友人に教えてもらって、Jared Walczak, “Nobel Laureate Robert Hall and Tax Policy,” The Salt Road, October 12, 2026に接した。これは、2026年ノーベル経済学賞を共同受賞したRobert E. Hall教授について、彼の租税政策に関係する研究成果を次の6つの観点から整理するもの。
J-TaxNotes は、租税法の展開をその時々に記録する研究ノートです。日本の租税判例、国際課税、税務行政・コンプライアンス、消費税・VAT、AI、租税史などを扱っています。2010年からの継続的定点観測。
2026/10/18
星と港の富裕層マネー獲得競争
1.Nikkei Asiaの記事で、「シンガポール、富裕層マネー獲得に逆風 中国が資産移転を規制」が出ていた。2026年10月18日付け、署名はシンガポール=ディラン・ロー。中国が富裕層の資産を海外に移す行為への監督を強化し、2026年7月にオフショア信託に対する個人所得税の新たな課税ルールを導入したことの影響を論じている。
2.記事の概要は次のようなものだ。
2026/10/17
米国宛て郵便物の扱いについて、日本郵便がアナウンス
2026年10月14日付けで、日本郵便が「米国宛て郵便物の引受け対象の拡大」というアナウンスを出していた。ちょっとややこしい内容なのだが、どうやら、概要は以下のようだ。
2026/10/13
Clausing (2026) 米国国際法人税改革の将来、を読む
1.Kimberly Clausing, The Future of US International Corporate Tax Reform(2026年6月16日)は、Brookings InstitutionのHamilton Projectから公表した政策提言だ。米国法人税を強化し、国際的な最低課税制度との協調を回復すべきだと主張。
2026/10/12
2026/10/10
IMF(2026) Intangible yet real
直近のIMF『世界経済見通し』第3章は、Intangible Yet Real: Spillovers from Corporate Income Taxationと題されており、注目文献。BEPS対策などの国際課税改革によって、国家間の法人税競争は消滅したのではなく、その形態が変化していると主張する。
飲食料品に係る消費税率の臨時的な引下げ、法案の国会提出
内閣官房のこのサイトにまとめ。法律案は、単なる税率変更ではなく、消費税率引下げと所得連動給付を一つの法律案に組み込んでいる。以下、大綱→法律案の部分を、コピペしておく。
2026/10/03
輸出免税の要件としての「国内において行う」課税資産の譲渡等
1.夏の集中講義で、消費税法の条文を読むための教室設例を織り込んで双方向で議論した。すると、鋭い質問が出て、楽しくもキビシイことになった。特にキビシかったのが、輸出免税だ。
2026/10/01
マンション評価事件、通達を離れた場合の時価認定
1.最判令和4年4月19日民集76巻4号411頁は、マンション評価事件とか総則6項事件とかと呼ばれる。相続財産評価に関する有名判決だ。この判決を夏の集中講義でとりあげたところ、教室で、次の質問があった。
2026/09/27
2026/09/25
受講生のみなさんへ
授業での口頭でのやりとりを機会に、このブログで補足した記事がいくつかあります。もともとはみなさんの先輩方のためのものでしたし、それぞれを書いた時期もばらばらです。しかし、今回の集中講義で何かの役に立つことがあるかもしれません。そこで、いくつかをリストアップしておきます。
2026/09/24
国際租税法第5版の刊行、さらに追記
増井良啓・宮崎裕子『国際租税法』第5版の刊行についてポストし、追記までしたのですが、どうも一回の追記では済まなかったようです。さらにお伝えしたいことが出てきました。追記が本体より長くならないうちに、いくつか書いておきます。
1.最終章を「2つの柱」に充てたこと。Pillar Oneにはもう芽がないのではないか、それなのになぜ教科書で取り上げるのか、というご批判があります。しかし、本書で大事にしたかったのは、現在動いているルールの説明だけではありません。なぜPillar Oneが提案され、どのような問題に対応しようとし、どこで停滞したのか。その経緯をおさえることは、これからの国際課税を考えるうえで意味があります。むしろ、Post-Pillar Oneの世界がどこへ向かうのかを展望するためには、ここまでの議論を知っておくことは不可欠と考えました。なお、Pillar Oneに関するこのような見方は、日本における先行業績として、この本でも共有されています。
2026/09/19
国際租税法第5版の刊行、追記
このたび、増井良啓・宮崎裕子 『国際租税法』第5版を、東大出版会から刊行していただきました。そのことをここでポストしたあと、さらにお伝えしたいことが出てきたので、以下に追記します。
