倉敷でA病院を営んでいた個人Xが,有料老人ホームの経営などを目的として平成2年10月1日に会社Cを設立したが,有料老人ホーム開設の認可が得られず,C社は平成10年12月10日に清算結了した。Xは、C社に対する本件貸付金の貸倒れによる損失2億1373万円余を、
平成10年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入した。所轄税務署長がこの必要経費算入を否定するなどの更正処分。
岡山地裁は,
業務関連性の認定に関する一事例といえよう。やや乱暴にいいかえれば,病院の事業と,有料老人ホームの事業は,まったく別個の事業だというのである。そうカテゴリカルにいいきれるものであろうか。認定事実からするとだいぶ無理な事業計画であったようであるし,この争点以外にもいくつかの点が争われているなど,事案の特殊性があるのかもしれないが。
病院事業に関連しないとすると,雑所得との関係を考えることになる。この点につき,岡山地裁は,
なお,C社が開業費を支出していたとすれば,本来,繰延資産として後の事業年度に法人税の損金算入ができるはずだ。だが,本件では有料老人ホーム開設の認可が得られず,C社は清算結了してしまっている。Xも破産しており,本訴の原告は破産管財人である。
岡山地裁は,
「そもそも有料老人ホーム事業とA病院の業務との間に直接的な関連があることを認めることはできないし、仮に訴外Cが有料老人ホームを開設することにより、当該有料老人ホームの入居者に治療等の必要性が生じた場合に、A病院に通院又は入院する可能性が高く、A病院の収入増加の可能性が見込めるとしても、A病院が訴外Cの協力医療機関となることによって、A病院において見込まれる収入増加についての計算や、資金回収についての合理的計算が行われたという形跡は見当たらないこと、また、本件貸付金については担保設定もなされていないため、訴外Cの事業が失敗した場合のリスクをXが全面的に負うという高リスクの資金貸付けとなっていたこと等の事情からすると、Xの主観的意図はともかく、客観的に見て、事業として合理的な計画性をもった貸付けということはできないから、高リスクな資金貸付けを行ってまで有料老人ホームの協力医療機関になることがA病院の業務に係る事業所得を得るために客観的に見て通常必要なものであったと認めることはできない。」として,本件貸付金の貸倒れによる損失は所得税法51条2項に規定する損失に該当せず,当該損失はXの事業所得の金額の計算上必要経費に算入できないと判断した。
業務関連性の認定に関する一事例といえよう。やや乱暴にいいかえれば,病院の事業と,有料老人ホームの事業は,まったく別個の事業だというのである。そうカテゴリカルにいいきれるものであろうか。認定事実からするとだいぶ無理な事業計画であったようであるし,この争点以外にもいくつかの点が争われているなど,事案の特殊性があるのかもしれないが。
病院事業に関連しないとすると,雑所得との関係を考えることになる。この点につき,岡山地裁は,
「本件貸付金・・・の貸倒れによる損失は、所得税法51条4項に規定する損失に該当すると認められるので、平成10年分の雑所得の金額の計算上、同年分の雑所得の金額(同項の規定を適用しないで計算した雑所得の金額)を限度として必要経費に算入することにな」る
と述べている。
なお,C社が開業費を支出していたとすれば,本来,繰延資産として後の事業年度に法人税の損金算入ができるはずだ。だが,本件では有料老人ホーム開設の認可が得られず,C社は清算結了してしまっている。Xも破産しており,本訴の原告は破産管財人である。
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