最高裁は,「ホステス報酬の額が一定の期間ごとに計算されて支払われている場合においては,施行令322条にいう『当該支払金額の計算期間の日数』は,ホステスの実際の稼働日数ではなく,当該期間に含まれるすべての日数を指す」と判示した。その理由は,「当該支払金額の計算期間の日数」が,当該支払期間の計算の基礎となった期間の初日から末日までという時的連続性を持った概念であると解するのが自然である,というところにあった。
このような問題については,機敏に立法的対処を行うべきことがらではないか。もし立法政策の問題として稼働日数を基準にするのが適切であるというのなら,法令にそう書き込めばよい。そして,そのような立法政策をとるべきか否かこそが,真剣に議論すべき点であろう。一般的に,雇用関係が流動化・多様化し,精密な源泉徴収に依存できない場面が増えている。現行ルールでは,一方で,計算期間の日数に応じて一日あたり5000円ずつの控除といったこまかい計算をする事務的な手間が,源泉徴収義務者に生じている。他方で,ラフな源泉徴収で足りるとすれば,報酬受領者個人の申告に精算をゆだねる部分が増え,納税協力コストが増大する(見方を変えれば申告漏れの可能性もある)。このあたりを勘案して,制度を改善していくことが,本筋である。
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