指令案のテクストはこれ。相互協議が不調の場合,Advisory Committeeによる仲裁に移行する。この記事によると,次のステップは欧州議会の意見表明,そして欧州理事会による指令採択。これまでの経緯はここにまとめてある。
国際課税レジームの形成にとってリトマス紙となるのは,紛争処理機関を整備できるかどうかである(増井良啓「国際課税における手続の整備と改革」日税研論集71号1頁(2017.03),33頁)。EU域内においては,その意味で一歩進むということがいえそう。BEPS行動14の今後のモニタリングとも関連し,全世界的にみたときに紛争処理プロセスの改善がどこまで進むかが課題。
最近の租税事件を含めて,そのおりおりに思ったことの断片をつづります。 Candid and biased, and hopefully stimulating, comments on recent tax developments in Japan (and other matters).
25 May 2017
21 May 2017
After Piketty (2017)
ピケティ本の3年後,この本が出ていた。早速買って読まねば。目次を引用しておく。
Introduction: Capital in the Twenty-First Century, Three Years Later [J. Bradford DeLong, Heather Boushey, and Marshall Steinbaum]
I. Reception
1. The Piketty Phenomenon [Arthur Goldhammer]
2. Thomas Piketty Is Right [Robert M. Solow]
3. Why We’re in a New Gilded Age [Paul Krugman]
II. Conceptions of Capital
4. What’s Wrong with Capital in the Twenty-First Century’s Model? [Devesh Raval]
5. A Political Economy Take on W / Y [Suresh Naidu]
6. The Ubiquitous Nature of Slave Capital [Daina Ramey Berry]
7. Human Capital and Wealth before and after Capital in the Twenty-First Century [Eric R. Nielsen]
8. Exploring the Effects of Technology on Income and Wealth Inequality [Laura Tyson and Michael Spence]
9. Income Inequality, Wage Determination, and the Fissured Workplace [David Weil]
III. Dimensions of Inequality
10. Increasing Capital Income Share and Its Effect on Personal Income Inequality [Branko Milanovic]
11. Global Inequality [Christoph Lakner]
12. The Geographies of Capital in the Twenty-First Century: Inequality, Political Economy, and Space [Gareth A. Jones]
13. The Research Agenda after Capital in the Twenty-First Century [Emmanuel Saez]
14. Macro Models of Wealth Inequality [Mariacristina De Nardi, Giulio Fella, and Fang Yang]
15. A Feminist Interpretation of Patrimonial Capitalism [Heather Boushey]
16. What Does Rising Inequality Mean For the Macroeconomy? [Mark Zandi]
17. Rising Inequality and Economic Stability [Salvatore Morelli]
IV. The Political Economy of Capital and Capitalism
18. Inequality and the Rise of Social Democracy: An Ideological History [Marshall I. Steinbaum]
19. The Legal Constitution of Capitalism [David Singh Grewal]
20. The Historical Origins of Global Inequality [Ellora Derenoncourt]
21. Everywhere and Nowhere: Politics in Capital in the Twenty-First Century [Elisabeth Jacobs]
V. Piketty Responds
22. Toward a Reconciliation between Economics and the Social Sciences [Thomas Piketty]
Notes
Acknowledgments
Index。
Hat tip: これ
Introduction: Capital in the Twenty-First Century, Three Years Later [J. Bradford DeLong, Heather Boushey, and Marshall Steinbaum]
I. Reception
1. The Piketty Phenomenon [Arthur Goldhammer]
2. Thomas Piketty Is Right [Robert M. Solow]
3. Why We’re in a New Gilded Age [Paul Krugman]
II. Conceptions of Capital
4. What’s Wrong with Capital in the Twenty-First Century’s Model? [Devesh Raval]
5. A Political Economy Take on W / Y [Suresh Naidu]
6. The Ubiquitous Nature of Slave Capital [Daina Ramey Berry]
7. Human Capital and Wealth before and after Capital in the Twenty-First Century [Eric R. Nielsen]
8. Exploring the Effects of Technology on Income and Wealth Inequality [Laura Tyson and Michael Spence]
9. Income Inequality, Wage Determination, and the Fissured Workplace [David Weil]
III. Dimensions of Inequality
10. Increasing Capital Income Share and Its Effect on Personal Income Inequality [Branko Milanovic]
11. Global Inequality [Christoph Lakner]
12. The Geographies of Capital in the Twenty-First Century: Inequality, Political Economy, and Space [Gareth A. Jones]
13. The Research Agenda after Capital in the Twenty-First Century [Emmanuel Saez]
14. Macro Models of Wealth Inequality [Mariacristina De Nardi, Giulio Fella, and Fang Yang]
15. A Feminist Interpretation of Patrimonial Capitalism [Heather Boushey]
16. What Does Rising Inequality Mean For the Macroeconomy? [Mark Zandi]
17. Rising Inequality and Economic Stability [Salvatore Morelli]
IV. The Political Economy of Capital and Capitalism
18. Inequality and the Rise of Social Democracy: An Ideological History [Marshall I. Steinbaum]
19. The Legal Constitution of Capitalism [David Singh Grewal]
20. The Historical Origins of Global Inequality [Ellora Derenoncourt]
21. Everywhere and Nowhere: Politics in Capital in the Twenty-First Century [Elisabeth Jacobs]
V. Piketty Responds
22. Toward a Reconciliation between Economics and the Social Sciences [Thomas Piketty]
Notes
Acknowledgments
Index。
Hat tip: これ
I teach Tax Law at UTokyo.
