27 August 2019

連結納税制度の見直しについて

税制調査会総会に報告された,専門家委員会のこの文書である。

当日の資料一覧は,以下からダウンロードできる。

第24回 税制調査会(2019年8月27日)資料一覧

18 August 2019

OriHimeのコーポレート動画

これである。生身の人間はその場所から動けなかったとしても,場所を超えて,つながっていける。

 固定されたツイート
オリィ研究所のコーポレートムービーが完成しました! 私達が研究を通して目指している世界を是非、見ていただけると嬉しいです!
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29 July 2019

租税法学会48回総会の案内

このサイトである。以下に,案内の内容をコピーペーストしておこう。

2019年度総会

租税法学会第48回総会の御案内
会員の方はこちらから出欠をご記入ください。

 https://forms.gle/PbVLeTLbSLrnvCB86

なお,学会の開催要領は以下のとおりです。
日    時 2019年10月19日(土)  午前9時30分より
場    所 東京都港区白金台1-2-37 
明治学院大学白金校舎 3号館3101教室
地図(地下鉄白金台駅・白金高輪駅・高輪台駅より徒歩約7分)
  (総会幹事 渡辺 充)

次    第
(1)議事総会   (午前9時30分~10時)
        会務報告、会計報告、その他
(2)研究総会   (午前10時~午後5時30分)
      「家族と税制」
①研究報告
家族の多様化と税制の対応
   報告:加藤友佳(東北学院大学) コメント:谷口勢津夫(大阪大学)
家族財産の管理・承継の多様化と税制
   報告:渋谷雅弘(中央大学)    コメント:水野惠子(愛知学院大学)
消費・投資の場としての家族 ―租税理論の観点から
   報告:岡村忠生(京都大学)      コメント:渡辺智之(一橋大学)
家族と(再)分配
   報告:藤谷武史(東京大学)      コメント:森信茂樹(中央大学)
ドイツにおける家族課税-所得税を中心に-
  報告:奥谷健(広島修道大学)   コメント:西山由美(明治学院大学)
②質疑討論

御注意
・出欠は,9 月末日をめどに早めにご記入・ご連絡下さい。あわせて、次回以降の総
会研究課題についてのアンケートにご協力下さい。なお、当学会では、事務省力化のため、学会出欠連絡ハガキの可能な限りの廃止(HPを通じた参加申込み)を進めております。ご協力いただける会員の方はHPを通じた出欠連絡時にその旨お知らせ下さい。
・レジュメは、総会当日にお配りいたします。
・総会終了後に懇親会を開催いたします(会員のみ)。奮ってご参加下さい。昼食に
ついては、学内の食堂が利用可能です。
・なお,会員でない方が研究総会を傍聴される際には、資料代として 2,000 円を頂
きます。傍聴希望者は、租税法学会ホームページ(http://sozeiho.news.coocan.jp/
内のフォームよりできるだけお早めにお申し込み下さい。

16 July 2019

平成30年版厚生労働白書

平成30年版厚生労働白書-障害や病気などと向き合い、全ての人が活躍できる社会に-」である。その第1部は,
人生には必ず変化がある。今、健康で仕事に就き、悩みなく生活している人であっても、その生活が今後も続いていく保証はない。誰しも障害を有したり、病気になったり、何かのきっかけで仕事を失ったりする可能性がある。また、家族がそのような状況に置かれる可能性もある。個人がどのような状況に置かれても、自分らしく活躍できる社会が実現していれば、そのような変化は決して恐れるものではないだろう。(210-211頁)
という考え方にたって,「全ての人が活躍できる社会」像を描く。たとえば,がん患者・経験者の就労状況をみると,被雇用者のうち勤務を継続している者は約50%である。この点につき,
がん患者・経験者が長期生存し、また、がん治療は入院治療から通院治療へシフトしており、働きながら受けられる可能性が高まっている。こうしたことから、がん患者が診断時から正しい情報提供や相談支援を受けるなど、がん患者の離職防止を支援していくことが重要である。(96頁)
という方向を導き出している。また,現場の取り組み事例が豊富に紹介し分析されており,「足でかせいだ」情報を,居ながらにして一読できる。

