22 March 2014

3割・7割論の制度的含意は?

税制調査会の
第1回法人課税ディスカッショングループ(2014年3月12日)資料一覧
に、富山和彦特別委員の興味深い資料がアップされている。

すなわち、

  • 製造業を中心としたグローバル企業(3割未満の世界)
  • 非製造業を中心とした地域密着・ローカル企業(7割超の世界)
があり、それぞれはリンゴとミカンのようにまったく異なる2つの経済圏を成している、というのである。この説得的な事実認識にもとづき、富山委員は、課税のあるべき姿と、成長戦略の課題を導出している。なるほど。

この事実認識の制度的含意が、考えどころである。

  • 「3割未満」のグローバル企業は、有名な大手企業だけでなく、資本金規模では中小のリーディング企業を含む。とすれば、資本金の大小でターゲットをしぼりこむようなやり方では、効果的な区分にならないおそれがある。
  • 「7割超」の地域密着・ローカル企業にとって、より良い経営によって生産性をあげるようにするために、何が効果的なのか。外形標準課税が赤字企業の退出を促すというシナリオは、そもそも競争がないという事実認識と整合的か。新陳代謝を促す施策は、どのような形であれば政治的に受入れ可能になるか。

根本的には、経済活動に対する中立性の確保を目指す以上に、法人税制が果たすべき役割がどの程度あるかが、問われている。