今回の改訂では、コラムの数をかなり減らしました。ただし、コラムで扱っていた内容を単純に削ったわけではありません。現在の叙述の流れの中で扱った方がよいと考えたものは、相当数を本文に組み込んでいます。その意味では、内容を減らしたというよりも、本文とコラムに分かれていた叙述を組み直した、という方が正確です。制度の説明と、その背景にある考え方や具体例とがつながりやすくなり、全体として叙述の一体性が高まったと思います。
2026/09/18
国際租税法第5版の刊行
このたび、増井良啓・宮崎裕子 『国際租税法』第5版を、東大出版会から刊行していただきました。
第4版を刊行したのは2019年でした。それから7年の間に、国際課税をめぐる環境は大きく変わりました。OECD/G20 BEPS包摂的枠組みの「2つの柱」をめぐる議論が進み、とりわけグローバル・ミニマム課税は各国の国内法として実施される段階に入りました。他方で、こうした新しい動きだけを追えばよいわけではありません。国内法と租税条約の入り組んだ関係を、具体的な取引に即して見通しよく理解することは、国際租税法を学ぶうえで今も変わらないコアだと考えています。
2026/09/15
CUHK–KCL Annual Conference on Tax, Trade, and Investment Law
2026年9月10日と11日、香港中文大学(CUHK)とKing’s College Londonの合同研究会に出席してきた。Leopoldo Parada さん(KCL)のお誘いによる。会合の正式名称はThe CUHK–KCL Annual Conference on Tax, Trade, and Investment Lawだ。日本からは福永有夏教授(早稲田大学)が参加されていた。
プログラムは、Day1に国際課税のパネルが2本、通商・投資のパネルが1本ずつ。Day2は、いくつかの平行セッションに分かれて、ペーパーのプレゼンと質疑応答があった。ぼくは、Beyond Double Taxation: The Making of the 1970 Japan-Korea Tax Treaty in Historical Contextという題目で、1970年日韓租税条約の締結過程から得られる示唆を議論した。Noam Nokedさん(CUHK), Brian Galleさん (UC Berkeley), Doron Narotzkiさん (Akron)などから有益なインプットをもらった。
2026/08/11
Musgraveは韓国で何を助言したのか
1.二度の邂逅と最近の発見
Richard A. Musgrave教授(1910–2007)には、二度、お目にかかったことがある。
一度目は1992年、私が米国ハーバード大学のInternational Tax Programにいたときだった。Musgrave教授がゲストとしてクラスにお越しになり、その場には金子宏先生も出席されていた。二度目は1997年、京都で開催された第53回国際財政学会(IIPF)大会だ。たまたまMusgrave教授がお一人で歩いていらっしゃるところに出会い、「ハーバードで先生のお話をうかがいました」とご挨拶したところ、にこやかに応対してくださった。
2026/07/21
International Tax Observatoryが、CFCルールと柱2の相互関係についてペーパーを出していた
Alice Chiocchetti, Samuel Delpeuch, and Giulia Varaschin, Three Lessons on the Interaction Between CFC Rules and Pillar 2である。これは、6月末の欧州委員会の簡素化パッケージに含まれていたCFC改正提案に対する、明確な対抗提案だ。
この政策ノートは、GlobeルールはCFC税制を不要にするものではなく、両者は補完関係にあると結論づける。表題にいう「3つのレッスン」とは、
2026/07/18
利益Aの次を構想する―IMFのワーキングペーパー
IMFのスタッフが、越境サービスの課税手段を総ざらえするワーキングペーパーを出していた。Shafik Hebous, Brendan Crowley, Rasmi Das, Tibor Hanappi, Cory Hillier, Adam Jakubik, Eric Robert, and Christophe J Waerzeggers. "Taxing Cross-Border Services", IMF Working Papers 2026, 152 (2026), accessed 2026/7/18, https://doi.org/10.5089/9798229055048.001
この論文は、越境サービス(とりわけデジタル化されたサービス)に対する各種の課税手段を、消費課税、所得課税、租税条約、租税回避防止措置を横断して整理する。利益Aがつまづいた後、越境サービス課税の全体像を整理し直して、次の多国間合意のための設計原理を提示する論文と位置付けることができよう。