第1部 障害や病気などと向き合い、全ての人が活躍できる社会に


14 July 2019

東京高判平成30年8月1日

先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除が争われた。納税者は,給与所得者であり,先物取引の差金等決済についてずっと無申告だった。平成26年11月に税務調査があり,納税者は,平成20年分の損失を平成21年に繰り越すことを求めた。課税庁は,平成20年分の所得税は法定納期限から5年を経過しているから時効により期限後申告をすることはできず,したがって損失を平成21年に繰越できないとした。

原審の千葉地判平成30年1月16日は,国税の徴収権の時効消滅(税通72条)について,納税者が時効の利益を受ける意思があるか否かを問わず絶対的に消滅するとしたうえで,税務署長による「決定がなされない場合であっても,当該申告の対象となる国税の時効期間が経過し,抽象的な納税義務が消滅し,具体的な納税義務の内容をおよそ確定することができなくなったときには,期限後申告ができなくなる」と判示し,繰越を認めなかった。

東京高判も同じ結論であるが,理由付けとして,原審のあげる「消滅時効の絶対的効力の観点」に加えて,「実質的観点」を付加している。すなわち,「国税の徴収権の消滅時効の期間が経過して徴税権がなくなり,課税庁が,提出された確定申告書等に誤りがあるかどうかを調査できず,更正又は決定ができない時点に至っても,仮に確定申告書等の提出を許すこととすると,課税庁としては申告書の記載をそのまま認めるしかないことになってしまい,課税の適正・公平が確保できないことになる」という。

つまり,
  • 消滅時効の絶対的効力の観点
  • 実質的観点
というふたつの理由付けが提示された。

前者について,品川芳宜・判批・T&A Master 773号15頁 (2019年) 23頁は,国税通則法が期限後申告または修正申告について明示的に期限を定めているわけではないことから,「納付すべき税額が生じない期限後申告又は修正申告については,国税の徴収権の消滅時効と離れて弾力的に解す余地がある」として,「本件のような場合に,期限後申告書の提出を徴収権の時効消滅後であっても認める余地があるようにも考えられる」とする。
→これは,徴収権が消滅したあとでも,納税者と国の間の租税法律関係は残存しているという理解を前提にしているように思われる。そうではなく,5年たてば基礎となる法律関係が消滅し,繰り越すべきであった観念的な損失自体が消えてしまう,というのが,原審判決の「抽象的な納税義務が消滅」するという判示部分の意味であったのではないか。ややドグマティックな感じを与える議論ではあるが。

後者の実質的観点に対しては,品川説の立場から,「平成21年分の申告内容を税務職員が調査する一環として,平成20年分として計上された損失の金額が正しいかどうかを審査すればよい」という反論がなされる。平成20年分の期限後申告という手続はすっとばして,直接に21年分をみる。あくまで21年分の申告内容をみているだけであって,20年分に遡っているのではないという理屈である。
→この反論の立場にたったとしても,平成20年分の損失の金額に誤りがあり,調査してみたら実際には黒字だったという場合には,国税の徴収権は時効消滅しているから,20年分についての決定はできない。つまり,損失の繰越という局面でのみ,20年分の申告内容をチェックするということになる。うーむ,なかなか弾力的な解釈。
→実質的観点に対するこの反論をきらうならば,結局,前者のドグマティックな議論でおすのが,簡明か。あたかも,膨張する宇宙の向こう側がこちらの世界からは観測不能であるように,時効消滅した以前のことにはノータッチであらざるをえない,とわりきるのである。

05 July 2019

デジタル経済の課税をめぐる動向,第2版

国立国会図書館の佐藤良氏によるこれである。昨年7月の初版の更新版。今年6月までの動きをフォロー。作業計画を概観し,各国の独自措置をアップデート。日本の主要論者の文献を堅実に参照していて,まさに「調査と情報」。

以下は,昨年7月から今回のこれに至る国会図書館の「税・金融・経済」の「国税」の欄の刊行物のリンク。

04 July 2019

Brian J. Arnold, 50 years and counting

Canadian Tax Journalのオープンアクセスページで,Arnold教授が租税の領域で仕事をはじめてちょうど50年になった,という記事が出ていた。おめでとうございます。1969年7月1日からUniversity of Western Ontarioで教えはじめ,それから50年。はじめてchild care expense deductionについて論文を書くまでのいきさつや,1980年代あたまにTiming and Income Taxationの初版(2015年に第2版)を出したころのことがいろいろと。

