21 June 2015

英国Diverted Profits Taxの運用について、座談会が出ていた

78 Tax Notes Int'l 880 (June 8, 2015)である。2月9日刊行の議論に続き、E&Yのtax teamが、Tax Analysts記者の鋭い問いに簡潔に答えていた。2月9日の議論はドラフト段階のものだったが、4月からDiverted Profits Tax(DPT)が施行されたのをうけて、今回は、現場の運用がどうなってきているかを、かなり具体的に論じている。

含蓄が深い(深すぎる)点も多いが、おおむね理解できたところでは、たとえば、次のようなことが印象に残る。
  • 英国企業は主にcompliance issueとみており、米国企業は実際に課税リスクを伴う重大なことがらととらえて分析をはじめている。
  • 新しくAPAを結びたいと考える企業が増加。
  • Lower-risk populationと、higher-risk populationとで、HMRCに対してnotificationをするかどうかの対応が分かれる。
  • HMRCのLarge business unitの中のdigital economy teamがdiverted profits teamと改名して、賦課をはじめている。
  • 取引の再構築(recharacterization)に関するスタンスが、BEPS actions 8-10と、HMRCとで異なり、HMRCは租税が主なドライバーだったかにより強く着目。
  • 米国でこの税が外国税額控除の対象になるかについては、a little bit of yes and noという微妙な答え。租税条約で明記するか、米国国内法のあてはめか、いずれかの道があるところ、後者は複雑で米国財務省が公にコメントを出していない。
  • 米国でCFC Rule(Subpart F)を発動すれば、英国のDPTから税額控除できるが、その期間が短く、timing mismatchが生ずるおそれあり。
  • DPTの条約適合性に関してlegal challengesが生ずるかどうかについては、あまり生じないのではないか、なぜならHMRCが適用対象を狭くとってvery significant profits in tax havensの事案に限る運用をするのではないか、という推測。
  • 米国企業会計上、引当金を積むことになるか、uncertain tax positionとして扱うか、という論点。
  • 豪のように他の国もDPT類似の税を入れていくと、BEPS Projectの重要な構成要素であるマルチラテラルな対応が失敗したことになるかについて、1)low-taxed, low-substance situationを特定して課税権を配分する英国のようなアプローチと、2)IP-rich value chainsの利益を分割するやり方を抜本的に改革するアプローチがあり、1)のアプローチをとっただけで失敗といえるかどうかはわからない、という意見。
 UK Government annoucement

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