04 August 2016

若槻禮次郎・現行租税法論(1903)

ここから読むことができる。左の「目次・巻号」のところをクリックすると、細目次があって、地租に関する長い叙述ののちに、249頁以下の所得税の記述に飛んでいける。

村井正「明治20年所得税法のルーツを探るーなぜプロシャ階級税かー(下)」税研188号(2016年7月)25頁、34頁注4は、この書物を、
明治期の租税法研究に欠かせない優れた文献である。
と評している。 同注が参照する若槻(1903)の該当個所を読むと、明治20年所得税の欠点が

  • 納税義務者の範囲明らかならず
  • 法人に課税することを得ず
  • 累進税の目的を達せず
  • 執行機関その宜を得ず

という具合にまとめられており、これらが明治32年所得税によっていかに是正されていったかがわかるようになっている。「欠かせない優れた文献」という評は、的確であると思う。ちなみに1903年は明治36年、つまり明治32年所得税の4年後ということになる。