SMU IFA David R. Tillinghast Global Taxation Conference 2022がウェブで開催されている。第一日午前のセッションは、米国の動向に関するパネル。タイトルは、Converge or Decouple? Navigating Biden Reforms and BEPS 2.0 in Asia。パネリストは、
Cara Griffith, Tax Analysts
David Rosenbloom, Caplin and Drysdale
Tim McDonald, P&G
Michael Lennard, UN
Wei Cui, UBC
現況が生き生きと語られた。発言の一部を簡単にメモ。聴き取れていないところはご容赦。
〇米国はBEPS 2.0に参加しないか?
*急速に動いており先行きが不透明。民主党のLujan上院議員が倒れて、法律案が通らない。しかも11月に選挙なので、初夏には議会が動かなくなる。
*米国が参加しなくても、多数国が参加しているなら、通商法上、差別的とはいえない。
*カナダの眼からみると、多数国が参加しないと何もおこらない。多数国が参加して米国が参加しないと問題。でも英国やスイスの反応をみていると、柱2はtake lifeするだろう。
*国際公法の観点からは、多国間条約が頓挫することは珍しくない。10月の政治声明や、署名よりも、各国の批准が大事。
*BEPS2.0はアジェンダにのっていない。まずは歳出案が最も争いのあるところで、歳出案がまとまれば増税がくっついてくる。GILTI以外にSALTとか難題があり、通らないだろう。
*25年前は民主党も共和党も強かった。いまや党内にサブ・パーティーが分立する状態。Lujan上院議員が3月に戻らないと通らない。
〇米国が参加しないとどうなるか?
*柱2に従って参加国がUTPRを採用する。これが米国企業に影響する。米国政府はこれに対してまたもや報復関税か。
*米国がそのような行動をとったら多国間主義を傷つける。
*3カ月前には柱2が採用されると思った。しかし、12月の案でtransactional connectionが要らなくなった。これは議会筋には理解不能。
*税率が高くなったとしても、一定程度のuniformityと紛争処理メカニズムが、企業にとっても魅力。この話はもともとデジタル企業のお話が発端だった。だから、DSTにuniformityを設ける。所得税にしたいなら、デジタル企業にPE概念を広げる。そうではなくすべての企業を対象に課税ルールを取り替えるのはやりすぎ。
*WTOの紛争処理は機能していない。途上国は源泉徴収を推す。国連モデル12B条。
*米国の中でも、租税政策担当の人たちと、議会筋の人たちで、温度差がある。
*実務的な点が大事。Nexus/sourcingのコンサルテーションの文書をみても、そんなに厳密にできるわけがない。商品にGPSをつけるのか。仲介業者はどうするのか。
*柱1は外国税額控除が前提。この点、米国FTC Regulationsは爆弾だ。ブラジルの法人税は控除不可。
さらに
〇情報交換と紛争処理
が、Pillar OneとPillar Twoの前提になっている点についても、率直な意見交換がなされた。
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