23 August 2023

ジュリスト誌のインボイス特集

ジュリスト1588号で「インボイス制度が始まる」という特集が出た。

特集 インボイス制度が始まる

インボイス制度の実施とその将来像/西山由美

課税仕入れを巡る問題/藤谷武史

インボイス制度(適格請求書等保存方式)の概要/染谷浩史

登録制度と免税点制度/金井恵美子

インボイス制度と独禁法・下請法・フリーランス法/白石忠志


今年の10月1日からインボイス制度(適格請求書等保存方式)が導入される。このことを念頭においたタイムリーな企画。西山論文はインボイスの保存が仕入税額控除の形式要件であるという解釈を示し、立法論として課税事業者識別番号への移行が不可欠であると主張する。藤谷論文は、インボイス施行後も残る論点を3点指摘し、とくにその第3点につきADワークス事件最高裁判決が課税仕入れに伴う「難しさ」を示す事例であるとする。染谷論文は、インボイス制度の意義と仕組みを記載事項の詳細に立ち入って説明し、その円滑な導入に向けた多層的な取組みを示す。金井論文は、豊富な実務経験に基づき、インボイス制度となっても仕入先が登録している場合は仕入税額控除に大きな変化がないこと、事業者免税点制度との関係で2割特例の終了が新たな壁になること、を論ずる。白石論文は、独禁法・下請法・フリーランス法の適用上のポイントが「濫用行為」に当たるかどうかであるとし、具体的な事例へのあてはめにおける論理を分析する。それぞれが有益な論文であるだけでなく、全体としてシンポジウムのような感じを与える。

この号には、国際合意を踏まえたミニマム課税の法制化(吉村政穂)の新法解説があり、国際課税関係の判例評釈が2件(6号所得への源泉徴収(吉村浩一郎)と来料加工と管理支配基準(長戸貴之))。租税法に関心のある人にとって、手に取って読んでおきたい号となった。

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