07 June 2011

大阪高判平成21・4・22裁判所ホームページ(弁護士会法律相談センターの日当が給与所得でなく事業所得とされた事例)

京都地裁,大阪高裁ともに,給与所得とする納税者の主張を退け,事業所得としている。高裁は,地裁の判示部分を引用しつつ,控訴審としての判断を付加している。その結果,引用部分と付加部分が整合しないとまではいわないまでも,かなりニュアンスの異なる論理が混在してしまった。

高裁の付加部分は,弁護士の法律相談業務の対価は事業所得だ→だから本件のような無料相談業務の日当も特段の事情がなければ事業所得だ,としている。この論理は,無料相談業務が弁護士業に付随する当然のプロボノ活動だと考えれば,自然である。本件の納税者は,事業所得が3000万円を超えており,問題とされた日当が15万円だった。

この論理を採用すると,給与所得を得る勤務弁護士(アソシエート)が同じように無料相談業務の日当を受けとった場合,「事業に付随するから事業所得である」とはいいにくくなる。勤務弁護士については給与所得と処理してはどうか。やや便宜的かもしれないが。

なお,この事件では争われなかったが,雑所得にあたる可能性はないか。

1 comment:

  1. ジュリスト1433号141頁(2011年11月15日)に佐藤英明教授の評釈がある。最高裁の先例に照らすと,労務提供・報酬支払の具体的態様が従属的であるか否かが問題である。この観点から,同評釈は,「自治的な会の活動に会員の一人として参加した」ということを認定するに足りる事実が十分に判決文で摘示されているかについては,さらに検討の余地があるという。

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