11 July 2013

不動産保有税の美点と現実―The Economistの記事をめぐって

「各国政府は財産税(property taxes)をもっと利用すべきだ」というThe Economistの記事が出た。IMFのペーパーOECDの報告書などをベースにして,人々の行動をゆがめず安定した税収源であるなどの美点を列挙している。にもかかわらず,世界的にみると,必ずしも十分に利用されていないという。




その理由として,この記事は,次の点をあげている。

  • 執行に必要な情報を政府が欠くこと
  • 分配上の公正さについて説が分かれること
  • 有権者にとって顕示性のある(salientな)税であること
最後の点については,一括納税である場合には,毎月のローン支払とあわせて納税する場合よりも,人々がより非寛容になるというアメリカの例をあげている。

では,日本はどうか。市町村が固定資産税を賦課している。国際比較でどのレベルに位置づけられるかが気になった。そこで平成22年度に関する手元の数字で簡単に計算してみると,GDPは146兆6569億円,固定資産税は8兆8650億円だったから,GDP比率は6%になる。償却資産に係る部分を除き,土地・家屋の係る部分に限ると,4.9%になる。これは,上の表のHigh Incomeと記されたところを若干上回っている。英米のレベルではないとしても,結構利用しているといえるのかもしれない。