不正を促す要因として,
- 不正行為を正当化する能力
- 利益相反状況(これは不正から得られる金額にカウントできるかもしれないが)
- 創造性
- 消耗(「朝からずーっと食べるのをガマンしてきたけれど深夜に一口ポテトチップスを食べたらもう止まらなくなった」というような状況)
- 自分の不正が他人の利益になること
- 他人の不正を目撃すること
確定申告をごまかす例も出てくるし,広く法規範に深く関係する。それだけに,すでに反響があちこちにでている。これ,これ,これなど。
最近の租税事件を含めて,そのおりおりに思ったことの断片をつづります。 Candid and biased, and hopefully stimulating, comments on recent tax developments in Japan (and other matters).
「信託の効力が生じた時から引き続き委託者のみが信託財産の元本の受益者である信託により受託者から当該受益者(当該信託の効力が生じた時から引き続き委託者である者に限る。)に信託財産を移す場合における不動産の取得」(地方税法73条の7第4号)にあたるか。地方団体は全体につき非課税規定の適用なしと主張。裁判所はXの手元に残っていた20%部分については非課税とした。
「人為による異常な災害」により損失が生じたというためには,少なくとも,納税者の意思に基づかないことが客観的に明らかな,納税者の関与しない外部的要因(他人の行為)による,社会通念上通常ないことを原因として損失が発生したことが必要であるとしたうえで,建物にアスベストが含まれていたことが 「人為による異常な災害」に該当するとはいえないと結論した。
48.租税分野では,我々は,透明性及び包括的な情報交換を強化するとの我々のコミットメントを再確認する。我々は,グローバル・フォーラムにより報告さ れた進ちょくを賞賛し,すべての国,特に,枠組みが整っておらず,現時点ではフェーズ2への資格を有していない13の国・地域に対し,完全に基準を遵守し レビューの過程において特定された提言を実施するよう促す。我々は,グローバル・フォーラムが情報交換の実践の有効性の審査を早急に開始し,我々及び我々 の財務大臣に対し報告することを期待する。我々は,我々がその実施において模範を示し続ける,自動的な情報交換の実践に関するOECDの報告書を歓迎す る。我々は,各国に対し,適切な場合に,この普及しつつある実践に参加するよう求め,すべての国・地域が多国間執行共助条約に署名するよう強く奨励する。 我々はまた,オスロ対話のローマ会合の結果を含め,不法な資金の流れへの対処に係る省庁間の協力を向上させる努力を歓迎する。我々は,所得侵食と利益移転 を防ぐ必要性を再確認し,この分野におけるOECDの継続中の作業を関心をもってフォローする。この和訳は外務省のサイトによる。
東京地裁は,2 相続又は遺贈により財産を取得した者が第一条の三第三号の規定に該当する者である場合においては、当該相続又は遺贈により取得した財産でこの法律の施行地にあるものについては、課税価格に算入すべき価額は、当該財産の価額から被相続人の債務で次に掲げるものの金額のうちその者の負担に属する部分の金額を控除した金額による。
一 その財産に係る公租公課二 その財産を目的とする留置権、特別の先取特権、質権又は抵当権で担保される債務三 前二号に掲げる債務を除くほか、その財産の取得、維持又は管理のために生じた債務四 その財産に関する贈与の義務五 前各号に掲げる債務を除くほか、被相続人が死亡の際この法律の施行地に営業所又は事業所を有していた場合においては、当該営業所又は事業所に係る営業上又は事業上の債務
同項の前記趣旨や,同項が控除される債務を限定列挙していることに照らして,仮差押えがされた場合における被保全債権に係る債務が同項2号に該当すると解することはできないとした。ここにいう「前記趣旨」とは,
同法が制限納税義務者の課税財産を同法施行地である国内の財産に限定した(同法2条2項)ことに対応して,その差し引くべき債務もまたその財産に関するもので,その者が支払うべきもののみに限定するという点にある。東京高裁もこの判示部分を維持し,債務控除を認めなかった。上告及び上告受理申立て中。
「一時所得に係る支出が所得税法34条2項にいう『その収入を得るために支出した金額』に該当するためには,当該収入を得た個人において自ら負担して支出したものといえる場合でなければならない」と判示し,本件保険料経理部分の控除を認めなかった。
「保険料の半額だけ役員が自己資金で負担していれば(あるいは給与所得課税を受けていれば),残りの半額分の現金を役員が将来ほぼ確実に受け取りうるとしても,法人段階での役員給与課税は行われず,役員側でも一時所得課税を受けるだけであり,かつ保険金受領時まで課税が行われない」と指摘し, 「本件の抱える問題は,解決していない」とする。
「そもそも有料老人ホーム事業とA病院の業務との間に直接的な関連があることを認めることはできないし、仮に訴外Cが有料老人ホームを開設することにより、当該有料老人ホームの入居者に治療等の必要性が生じた場合に、A病院に通院又は入院する可能性が高く、A病院の収入増加の可能性が見込めるとしても、A病院が訴外Cの協力医療機関となることによって、A病院において見込まれる収入増加についての計算や、資金回収についての合理的計算が行われたという形跡は見当たらないこと、また、本件貸付金については担保設定もなされていないため、訴外Cの事業が失敗した場合のリスクをXが全面的に負うという高リスクの資金貸付けとなっていたこと等の事情からすると、Xの主観的意図はともかく、客観的に見て、事業として合理的な計画性をもった貸付けということはできないから、高リスクな資金貸付けを行ってまで有料老人ホームの協力医療機関になることがA病院の業務に係る事業所得を得るために客観的に見て通常必要なものであったと認めることはできない。」として,本件貸付金の貸倒れによる損失は所得税法51条2項に規定する損失に該当せず,当該損失はXの事業所得の金額の計算上必要経費に算入できないと判断した。
「本件貸付金・・・の貸倒れによる損失は、所得税法51条4項に規定する損失に該当すると認められるので、平成10年分の雑所得の金額の計算上、同年分の雑所得の金額(同項の規定を適用しないで計算した雑所得の金額)を限度として必要経費に算入することにな」る
と述べている。