18 May 2017
ビッグ・データ,スマート・ポータル
Technologies for Better Tax Administration
A Practical Guide for Revenue Bodies
Published on May 13, 2016
This report looks at effective e-service provision by tax administrations, summarising eight critical areas, and explores big data management and portals, as well as natural systems, in detail. It highlights key opportunities in these areas, looking at how these emerging technologies can be best used by tax administrations. It also provides practical examples of how tax administrations have begun to utilise these technologies and delivers a maturity matrix for the two areas to assist strategic and operational decision making by tax administrations. Finally, it sets out conclusions, recommendations and next steps.
This report has been prepared by the Forum on Tax Administration’s E-services and Digital Delivery Programme. The work was initiated by the FTA Bureau as part of its 2015/16 work programme and was led by the Federal Tax Service of Russia (FTS). With tax administrations clear that e-service options can improve taxpayer compliance levels and participation while at the same time lowering their cost of operation; but with available options many and varied, and with the cost of implementation high, the FTA has over the last five years provided a wide range of guidance in the deployment of effective e-services.
VIDEO
I teach Tax Law at UTokyo.
16 May 2017
Berlioz事件について,CJEU先決裁定が出ていた
Judgment in Case C-682/15, Berlioz Investment Fund SA v Directeur de l'administration des contributions directesであり,待たれていた。概要版がこれで,フルテクストはここから読める。ざっと見てみた限りでは,情報漁り(fishing expedition)に関する判示はそれほど目新しい感じもしないが,個別的情報提供の要請を受けた国の裁判所による審査を認めている点は将来の展開につながるのかもしれない。これからどんどん関係者による評釈類が出てくるだろうから,それらを読んでみたい。
【2017年10月付記】このブログが簡潔にコメント。
【2017年10月付記】このブログが簡潔にコメント。
I teach Tax Law at UTokyo.
14 May 2017
G7財務大臣・中央銀行総裁会議声明(バーリ)がでていた
日本語仮訳がこれである。課税については,コミュニケ最後のパラ16から19までが,次のように述べている。
16. 我々は、より公正かつ現代的な税システムのために取り組むこと、及び、経済活動に参加する全ての者にとってグローバルに公平な競争条件を実現することに引き続きコミットする。この目的のため、G20/OECD BEPS(税源浸食と利益移転)パッケージの適時の、一貫した、広範な実施は極めて重要である。我々は、全ての関係・関心のある国・地域がBEPSパッケージの実施及びG20/OECD BEPSに関する包摂的枠組みへの参加にコミットすることを奨励する。我々は、2017年6月7日に行われる「BEPS防止に向けた租税条約に関する措置実施のための多数国間条約」の第1回署名式を期待する。 我々は、経済の電子化に関連した進展を監視・評価すること、及び「OECDの電子経済に関するタスクフォース(TFDE)」の作業の結論に応じて、一貫したアプローチで関連する税の課題に対処するために、必要に応じて政策の選択肢を策定することの重要性を認識する。我々は、OECDのTFDEによる2018年の中間報告に期待する。我々は、税の安定性に関するOECD及びIMFの作業を支持する。
