20 April 2014

International VAT/GST Guidelinesを、グローバルフォーラムが支持

2014年4月17日と18日に、東京でグローバル・フォーラムが開かれた。
そこで、国境をこえるB2B取引に関するガイドラインに対して、各国政府が支持を表明
次の段階は、B2B取引に関するガイドラインの策定である。

15 April 2014

アジア開発銀行が、アジア太平洋の税務行政について比較分析

アジア開発銀行から

A COMPARATIVE ANALYSIS OF TAX ADMINISTRATION IN ASIA AND THE PACIFIC, Satoru Araki and Iris Claus, April 2014

が出た。行政組織の設計から、人的組織の管理や予算と支出の管理、電子サービス・税務調査・徴収などの納税者とのかかわり、そして紛争処理に至るまで、包括的に比較制度論・運営論を展開している。ここからダウンロード可。

05 April 2014

神戸正雄(1929)による、政府の希望する「租税回避」の例

神戸正雄『財政学体系』380頁(1929年)が、政府の希望する「租税回避」の例として、独身税をあげている。いわく、
又租税回避が不当でないのみならず、立法者の却って之を希望することがある。其は・・・独身税出るに於て結婚を為すことによりて此等の税を免れるが如きである。[旧字を改めた]
これを現代風の言葉でいえば、納税者のインセンティブ効果を立法者が意図的にねらった場合である。

この一節は、「租税の回避及転嫁」と題する章にでてくる。神戸のこのテクストにおける「租税回避」の概念は、きわめて広い。現代日本の法学で通常考えられている租税回避以外のものを、含んでいた。すなわち、

  • 立法上おこなわれるもの。
  • 税法の適用に際して行われるもの。その例として「課税物件の隠匿、密輸入、虚偽の申告」をもあげており、今日の言葉でいう明白な脱税をカバーしている。
  • 転嫁によるもの。
資料種別

04 April 2014

平成26年3月14日東京国税局文書回答(所得税法第9条第1項第10号の非課税所得)

東京国税局が、このような文書回答を出していた。法律解釈に関する部分だけを抜き書きすると
資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難である場合における破産手続などの強制換価手続による資産の譲渡による所得は非課税とされていますが(所法9①十、通法2十)、この「譲渡による所得」に配当所得や株式等に係る譲渡所得等は除かれていませんので、強制換価手続による資産の譲渡により生じる配当所得や株式等に係る譲渡所得等も含まれる
というのである。「譲渡による所得」は、譲渡所得のみを指すのではなかった。

東京高判平成25・7・19(法人税法22条4項と不動産流動化実務指針)

X社が、不動産の流動化をし、信託受益権の譲渡をもって信託財産の譲渡と取り扱う会計処理をして、法人税の確定申告。
→金融取引として扱う会計処理をすべきである旨、証券取引等監視委員会から行政指導を受け、X社が過年度の会計処理の訂正。これに伴い、金融庁長官から、課徴金納付命令を受ける。
→X社が、法人税の更正の請求。豊島税務署長は、更正をすべき理由がない旨を通知。その取消を求めて、X社が出訴。
東京地判平成25・2・25、請求棄却。
東京高判平成25・7・19も、原審を維持。

法人税法22条4項の問題として大きくとらえると、金融取引扱いにする実務指針を法人税法が受け入れるか、という争点になる。

課税のタイミングを具体的に追求すれば、本件で譲渡があったかどうかを認定し、権利確定基準をたんたんとあてはめるのが思考の手順であろう。この点に関して、高裁は、
原告については,本件信託受益権譲渡契約及び本件買戻契約に基づく本件信託受益権の各譲渡を含む本件不動産流動化取引及びその終了に係る取引により,それらの取引に関してされた合意により形成された法律関係に従って,本件信託受益権の譲渡の対価その他の各種の収入があったものとして会計処理をしたものであって,それらが実質的には他の法人等がその収益として享受するものであったことや,上記の各合意の内容と取引の実態との間にそごがあったこと等をうかがわせる証拠ないし事情は見当たらない。
と述べている。本件では5年後に買い戻しているが、譲渡担保のような扱いの可能性は、否定しているようである。

02 April 2014

BEPSに関するOECDのWebcast

これ

Live Webcast - Update on BEPS Project
Date: Wednesday, 2 April 2014
Time: 3:00pm - 4:00pm CEST (Paris time)

が、いま終わった。項目は、
• Digital Economy
• Hybrid Mismatch Arrangements
• Tax Treaty Abuse
• Transfer Pricing aspects of Intangibles
• Transfer Pricing and Country by Country Reporting

であり、いろいろと最近の動きがわかった。たとえば・・・
  • 予定どおり行動計画が進んでいること
  • Country-by-country reportingのマスターファイルが、high level overviewであって、templateをふくまないこと
  • Special measuresがarm's length princnipleを破壊することがないこと、これまでと同様に定式分配を排斥することの強調
などが印象に残った。


おそらくもうじき、

http://www.oecd.org/tax/beps-webcasts.htm
で再放送をみることができるようになるだろう。


租税法判例六法に、追補

有斐閣のこのサイト
※『租税法判例六法』の追補をアップしました。 この度,初版(2013年7月)刊行以降の法令改正および重要な判例に関する追補を作成いたしました。
とアナウンスがあり、ここからダウンロードできるようになっていた(K様ありがとうございます)。

帰属主義への見直しに関する法人税法の新規定は47頁あたりから、それに対応する法人税法施行令の新規定は78頁あたりから、みることができる。

01 April 2014

官報に、平成26年度税制改正による政令

3月31日付けの官報、特別号外第6号に、平成26年度税制改正による法律と政令が掲載されていた(O先生ご教示ありがとうございます)。

とりわけ、帰属主義への見直しに関係する法人税法施行令の改正はおおがかりなものであり、新学期の「国際租税法」の授業で要検討。

念のため、これはエープリル・フール・ジョークではありません。