20 November 2019

インドでPE帰属利得の討議草案

2019年4月18日付けで,この文書が出ていた。the Central Board of Direct Taxes, Department of Revenue, Ministry of Finance, Government of Indiaあてに提出されていた文書が,パブリックコンサルテーションのために公開されていた。PE帰属利得の範囲の明確化を図るためという。この段階ではインド政府の公式ポジションではないようであるが,インドの議論を垣間見ることができて興味深い。
  • パラ52あたりで,value creationの基準をチクリと批判。
  • 第5章で3つのアプローチを提示して,パラ81でまとめ。
  • 第6章の学説サーベイで売上高基準への志向を示す。
  • 第7章でAOAを批判。
  • 第8章で裁判例をみる。
  • 第9章で明確化のための提案。
  • 第10章で「重要な経済的プレゼンス」につき,user contributionを第4の要素としてカウント(パラ176)。
以上の議論をまとめるのが第11章で,おおきく,売上・労働(マンパワーと賃金)・資産の3要素による配賦によることを勧告(パラ199)。
three equally weighted factors of sales, employees (manpower & wages) and assets,
as under:
Profits attributable to operations in India =
‘Profits derived from India’ x [SI/3xST + (NI/6xNT) +(WI/6xWT) + (AI/3xAT)]
さらに,売上の2%は最低,課税を確保することを盛り込んでいる。

デジタル課税についてインド案と呼ばれてきたものが,どういう国内での背景をもっていたかが,今にして何となくわかる。ちなみに,明日からのPillar Oneに関するOECD事務局案のpublic consultationについては,途上国の中で支持する声もあるが,インドの批判も聞こえてくる。

解説として,Radhakishan Rawal, Attribution of Profits to a Permanent Establishment, APTB, Issue 5, 2019.