17. 税の透明性を世界規模で高めるという我々の目標を再確認した上で、我々は、G20とともに、全ての地域が税務行政執行共助条約に署名し、これを批准するよう求める。また、2017年9月に始まる金融口座情報の自動的交換についての共通報告基準(CRS)を実施することにコミットしていない全ての金融センターを含む全ての関係国・地域が遅滞なくコミットすること、及び、CRSの下で遅くとも2018年9月までに自動的情報交換を開始するために、国内法制の導入を含む必要な行動をすべて取ることを強く求める。我々は、税の透明性に関して合意された国際的基準を未だ満足のいく水準で実施出来ていない地域において十分な進捗があることを期待し、OECDによる、税の透明性に関する非協力的地域のリストの作成に期待する。これは、リストに載った地域に対する防御的措置に関する我々の作業に指針を与える。我々は、FATF及び「税に関する透明性と情報交換に関するグローバルフォーラム」による、実質的所有者情報の入手可能性に関する国際基準の履行改善のための作業を歓迎する。我々は、併せて実質的所有者に関する税分野におけるOECDの補完的な作業を歓迎する。
18. 「租税犯罪及びその他の不正資金の流れに対する闘いについてのバーリ宣言」は、当局間及び国家間の効果的な協力に基づき、租税・金融犯罪に対して包括的なアプローチで闘うという我々の決意を反映している。我々は、CRSの下での報告を回避するために設計された取極めや、実質的所有者に不透明な構造のシェルターを提供することを目的とした取極めに対処するために、義務的開示ルールのモデルの検討を含む可能な方法を議論する取組を支持する。
19. 我々は、途上国の国内資金動員の能力を強化することが、持続可能な成長のためのグローバル2030年アジェンダの達成に極めて重要であることを再確認する。税制及び税務執行能力の改善も、世界的に公平な競争条件にとって極めて重要である。この目的のため、我々は、「アディス税イニシアティブ」の原則に引き続きコミットし、「税に関する協働のためのプラットフォーム」の作業を支持する。我々は、同プラットフォームが、国際機関間の協働を深化させ、また、税務能力構築のための外部からの支援の効果を向上させるに当たり、主要な役割を果たしていることを認識している。我々は、税の能力を構築する上での途上国に対する的を絞った支援を引き続き支持する。我々はまた、OECDによる「アフリカ租税・金融犯罪捜査アカデミー」のケニアでの設立のような、租税・金融犯罪への対処という分野における新たなイニシアティブを歓迎する。
パラ18にいう「バーリ宣言」は,ここにアップされている。金融口座情報に関するbeneficial owner情報とか,CRS潜脱の防止とか,FATFやOECDなどの取り組みを支持し,機関間の連携を推奨する内容。
16. 我々は、より公正かつ現代的な税システムのために取り組むこと、及び、経済活動に参加する全ての者にとってグローバルに公平な競争条件を実現することに引き続きコミットする。この目的のため、G20/OECD BEPS(税源浸食と利益移転)パッケージの適時の、一貫した、広範な実施は極めて重要である。我々は、全ての関係・関心のある国・地域がBEPSパッケージの実施及びG20/OECD BEPSに関する包摂的枠組みへの参加にコミットすることを奨励する。我々は、2017年6月7日に行われる「BEPS防止に向けた租税条約に関する措置実施のための多数国間条約」の第1回署名式を期待する。 我々は、経済の電子化に関連した進展を監視・評価すること、及び「OECDの電子経済に関するタスクフォース(TFDE)」の作業の結論に応じて、一貫したアプローチで関連する税の課題に対処するために、必要に応じて政策の選択肢を策定することの重要性を認識する。我々は、OECDのTFDEによる2018年の中間報告に期待する。我々は、税の安定性に関するOECD及びIMFの作業を支持する。
17. 税の透明性を世界規模で高めるという我々の目標を再確認した上で、我々は、G20とともに、全ての地域が税務行政執行共助条約に署名し、これを批准するよう求める。また、2017年9月に始まる金融口座情報の自動的交換についての共通報告基準(CRS)を実施することにコミットしていない全ての金融センターを含む全ての関係国・地域が遅滞なくコミットすること、及び、CRSの下で遅くとも2018年9月までに自動的情報交換を開始するために、国内法制の導入を含む必要な行動をすべて取ることを強く求める。我々は、税の透明性に関して合意された国際的基準を未だ満足のいく水準で実施出来ていない地域において十分な進捗があることを期待し、OECDによる、税の透明性に関する非協力的地域のリストの作成に期待する。これは、リストに載った地域に対する防御的措置に関する我々の作業に指針を与える。我々は、FATF及び「税に関する透明性と情報交換に関するグローバルフォーラム」による、実質的所有者情報の入手可能性に関する国際基準の履行改善のための作業を歓迎する。我々は、併せて実質的所有者に関する税分野におけるOECDの補完的な作業を歓迎する。
18. 「租税犯罪及びその他の不正資金の流れに対する闘いについてのバーリ宣言」は、当局間及び国家間の効果的な協力に基づき、租税・金融犯罪に対して包括的なアプローチで闘うという我々の決意を反映している。我々は、CRSの下での報告を回避するために設計された取極めや、実質的所有者に不透明な構造のシェルターを提供することを目的とした取極めに対処するために、義務的開示ルールのモデルの検討を含む可能な方法を議論する取組を支持する。
19. 我々は、途上国の国内資金動員の能力を強化することが、持続可能な成長のためのグローバル2030年アジェンダの達成に極めて重要であることを再確認する。税制及び税務執行能力の改善も、世界的に公平な競争条件にとって極めて重要である。この目的のため、我々は、「アディス税イニシアティブ」の原則に引き続きコミットし、「税に関する協働のためのプラットフォーム」の作業を支持する。我々は、同プラットフォームが、国際機関間の協働を深化させ、また、税務能力構築のための外部からの支援の効果を向上させるに当たり、主要な役割を果たしていることを認識している。我々は、税の能力を構築する上での途上国に対する的を絞った支援を引き続き支持する。我々はまた、OECDによる「アフリカ租税・金融犯罪捜査アカデミー」のケニアでの設立のような、租税・金融犯罪への対処という分野における新たなイニシアティブを歓迎する。
