最近の租税事件を含めて,そのおりおりに思ったことの断片をつづります。 Candid and biased, and hopefully stimulating, comments on recent tax developments in Japan (and other matters).
25 December 2019
24 December 2019
19 December 2019
中里実教授最終講義
中里実教授最終講義のお知らせ
2019/12/17
中里実教授の最終講義が以下のとおり開催されることになりましたので、お知らせします。
日時:1月8日(水)17:30~18:30
場所:法文1号館25番教室
演題:「財政と金融の法的構造」
2019/12/17
中里実教授の最終講義が以下のとおり開催されることになりましたので、お知らせします。
日時:1月8日(水)17:30~18:30
場所:法文1号館25番教室
演題:「財政と金融の法的構造」
I teach Tax Law at UTokyo.
18 December 2019
ゼミ終盤
法科大学院・公共政策大学院・総合法政・法学部の合併で,意欲あふれる精鋭19名とともに走ってきた今期のゼミも,あと1回を残すのみとなった。
9月末からはじめて,まずは,問題領域の概観,デジタル課税,ブロックチェーン,シェアリングエコノミー,ロボット課税,といった感じでいくつか文献を会読し,参加者相互の理解共有につとめた。そしてこれと同時並行しながら,班別の報告テーマ(=research question)を自由に設定してもらった。各班でリサーチと内部的検討を重ねてアウトラインをつくっていき,報告&議論というはこびになる。この過程は全面的に参加者の能動的な学びにゆだねていて,ぼくはときおり関連文献を提示するくらい。各班のプレゼンの様子(あるいはそれ以上に他の班の報告を聴いた側の聴衆としての「適切な質問」のキレ)に接した感じでは,この19名は皆なかなか,よくがんばったといわねばなるまい。中には取得単位なしで任意参加する人もいるというのに。
ゼミを開いているわずか3か月の間においても,たとえばデジタル課税について,事務局案をもとにpublic consultationが行われたり,米国財務長官がOECD事務総長に書簡を送ったり,現在進行形でものごとがどんどん進行している。昨年のゼミと同じテーマを継続しているつもりでも,1年でこれだけ変わるものか,というのが実感。
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16 December 2019
15 December 2019
Becoming Astrid (2018)
2018年公開の映画。ピッピとかカッレくんとか,Astrid Lindgrenのたくさんの作品が生まれた背景に,若い時期のこんなことがあった。彼女は1907年生まれだから,この物語は戦間期。全く知らなかったが,英語圏ではかなり知られた事実だったよう。
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14 December 2019
信託課税研究の道標
2009年からトラスト未来フォーラム(トラスト60)で継続的に行われてきた研究会の成果のうち,主要なものにつき,加筆・補論を追加して,論文集としたもの。目次は以下。
第1章 信託法理の生成
信託法理の生成(中里 実)
法人格を有する信託としての財団法人(中里 実)
第2章 課税上の利益帰属
所得の「帰属」・再考(序説──東京高判平成23年9月21日訟月58巻6号2513頁を手がかりとして(藤谷武史)
Reich論文の“Super-Matching” Ruleの紹介及び信託等を通じたマッチングの意義と限界(浅妻章如)
無償取引と取引の単位──課税の前提に関する研究ノート(中里 実)
無償取引と対価(中里 実)
第3章 時間を超える利益移転 年齢・主体・課税に関する研究ノート──教育資金贈与信託を出発点に(神山弘行)
民事信託と相続税・贈与税に関する研究ノート(渕 圭吾)
受益者連続型信託に対する資産移転税の課税方式に関する一考察(藤谷武史)
「みなし相続財産」と信託(渕 圭吾)
所得税と相続税の調整:アメリカ生命保険源泉徴収税の外国法控除と債務控除(BFH2R51/14)(浅妻章如)
世代間資産移転のための「公的基金」と信託的ガバナンスに関する研究ノート(神山弘行)(2011年)
第4章 国境を越える信託
英国における法人該当性判断をめぐる動揺──Anson事件最高裁判決(吉村政穂)
4号所得の空洞化(増井良啓)
支店外国税額控除の設計(増井良啓)
UCITS 4[第4次集団投資事業指令]に対応した英国税制の動向(吉村政穂)
第1章 信託法理の生成
信託法理の生成(中里 実)
法人格を有する信託としての財団法人(中里 実)
第2章 課税上の利益帰属
所得の「帰属」・再考(序説──東京高判平成23年9月21日訟月58巻6号2513頁を手がかりとして(藤谷武史)
Reich論文の“Super-Matching” Ruleの紹介及び信託等を通じたマッチングの意義と限界(浅妻章如)
無償取引と取引の単位──課税の前提に関する研究ノート(中里 実)
無償取引と対価(中里 実)
第3章 時間を超える利益移転 年齢・主体・課税に関する研究ノート──教育資金贈与信託を出発点に(神山弘行)
民事信託と相続税・贈与税に関する研究ノート(渕 圭吾)
受益者連続型信託に対する資産移転税の課税方式に関する一考察(藤谷武史)
「みなし相続財産」と信託(渕 圭吾)
