平成18年改正前の法人税法施行令134条の2(現72条の5に相当)が,法人税法65条による委任の範囲を逸脱しないとされた事例。上告審で係争中。
施行令のこの規定は,法人税法22条3項2号の規定内容の技術的・細目的事項を定めたものといえるか。令134条の2は,使用人賞与について,一律に損金算入時期を規律している。判決は,施行令のこの規定が,法22条3項2号の定める債務確定基準と異なる基準を意味する場合がありうることを認めている。例えば,債務の確定日と賞与の支給日がズレており,しかも,施行令によると支給日が基準とされるような場合である。にもかかわらず,判決は「法律において課税要件等の基本的事項を定めた趣旨を損なわない範囲において,課税の公平及び徴税の適正等の確保の見地から,これと異なる規律を設け,もって課税の明確性,統一性を計ることも,当該基本的事項についての技術的,細目的な定めとして,租税法律主義の要請に抵触せず,許容される場合がある」と判示し,結論において22条3項2号の規定内容の技術的・細目的事項にあたるとした。法律の定める枠内にとどまっているとみたわけである。
使用人賞与についていかなる場合に債務の確定があったとみるべきかは,法22条3項2号の解釈として必ずしも一義的に定まるものではないから,より明確なルールを設けておくことが望ましい。従って,一般論としていえば,令134条の2のようなルールを設けることは,必要なことといえよう。だが,法律の定めるところと異なる規範を定立している部分があれば,その部分については委任の範囲を超えているとみるのが,理屈の建て方としてはすっきりしているのではないか。
22条4項はどうなのか?最高裁は損金算入そのものまで否定いる(平成6年9月16日刑集48巻6号357頁)。
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