30 March 2024

学界展望〈租税法〉の3冊

国家学会雑誌137巻1・2号(2024)に、3本の書評が出ていた。

長戸貴之教授は、Allison Christians and Laurens van Apeldoorn, Tax Cooperation in an Unjust World (Oxford University Press, 2021)について、「生存権不充足状態という不公正な世界の改善を目指す野心的試み」にもかかわらず、「現実の国際課税政策の形成に関与する者を説得する姿勢を貫いて」いるものとして、好意的に紹介する。

藤岡祐治准教授は、Heather Boushey, Ryan Nunn and jay Shambaugh eds., Recession Ready: Fiscal Policies to Stabilize the American Economy (The Hamilton Project and the Washington Center for Equitable Growth, 2019)を取り上げ、「景気の安定化という目的達成のために自動安定装置に着目して具体的な制度設計を・・・詳細に論じた貴重な業績である」とする。

藤原健太郎准教授の書評対象は、Tingting Wang and Miranda Stewart, The Law and Policy of VAT Tourist Refund Schemes: A Comparative Analysis, World Tax Journal, Vol.14, No.2, 285 (2022)。旅行客への販売に係る付加価値税の還付制度について、豪中比較を行う論文。日本では、旅行者向けの免税店が執行面の問題を惹起しており、「そのような日本法の現状を客観的に考察していくうえでの一助になる」という。



27 March 2024

ケースブック租税法の座談会

弘文堂のこのサイトで、ケースブック租税法の座談会がアップされていた。

ちょうど20年前の今日、初版の刊行をみすえて、編著者の金子宏先生・佐藤英明先生・渋谷雅弘先生・増井が集って収録し、北川陽子さんのお力により原稿にしていたものである。金子宏先生の肉声であり、租税法教育に関するお考えなどを伝える貴重な資料であるため、座談会収録から20年目の節目に公開された。

★目次は以下の通り。

1. 総論

 (1) 金子先生がケースブックを構想された経緯

 (2) 各編者がこれまでの授業でどのような教材をどのように使ってきたか

 (3) このケースブックの構成

 (4) ティーチャーズ・マニュアルの意図・狙い

2. 各編について

 (1) 第1編について

 (2) 第2編、第3編、第5編について

 (3) 第4編について

3. まとめ

 (1) 法科大学院におけるこれからの教材のイメージ

 (2) 本ケースブックの位置づけと今後予定(希望)される作業


★近いうちに、弘文堂スクエアにバナーを貼り、告知を開始するとのこと(HPのトップページでお知らせ、SNSでも発信)。