 まとめとしての提起

6 相続財産の認定における推定課税の要否 〔風岡範哉〕

1 はじめに
2 所得課税における推計課税
3 推計課税の適法要件
4 相続税における財産の認定
5 相続税における推定課税の要否
6 おわりに

7 非居住者に対する不動産の譲渡対価・賃料の支払いと源泉徴収義務 〔岩﨑政明〕

1 問題の所在
2 源泉徴収に関する法律関係の特色
3 受給者の住所地に係る支払者の注意義務と源泉徴収義務との関係
4 非居住者の所得に係る不動産業者の源泉徴収に係る注意義務の程度
5 まとめ

8 登録国外事業者制度の意義と課題―日本と英国との比較を通して 〔野一色直人〕

1 はじめに
2 日本の制度の概要
3 英国における電気通信利用役務の提供に対するVAT に係る制度等の概要
4 日英両国の制度の整理等
5 おわりに

9 消費課税と脱税 〔西山由美〕

1 脱税の現状
2 「脱税」の意義
3 脱税に関する最近の欧州司法裁判所判決
4 EU 域内の脱税への対策
5 ドイツの脱税への対策
6 OECD の対応―各国間の税務協力

◇Ⅱ 手続法

10 源泉徴収義務者と受給者との関係―最高裁昭和45年12月24日で残された課題 〔山本洋一郎〕

1 問題の所在
2 事案の概要
3 争点及びこれに関する当事者の主張(
4 被告の主張の補足(被告準備書面より引用)
5 当裁判所の判断
6 評釈(本判決の意義とその射程距離等)

11 租税訴訟における「客観的立証責任」の帰属に関する一考察 〔脇谷英夫〕

1 本稿の目的
2 租税訴訟における「客観的立証責任」の議論状況
3 租税訴訟と民事訴訟の相違
4 本稿の前提
5 「法律要件分類説」
6 租税訴訟における指針
7 まとめ

12 紛争予防税法学と要件事実論 〔増田英敏〕

1 はじめに
2 紛争予防税法学の構図
3 紛争予防税法学の中核となる租税法における二つの憲法原理―租税公平主義と租税法律主義
4 要件事実論と課税要件明確主義
5 租税訴訟における要件事実の基本的な考え方
6 租税法における評価的要件(規範的要件)と評価根拠事実―注目訴訟を素材に
7 むすび

◇Ⅲ 国際租税法

13 平成27 年度税制改正による国外転出時課税制度―「未実現のキャピタル・ゲイン」に対する国際課税における財産移転課税制度の日米交錯 〔大塚正民〕

1 2 つの設例
2 日本税法における「未実現のキャピタル・ゲイン」の課税
3 米国連邦税法における「未実現のキャピタル・ゲイン」の課税
4 日米財産移転課税制度の交錯
5 今後の課題:設例その1 および設例その2 をどのように取扱うか?

14 特許侵害に対する損害賠償額算定における移転価格の有用性―知的財産を利用した租税回避に対する新たな対抗策の紹介を中心に 〔谷口智紀〕

1 はじめに
2 知的財産訴訟における租税法上の移転価格の証拠としての有用性
3 アメリカ合衆国における特許侵害に対する損害賠償
4 特許侵害に対する損害賠償額と移転価格
5 結  論

15 英国における居住者判定制定法基準(Statutory Residence Test)に関する覚書 〔高野幸大〕

1 はじめに
2 居住者判定制定法基準導入の経緯
3 居住者判定制定法基準の概要
4 若干の検討―日本法の規定への若干の含意ないし示唆
5 おわりに

16 国境を跨ぐ保険取引と米国の連邦消費税 U.S. Federal Excise Tax on Foreign Insurance Transactions 〔辻 美枝〕

1 はじめに
2 外国保険業者による保険引受
3 連邦消費税と所得課税
4 租税条約による免除
5 結びにかえて

17 外国営業所への事業用資産の再投資・移転に関するドイツ出国税の最近の動向 〔宮本十至子〕

1 はじめに
2 ドイツ出国課税と欧州司法裁判所判決
3 2015 年税制改正法と欧州委員会の動向
4 むすびに

◆第2部◆ 行政法 ---------------------------------------------

18 原発民事訴訟排除論の若干の検討 〔首藤重幸〕

1 原発民事訴訟排除論の登場
2 高木意見書の核心部分
3 原発訴訟における民事訴訟排除論
4 さいごに

19 航空事故等調査と若干の国際比較―運輸安全委員会での実務経験から 〔石川敏行〕

1 はじめに
2 航空事故等調査
3 若干の国際比較
4 むすび

20 行政行為の附款論の再構成 〔山本敬生〕

1 本稿の課題
2 附款の定義の再検討
3 附款の概念の再検討
4 附款の類型の再検討
5 附款の機能の再検討
6 附款の許容性の再検討
7 附款の違法と主たる行政行為の効力・附款の争訟手段の再検討
8 結びに代えて

21 行政法総論における政策指向理論の内実と位相―ドイツ行政法学の議論と視点から 〔手塚貴大〕
1 はじめに―行政法総論の法構造―
2 伝統的行政法理論と政策指向の出現
3 行政法と統制科学
4 結  語―行政法総論の視点と本稿の検討からの示唆


―  ―  ―


木村弘之亮先生略歴・主要業績(巻末)

あとがき

2019/09/14

会計検査研究に,租税支出関係の論文

第58号(2018年9月発行)
イギリス及びスウェーデンの予算過程における租税支出と会計検査院-付加価値税の租税支出を意識して-(PDF形式:9,063KB) 関口 智
である。付加価値税についても国民への説明責任を果たそうとしている両国の経験が,興味深い。関口教授は,結びのところで,次のように述べている。
日本が軽減税率を導入するということは,C効率性の低下を招くことになる。つまり,税収調達力の低下と,それによる国民への受益の姿を説明する必要性が高まることになる。
すこしバックナンバーをみてみると,会計検査研究は,2017年3月にも租税支出の特集を組んでいた。

会計検査研究第55号
区分タイトル著者
巻頭言租税支出の政治的要素と政策的含意(PDF形式:881KB)横山 彰
特集号:「租税支出と評価」によせて米国における租税歳出の定義を巡る議論とわが国税制へのインプリケーション(PDF形式:856KB)森信 茂樹
特集号:寄稿論文地方自治体の税負担軽減措置について-アメリカ州政府の租税支出レポートを中心に-(PDF形式:1,781KB)上村 敏之
特集号:寄稿論文法人課税の租税特別措置-実態と経済的帰結-(PDF形式:1,210KB)佐藤 主光
特集号:寄稿論文租特透明化法等の意義と限界-租税特別措置の透明性はどこまで高まったのか-(PDF形式:1,054KB)田中 秀明
特集号:査読付き論文寄附金控除制度と租税支出-公益法人の寄附金収入に与える影響に関する実証分析-(PDF形式:993KB)高橋 隆幸
野間 幹晴
黒木 淳
八幡 修啓