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11 May 2017
経産省の平成28年度委託調査報告書がでていた
2017年3月付けの報告書がここにアップされていたので,読んでみた。BEPS行動4(利子費用控除)と行動8-10(移転価格)に関する分析に力点があり,なかなか手厚い。BEPSプロジェクトの現時点でのまとめとしても便利。
私が面白いと思ったのは次の2点。
私が面白いと思ったのは次の2点。
I teach Tax Law at UTokyo.
03 May 2017
米国で税務行政のペーパーが公開されていた
The 2016 IRS Research Bulletin (Publication 1500) features selected papers from the IRS-Tax Policy Center (TPC) Research Conference held at the Urban Institute in Washington, DC, on June 23, 2016. Conference presenters and attendees included researchers from many areas of the IRS, officials from other government agencies, and academic and private sector experts on tax policy, tax administration, and tax compliance.
1. Interventions: Influencing Taxpayer Compliance
- Taxpayer Responses to Third-Party Income Reporting: Preliminary Evidence from a Natural Experiment in the Taxicab Industry
Bibek Adhikari, James Alm, Brett Collins, Michael Sebastiani, and Eleanor Wilking - Do Audits Deter Future Noncompliance? Evidence on Self-Employed Taxpayers
Sebastian Beer, Matthias Kasper, Erich Kirchler, and Brian Erard - Resolving Unpaid Taxes and the Notice of Federal Tax Lien: Evidence from the Fresh Start Initiative
Alex Turk, John Iuranich, Stacy Orlett, and Saurabh Datta
2. Nonfiling: IRS–Census Data Comparisons
- What Drives Income Tax Filing Compliance?
Brian Erard, John Guyton, Patrick Langetieg, Mark Payne, Alan Plumley - The Individual Income Tax and Self-Employment Tax Nonfiling Gaps for Tax Years 2008–2010
Pat Langetieg, Mark Payne, and Alan Plumley - Handling Respondent Rounding of Wages Using the IRS and CPS Matched Dataset
Minsun K. Riddles, Sharon L. Lohr, J. Michael Brick, Patrick T. Langetieg, J. Mark Payne, and Alan H. Plumley
3. Panel Discussion
- Factors Affecting Revenue Estimates of Tax Compliance Proposals
Janet Holtzblatt and Jamie McGuire
4. Behavioral Research: Why Do People Do What They Do?
- Examining Motivations To Volunteer with the Volunteer Income Tax Assistance (VITA) Program: How Motivations Influence Future Volunteer Behavior
Patti J. Davis-Smith, Robert P. Thomas, and David C. Cico - Do Appeals to Social Norms Increase Taxpayer Compliance?
James Alm, Michael McKee, William D. Schulze, Carrie von Bose, and Jubo Yan - Understanding the Nonfiler/Late Filer: Preliminary Findings
Jose Colon De La Matta, John Guyton, Ronald Hodge II, Patrick Langetieg, Stacy Orlett, Mark Payne, Ahmad Qadri, Lisa Rupert, Brenda Schafer, Alex Turk, and Melissa Vigil
Here are PDF copies of the slides from sessions 1, 2, and 4.
Session 1 Session 2 Session 4
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