最近の租税事件を含めて,そのおりおりに思ったことの断片をつづります。 Candid and biased, and hopefully stimulating, comments on recent tax developments in Japan (and other matters).
22 January 2012
21 January 2012
最判平成18・7・14民集60・6・2369(高根町水道条例事件)
実体的な紛争の構図は,リゾート地の別荘所有者と,定住者・ホテル事業者との間で,水道料金をどう負担しあうか。もうすこし広くいえば,簡易水道事業にかかる費用をどう調達するか。
最高裁は,水道料金は「原則として当該給水に要する個別原価に基づいて設定されるべきものである」という。そして,このベンチマークからして,別荘給水契約者の水道料金値上げが合理性を欠き,地方自治法244条3項の不当な差別的取扱いにあたるとする。
このベンチマークは,自明のことだろうか。夏場にだけたくさん水道を使用する人については,別の原価計算のやり方もありえたのではないか。 地方公営企業法21条2項には「適正な原価を基礎とし」とある(簡易水道事業には適用がなさそうだが)。もっとも,「最大使用料に耐え得る水源と施設を確保する」ためには,水道契約者に等しく夏期割増料金を請求するほうが,理屈にかなっているかもしれない。住民基本台帳に登録していない別荘所有者に,条例制定に際して効果的に意見を表明する機会があるかも,気になる。
費用調達という観点からは,水道料金を据え置いたまま,「別荘所有税」のような法定外目的税を導入する場合はどうなるのだろう。
現在の簡易水道給水条例はこれ。
最高裁は,水道料金は「原則として当該給水に要する個別原価に基づいて設定されるべきものである」という。そして,このベンチマークからして,別荘給水契約者の水道料金値上げが合理性を欠き,地方自治法244条3項の不当な差別的取扱いにあたるとする。
このベンチマークは,自明のことだろうか。夏場にだけたくさん水道を使用する人については,別の原価計算のやり方もありえたのではないか。 地方公営企業法21条2項には「適正な原価を基礎とし」とある(簡易水道事業には適用がなさそうだが)。もっとも,「最大使用料に耐え得る水源と施設を確保する」ためには,水道契約者に等しく夏期割増料金を請求するほうが,理屈にかなっているかもしれない。住民基本台帳に登録していない別荘所有者に,条例制定に際して効果的に意見を表明する機会があるかも,気になる。
費用調達という観点からは,水道料金を据え置いたまま,「別荘所有税」のような法定外目的税を導入する場合はどうなるのだろう。
現在の簡易水道給水条例はこれ。
I teach Tax Law at UTokyo.
Subscribe to:
Posts (Atom)