BRIAN J. ARNOLD


Posting: 158
July 3, 2019


29 June 2019

IFAの2019年Cahiersが公刊されていた

2019 London Congressのための報告書が出ていた。今回のトピックは,負債利子控除と,投資ファンド。

Subject I は,負債利子控除。BEPS行動42016年Updateは,各国税制が共通アプローチの収斂に向かうことを期待していた。では実際にどの程度収斂してきていているのか。これを検証。この点,General Reportによると,EU各国ではATADを遵守する結果としてかなりの収斂がみられるところ,EU以外の国々では必ずしもはっきりとした収斂はまだみられないという。2018年10月段階の情報に基づく知見である。

日本のBranch Reportは,緒方健太郎氏が執筆。制限措置のカバーすべきエンティティ―の範囲を広狭どう設定するかが,技術的な問題にとどまらず,コアの考え方の違いによると指摘。そのうえで,行動4報告書のとるtop-down approachと,日本の既存の過大支払利子税制のとるbottom-up approachの違いがあると述べる。なるほど。2019年3月の税制改正をにらむ時期の執筆であるところ,末尾の付録で,過大支払利子税制の改正内容をタイムリーに要約。日本ははっきりとした収斂の例といえよう。

行動4は,法人税の課税ベースをめぐる基本的な問題でもあり,企業の資金調達におけるプランニングをめぐる実際的な問題でもあり,以前から興味を惹かれていた。必読文献がひとつ増えたと思う。ほかにもいろいろと興味深い点。たとえば,米国は2021年まではEBITDAを参照するが,そのあとはEBITを参照することになるので,参照ベースが狭まって制限がきつくなるのだが,にもかかわらず30%という固定比率の数字は変わらないらしい(General Report, at 33)。そもそも一般的に,利子費用控除に関する各国の立法政策の背景に,日本法とかなり異なるやり方をとる例が紹介されている(General Report, at 25)。また,いわゆるupstream loanで,子会社が親会社に融資したときのブラジル・カナダ・デンマークの扱いなどは,日本法の「常識」からみてやや驚き(General Report, at 43)。

Subject II は,投資ファンド。前回これをとりあげたのは1997年のNew Delhi Congressのときだった。その後,市場規模は3倍以上伸びたという。22年という時間が,すぎてみると夢のごとし。

General Reportは三部構成で,投資ファンドの課税,投資ファンドに投資する投資家の課税,投資マネジャーの課税,を検討。論じていることは,各国税制が投資チャネルの選択に対する中立性をどう確保しようとしているか,租税条約へのアクセスをめぐる諸論点(2010年CIV報告書以降の動きや,beneficial ownershipに関するスイス判決を受けたとされる2014年OECDモデル租税条約1条コメンタリーの改訂など),さらに,投資マネジャーの報酬に関するcarried interestなどの問題,など。これだけ範囲が広いので,年金ファンドや,sovereign wealth fund,VAT/GSTは検討対象から除外。

日本のBranch Reportは,伊藤剛志氏が執筆。証券投資信託からはじまって,TKとか投資事業有限責任組合とか,デラウェア州法上のリミテッド・パートナーシップとか,広範なストラクチャーを検討。だいぶ前にこの分野を概観しようと試みたことが私にもあるので感じがわかるのだが,これはとても大変なことであったろうと想像する。このようにして日本法の現状を英語でavailable にされたことは,よろこばしい。

今回のSubject Iは44の支部報告書と1のEU報告書,Subject IIは42の支部報告書をもとにしている。これでも,たとえば中国とかマレーシアからの報告書は出ていない。今後こういった国々からのインプットが増えるならば,さらに包括的な比較法研究プロジェクトになっていく。そうなったとき,比較対象として検討可能な法域はどのくらいが上限だろうか。2019年3月でInclusive Frameworkの参加国は129に達している。100を超える数になってくると,もしかしたら,研究にあたってAIの助力が必要な場面になるだろうか。

24 June 2019

5th Asia Pacific Regional Meeting in Melbourne

IFAの地域大会がメルボルンで開かれた。今年で5回目。統一テーマはデジタルグローバル経済の課税(Taxation of the Digital Global Economy)。

