25 April 2016

会社設立ビジネスの東方移動?

The Economistの次の2つの記事を読むと,パナマ文書のあと,Mossack Fonseca以外の事務所や,パナマ以外の法域に対して,精査の眼が注がれてきていることがわかる。記事の見方は,会社設立ビジネスが東方へと移動していく可能性を示唆するもの。

まず,2016年4月16日号のUnlocking Mossack Fonseca: The key's in Sin City

  • ネバダ子会社を通じて,Mossackにsubpoenaをかけて顧客情報を入手する途があること

そして,2016年4月16日号のAfter the Panama papers: Who next?

  • Mossack Fonseca以外の事務所,たとえばMorgan & Morgan, OIL(Offshore Incorporation Ltd), TMF, Intertrustなどにスポットライトが当たるであろうこと
  • 英領バージン諸島(BVI)で法人登記公開などの規制強化を検討する議論があること
  • その結果セイシェルやサモア,香港に法人設立ビジネスが移動することが一部の人たちの間で「懸念」されていること

なお,やや古いが,これらの背景として,2012年4月7日号のCompany formation: Shells and shelvesが依然として有益

  • この業界に卸売業者と小売業者があること
  • 業者の実名を多数あげていること
  • サービスの内容
  • 収益構造からして,Private equity firmsにとって魅力的な投資先であること
  • 顧客ベースが東に移動するにつれ会社設立ビジネスも香港やシンガポールに移動
  • バハマがBVIを真似し,バハマが手数料を増額したあと3週間でサモアが会社のお引越しをしやすくするよう法律を変えたこと

個別消費税とVATをあわせた所得階層別負担の実証研究が出ていた

Toshiyuki Uemura, Yoshimi Adachi, and Yurie Saitoh
MEASURING THE BURDEN OF INDIRECT TAXATION INCLUDING CONSUMPTION TAX IN JAPAN BY INCOME GROUP
No 141, Discussion Paper Series from School of Economics, Kwansei Gakuin University
2016.03
である。

個別消費税とVATをあわせたところで,日本の消費課税の所得階層別負担を計測し,逆進的であるという結果を得ている。交通通信費(transportation and communication)にかかる個別消費税がかなり逆進的になっている。消費税増税に伴う逆進性緩和としては,低所得者を厳密にターゲットする社会保障政策が必要であるとしている。




15 April 2016

WTOのPanama/Argentina Disputeで,パナマ敗訴

2016年4月14日に上級委員会がこれを出していた。2012年12月からの係争事件である。アルゼンチンの措置に対してパナマがGATSの最恵国待遇と内国民待遇違反を申し立てていた。これを認めるパネルを覆し,パナマの主張を退けた。この決定により,事実上,WTO加盟国は,非透明法域に対する防御措置を講じつづけることが妨げられないことになる。

国際課税に関する紛争処理のフォーラムという点でも重要であるし,決定が公表された時期という点でもたいへん興味深い。

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04 April 2016

BEPS行動13(国別報告書)への対応例

EUでは,会計に関する指令Directive 2013/34/EUの改正によりCbCRを公開する案がある。このサイトによると,リークされた指令案が報じられたのが2016年3月21日。EU域内で国別表示を行うもので,域外は一括表示。批判がこれ


European Commission logo


他方で,シンガポールのBudget 2016はCbCRに一切言及していないというのが,Steve Towersの2016年4月1日のビデオ。エイプリル・フールのジョークかと思いきや,たしかにここにはBEPSという言葉が出てこない。代わりに出てくるBIPSという言葉は, Business and IPC Partnership Scheme (“BIPS”) という似ても似つかないもの。

Singapore Budget 2016

The Panama Papers

これ