24 June 2019

5th Asia Pacific Regional Meeting in Melbourne

IFAの地域大会がメルボルンで開かれた。今年で5回目。統一テーマはデジタルグローバル経済の課税(Taxation of the Digital Global Economy)。

1日目のプログラムはIFAとCorporate Tax Associationとの共催で,かなりの数の現地の参加者あり。午前は,Chris Jordan, Commissioner of Taxation, ATOのスピーチで国際行政共助の進展が報告されたのに続き,豪・マレーシア・インドネシア・日本・NZ・台湾・シンガポールの課税当局のパネルがあった。このパネルでは,5つの視点(CbCR,ルーリング,JITSIC,ICAP, CRS)について,各国の経験をシェア。これに対し,午後は,争訟実務を担当する弁護士による紛争処理のパネルや,多国籍企業の税務部門を取り仕切る専門家(ExxonやAmazonなど)のパネルなど。マレーシアでは,移転価格に係る紛争について,訴訟になる前の段階では弁護士が受任できないというのが当局の立場だ,といった話もあった。午前と午後で,だいぶコントラストがあったと思う。夜のGala Dinnerでは,NZ Inland RevenueのCarmel Petersが,IFA/OECDの思い出などについてスピーチ。

2日目はだいぶリラックスした雰囲気。午前にまず濫用措置のパネルがあり,コモンウェルス諸国の経験を一覧(AU, UK, NZ, India, Malaysia)。たとえば,オーストラリアのGAARが"sole or dominant purpose"で,インドのそれが"main purpose"で,MLIのPPTが"one of the principal purpose"となっていることなどの相互関係とか。証明責任に関しても各国で微妙に違っていて,それぞれにMLIのPPTとズレる。それぞれについては日本でも先行研究があるところだが,こうして一覧すると,あらためてPPTというやつはコモンウェルス系統だなと実感する。クロスボーダーファイナンスのパネルでは,日韓のようにBEPS行動4にきちんと対応する国と,豪NZのようにearnings stripping ruleをそもそも入れていない国が,くっきり分かれた。もっとも,豪は,hybrid mismatchには熱を入れて対応しているし,もともと移転価格税制でもって法人資本構成の根っこのところを読み替えることができるらしい。午後のセミナーも,パラレル・セッションになっていて一部しかみられない。Richard Vann司会のパネルでは,MLIの批准がまだの国がかなりあることがわかった。仲裁条項の導入についてはともに消極的な中印であるが,積極的に反対しているインドと,もしかしたら方針転換するかもしれない中国との微妙な差異があるらしい。最後のセッションは,BIACのWill Morrisも参加したパネルが将来を語るもの。

日本からもはるばる,何名もの先生方がパネルとして参加された。次回は2020年6月1日から3日に香港で開催予定。