1日目のプログラムはIFAとCorporate Tax Associationとの共催で,かなりの数の現地の参加者あり。午前は,Chris Jordan, Commissioner of Taxation, ATOのスピーチで国際行政共助の進展が報告されたのに続き,豪・マレーシア・インドネシア・日本・NZ・台湾・シンガポールの課税当局のパネルがあった。このパネルでは,5つの視点(CbCR,ルーリング,JITSIC,ICAP, CRS)について,各国の経験をシェア。これに対し,午後は,争訟実務を担当する弁護士による紛争処理のパネルや,多国籍企業の税務部門を取り仕切る専門家(ExxonやAmazonなど)のパネルなど。マレーシアでは,移転価格に係る紛争について,訴訟になる前の段階では弁護士が受任できないというのが当局の立場だ,といった話もあった。午前と午後で,だいぶコントラストがあったと思う。夜のGala Dinnerでは,NZ Inland RevenueのCarmel Petersが,IFA/OECDの思い出などについてスピーチ。

2日目はだいぶリラックスした雰囲気。午前にまず濫用措置のパネルがあり,コモンウェルス諸国の経験を一覧(AU, UK, NZ, India, Malaysia)。たとえば,オーストラリアのGAARが"sole or dominant purpose"で,インドのそれが"main purpose"で,MLIのPPTが"one of the principal purpose"となっていることなどの相互関係とか。証明責任に関しても各国で微妙に違っていて,それぞれにMLIのPPTとズレる。それぞれについては日本でも先行研究があるところだが,こうして一覧すると,あらためてPPTというやつはコモンウェルス系統だなと実感する。クロスボーダーファイナンスのパネルでは,日韓のようにBEPS行動4にきちんと対応する国と,豪NZのようにearnings stripping ruleをそもそも入れていない国が,くっきり分かれた。もっとも,豪は,hybrid mismatchには熱を入れて対応しているし,もともと移転価格税制でもって法人資本構成の根っこのところを読み替えることができるらしい。午後のセミナーも,パラレル・セッションになっていて一部しかみられない。Richard Vann司会のパネルでは,MLIの批准がまだの国がかなりあることがわかった。仲裁条項の導入についてはともに消極的な中印であるが,積極的に反対しているインドと,もしかしたら方針転換するかもしれない中国との微妙な差異があるらしい。最後のセッションは,BIACのWill Morrisも参加したパネルが将来を語るもの。

日本からもはるばる,何名もの先生方がパネルとして参加された。次回は2020年6月1日から3日に香港で開催予定。


04 May 2019

BEPSよりも租税競争のほうが影響が深刻かもしれない件

2019年3月に,IMFのペーパーCorporate Taxation in the Global Economyが公表された(ここからダウンロード可)。

この文書は,「価値が創造される場所」での課税という掛け声が真の進歩の基盤として不十分である(Executive Summaryの第2段落)という認識にたち,議論の現状を整理したうえで,法人課税改革の4つの代替案についてプラグマティックな視点から利点と欠点を示す。検討される4つの代替案は,ミニマムタックス,国境税調整つきの利潤税,定式分配,残余利益分割。41頁のTable 2に検討の結果がまとめてあり,これをもとにいろいろと議論できる。あたりまえのことだが,各国が一致して代替案を採用するか,一国だけで代替案を採用するかで,まったく評価が異なってくる。

執筆者のひとりであるIMFのKeen氏が,4月24日に東京でこの論題につき講演した。直接に話を聴くと,ペーパを読むのとはまた一味,印象が異なる。とくに,「BEPSよりも租税競争のほうが税収に与える影響は深刻かもしれない」という指摘が,強く印象に残った。改めて原文にあたってみると,ペーパーではパラ13の次の部分に対応する(図と脚注は省略,下線は引用者による)。

13. The BEPS project and other recent multilateral initiatives have focused on tax avoidance rather than what is arguably an even greater concern: tax competition. Such competition is most evident in trends in statutory rates of corporate income tax (CIT) (Figure 2), though it takes other forms too (such as special tax incentives). The consequent revenue losses can plausibly outweigh those from avoidance. OECD (2015e), for example, estimates an overall revenue loss from avoidance of up to 10 percent of corporate income tax revenue; that would be equivalent to a cut in the statutory rate of around 2.5 percentage points—only about half of what has been observed since 2005, making avoidance harder could result in tax competition becoming more intense—particularly for real investments. Whether tax competition is set to intensify remains unclear, though some see the reduction in the U.S. federal corporate income tax rate as likely to stimulate rate cuts elsewhere.

