26 August 2016

タックス・ヘイブンについて一高教授の論説が出ていた

一高龍司「タックス・ヘイブンを利用する租税回避と脱税に対する租税法上の対応」法学教室432号47頁(2016年)である。タックス・ヘイブンがからむ租税回避と脱税の基本例を示して、それらに対する対処を解説したのち、BEPSとの関係で、有害税制への対抗(BEPS行動5)とCFC税制の強化(BEPS行動3)に及ぶ。「(国際)租税法を学習し始めた大学院生向け」というだけあって記述は平明だが、情報量が多い。

タイムリーであり、法学教室が「時の問題」として掲載していることも、なるほどとうなずける。その後の動きも、急である。直近の出来事としては・・・
  • タックス・ヘイブンがからむ脱税についていえば、8月25日にパナマシティーにおいて、日本国政府とパナマ共和国政府との間で租税情報交換協定が署名された。
  • 有害税制への対抗(BEPS行動5)に関係しては、欧州委員会が移転価格ルーリングを許されない国家補助金とみていることに対して、8月24日に米国財務省がそれを批判するWhite Paperを出すなど、米欧間で火花が散っている。
また、日本の外国子会社合算税制については、やや古い情報になるが・・・
  • 5月26日(これは日本時間)の税制調査会でとりあげられており、「BEPSプロジェクトの結論」として抜本的見直しのための検討の必要性が頭出しされた格好になっている(この資料のスライド7)。→このポストで言及した。