弁護士である破産管財人は,その報酬につき源泉徴収義務を負い,その報酬に係る源泉所得税の債権は財団債権にあたる。これに対し,退職手当等につき,源泉徴収義務を負わない。
この結論を導くにあたり,最高裁は,受給者と「特に密接な関係」にある支払者に源泉徴収義務を課したという理解を示している。一方で,破産管財人が自ら行った管財業務の対価として自らその支払をしてこれを受ける場合,「支払をする者」にあたる。他方で,破産管財人は,破産者が雇用していた労働者と間で「特に密接な関係」がないし,破産者から源泉徴収をすべき者としての地位を承継する法令上の根拠がないから,「支払をする者」にあたらない,というロジックである。
管財人が源泉徴収を負わないとなると,問題は,破産者本人が源泉徴収義務を負うかである。立法論として,管財人に源泉徴収義務を負わせる方向の改正には,スポンサーが存在するのだろうか。
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