このペーパーは本文が40頁強の手ごろな分量で,教科書的な価値が高い。10の付録がついており,米国のTCJAの国際課税に関するルールの概観や,デジタルサービス税に関する7法域の一方的措置のまとめもある。IMFらしく,もちろん途上国の視点も。

27 April 2019

Canadian Tax Journalのかなりの記事がオープンアクセスに

Indexはここから。

最新号のリンクは以下。


CANADIAN TAX JOURNAL
REVUE FISCALE CANADIENNE
The Canadian Tax Journal is the Canadian Tax Foundation’s flagship research publication, a leading source of insight into tax law, economics, and public finance in Canada.
La Revue fiscale canadienne est la publication de recherche phare de la Fondation canadienne de fiscalité, une source d’information de premier plan sur le droit fiscal, l’économie et les finances publiques au Canada.

2019, Volume 67

Issue number 1 | numéro 1

 

PEER-REVIEWED ARTICLES

- Richard Krever and Kerrie Sadiq [https://doi.org/10.32721/ctj.2019.67.1.krever]
 
POLICY FORUM
[https://doi.org/10.32721/ctj.2019.67.1.pf.editor]
 
- Peter Harris, Michael Keen, and Li Liu [https://doi.org/10.32721/ctj.2019.67.1.pf.harris]
 
- Philip Bazel and Jack Mintz [https://doi.org/10.32721/ctj.2019.67.1.pf.bazel]
 
- Ken Mckenzie and Michael Smart [https://doi.org/10.32721/ctj.2019.67.1.pf.mckenzie]
 
AWARDS
 
 
 
 
FEATURES
- Vivien Morgan [https://doi.org/10.32721/ctj.2019.67.1.fon]
 
Current Cases: (FCA) Canada v. 594710 British Columbia Ltd.; (TCC) Cameco Corporation v. The Queen - Ryan L. Morris, Adam Gotfried, and Yongchong Mao [https://doi.org/10.32721/ctj.2019.67.1.cc]
 
- Byron Beswick [https://doi.org/10.32721/ctj.2019.67.1.itp] [ABSTRACT ONLY]
 
- Sean Grant-Young and Katie Rogers [https://doi.org/10.32721/ctj.2019.67.1.ptp] [ABSTRACT ONLY]
 
- Sean Grant-Young et Katie Rogers [https://doi.org/10.32721/ctj.2019.67.1.pfp] [ABSTRACT ONLY]
 
- Alan Macnaughton and Jinyan Li [https://doi.org/10.32721/ctj.2019.67.1.ctr]
__________________________________________________________
 
 

 

Articles marked 'abstract' and Current Cases are available in full only to members.

Canadian Tax Foundation | Fondation canadienne de fiscalité
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Higher Logic

03 January 2018

2003年4月からのメッセージ

2003年(平成15年)4月1日,税制調査会基礎問題小委員会で,金子宏教授が意見を陳述し,そのうち所得税の各種控除に関する部分が,ジュリスト1260号(2004年)に掲載された。のちに金子宏『租税法理論の形成と解明 上巻』570頁に所収。

意見の骨子は,少子高齢化社会における所得税制の構造改革として,
  • 公的年金等控除の廃止
  • 給与所得控除の性格を明確化して具体的には3分の1を縮減
  • これらによって生まれる財源で基礎控除・配偶者控除・扶養控除を引き上げる
というものだった。

それから約15年たって,2017年(平成29年)12月22日に閣議決定された平成30年度税制改正の大綱は,

○ 給与所得控除・公的年金等控除から基礎控除への振替
・給与所得控除及び公的年金等控除の控除額を一律 10 万円引き下げ、基礎控除の
控除額を一律 10 万円引き上げる。
○ 給与所得控除・公的年金等控除・基礎控除の見直し
・給与所得控除について、給与収入が 850 万円を超える場合の控除額を 195 万円に
引き下げる。ただし、子育てや介護に配慮する観点から、23 歳未満の扶養親族や特
別障害者である扶養親族等を有する者等に負担増が生じないよう措置を講ずる。
・公的年金等控除について、公的年金等収入が 1,000 万円を超える場合の控除額に
195.5 万円の上限を設ける。公的年金等以外の所得金額が 1,000 万円超の場合は、
控除額を引き下げる。
・基礎控除について、合計所得金額 2,400 万円超で控除額が逓減を開始し、2,500
万円超で消失する仕組みとする。

こととした。見直しの規模こそはるかに穏健であるが,給与所得控除と公的年金等控除を減らして基礎控除を増やす,という方向において2003年4月の意見を引き継ぐ。