所得税と相続税の調整:アメリカ生命保険源泉徴収税の外国法控除と債務控除(BFH2R51/14)(浅妻章如)
世代間資産移転のための「公的基金」と信託的ガバナンスに関する研究ノート(神山弘行)(2011年)
第4章 国境を越える信託
英国における法人該当性判断をめぐる動揺──Anson事件最高裁判決(吉村政穂)
4号所得の空洞化(増井良啓)
支店外国税額控除の設計(増井良啓)
UCITS 4[第4次集団投資事業指令]に対応した英国税制の動向(吉村政穂)
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13 December 2019
占領下における外国人・外国法人課税再開の過程
加野裕幸「占領下における外国人・外国法人課税再開の過程」関西大学大学院法学ジャーナル97号(2019年)21-47頁は,「昭和25年の外国人・外国法人の課税の再開は,きっかけはGHQの覚書で始まり,その内容はシャウプ使節団の影響を受けていない(46頁)」と主張。
かつて非永住者制度の沿革を調べたおりに,私は,シャウプ勧告の「外国人」という一節に着目し,この勧告をうけて,GHQが非円通貨による外国人所得の非課税措置を廃止する旨の覚書を発したと考えた(ジュリスト1128号109頁)。これに対し,昭和25年の租税特別措置法改正の内容については,基本政策の点からは,外国資本とともに外国人が一緒に日本にこなければならないとしたシャウプ勧告の叙述に照応する,とまでしかいえなかった。
この点につき,加野論文は,一歩進んで,シャウプ使節団は特別措置の内容には距離をとっていたと主張している。その論拠をみてみると,戦後財政史口述資料(1951年)を参照して,外国人・外国法人の利子・配当・給与の軽減措置(当時の租税特別措置法3条から5条)につき,これは司令部の要望によるもので,シャウプ勧告は「そういう問題は全然ごめんだというようにさらりとやられた」という発言を引用している(32頁)。理想の租税政策を追い求めた使節団の一面がうかがえる記録であり,それ自体興味深い。
この点につき,加野論文は,一歩進んで,シャウプ使節団は特別措置の内容には距離をとっていたと主張している。その論拠をみてみると,戦後財政史口述資料(1951年)を参照して,外国人・外国法人の利子・配当・給与の軽減措置(当時の租税特別措置法3条から5条)につき,これは司令部の要望によるもので,シャウプ勧告は「そういう問題は全然ごめんだというようにさらりとやられた」という発言を引用している(32頁)。理想の租税政策を追い求めた使節団の一面がうかがえる記録であり,それ自体興味深い。
ほかにも,いかにも直接に史料をあたった研究らしい、興味深い点がある。
- 忠佐市氏らが1947年に行った外国法人3社への聞き取り調査の記録を発掘。当時の外国法人がいろんな理由をつけて源泉徴収義務をなかなか履行したがらない様子が改めて明らかになる(28頁以下)。
- 安川七郎氏の1951年の論文をもとに制限納税義務者の課税の範囲を追跡(33頁以下)。この部分は,1954年日米租税条約締結前後の議論に接続し,1962年に国内源泉所得の概念を法令で明確化するところにつながっていくであろう。
この論文がndlの検索でヒットしないのは,惜しい。
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12 December 2019
令和2年度税制改正大綱
令和2年度税制改正大綱
2019年12月12日
自由民主党
公明党
自由民主党
公明党
- 令和2年度税制改正大綱PDF形式(556KB)
投資減税で成長後押し 与党税制改正大綱が決定
- 2019/12/12 10:04 (2019/12/12 14:47更新)
自民、公明両党は12日午後、2020年度の与党税制改正大綱を正式に決めた。大企業が事業革新のためにスタートアップに出資した際の優遇税制を創設する。少額投資非課税制度(NISA)は24年に新制度に移行し、積み立て型のつみたてNISAも継続する。企業や個人のためたお金を投資に回すための減税措置を重視し、日本の成長力を底上げする。
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04 December 2019
IFA Congress Report 2019
2019年9月のIFAロンドン大会の議論が,まとめられた。
2つの主な論題と10のセミナーについて,議論の記録が掲載されている。たとえば,セミナーのひとつであるSeminar I Recent Developmentsでは,Arm's Length 2.0の名の下に,今後10年の間に独立企業原則が変容して,比準取引に基づくアプローチよりもヨリ機械的なアプローチが新しい現実になるかが問われる,といった議論がされた(60頁)。
こうして公式のまとめを出すのは手間がかかることであるが,有意義な事業であるので,息長く継続していくことを望みたい。
2つの主な論題と10のセミナーについて,議論の記録が掲載されている。たとえば,セミナーのひとつであるSeminar I Recent Developmentsでは,Arm's Length 2.0の名の下に,今後10年の間に独立企業原則が変容して,比準取引に基づくアプローチよりもヨリ機械的なアプローチが新しい現実になるかが問われる,といった議論がされた(60頁)。
こうして公式のまとめを出すのは手間がかかることであるが,有意義な事業であるので,息長く継続していくことを望みたい。
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